結論から言いますと…好きです。
このシリーズが大好きでずっと見ているのですが、今回の作品でも北野作品の特徴でもあるバイオレンス部分や実社会における闇の部分や人間の負の部分をリアルな描写で描いているのですが。
この最終章に関してはそれに加え、社会に対する北野武監督らしい風刺と突っ込みが感じられる作品になっていると思います。
昔のやくざ映画みたいに反社会的であることが巨大権力に対する抵抗だとする風潮はあまり感じられず、ヒーローとしてのやくざ映画というよりも現社会での生きづらさや人間としての表現の難しさなんかも感じ取れました。
作品内に見えるアウトローとしての格好よさとアウトローであるがゆえにみじめにすら見えるという、矛盾したリアルな表現も魅力的です。
そして、個人的には俳優陣中では西野 一雄花菱会若頭役の西田敏行さんの演技が印象深いです。
自らの手は一切汚さないというようなタイプの役柄か、頸椎の亜脱臼のせいもあるのかわかりませんが、座った状態でのシーンが多くみられたのですが、普段見せる笑顔や温和なイメージとは違い激しいセリフや顔つきには演技とはわかっていても恐ろしく感じるほどでした。
それに加え、北野武監督に扱いに困ると言われるぐらいのアドリブ力や独特の雰囲気が素敵です。
そして、こうした大物出演者たちが名を連ねる中で監督して演者として一層の輝きを放つ北野武監督の存在はさすがの一言です。
今回は最終章とありますが、個人的には最後にするのはもったいないですし…
まだまだ続いてもおかしくないと思えるような内容でした。