■あらすじ
注意。結構えげつないこと書いてるZO!
●後藤篤子…老後がちんぱいな主婦
●後藤章…押しに弱く危機感を感じないタイプ
●後藤まゆみ…長女、あたし結婚するから!
●後藤勇人…長男、しっかり者
●後藤芳乃…元和菓子屋の女将、金遣い荒い
●サツキ…篤子のヨガ教室の友人
パートから正社員になれるかなー、なんて思ってたのに首切られた。
ちょ、待てや、ゴルァ
と憤懣やるかたない篤子。
老後資金が二千万必要とか言われてるのに、どこにそんな金があるのさ?
章の父が亡くなり、義妹から、
「葬儀費用はそっちが出してや」
言われてしまう。
章は「うん、まぁ仕方ないかな」的な応答。
義母の芳乃は「夫は老舗の和菓子屋の主人だったんだから、恥ずかしくない葬儀をしてね」と仰る。
お前、喪主も施主もお任せって、どないやねん?
どっちかせぇや!
と言うことも言えない篤子と章。
マダムならここで
「金出さへんねんやったら直葬な」
言うけどなー。
なんやかんや言うても人のいい篤子は四百万ほど使って舅の葬儀をあげはる。
でも思ってたよりお香典も少ないし、大赤字。
章に「うちの貯金は七百万くらいしかなかったのに、もはや三百万に減り申した。
どうすんのさ」言うても
「何とかなるやろ~~」みたいな。
首根っこ掴んで、はり倒して
「ボケとんか、オノレは!
金っちゅうもんはな、死金にしてもうたら終いなんじゃ、
わかっとんか!
生きてるもんに使うてこその金なんじゃ!」
と言いますけどね。
言いますよね皆さん?
あれ?皆さん「ハイ」の返事は
悪いことに章の会社が倒産。
章は無職のおっさんに進化した。
そんな時に長女が結婚する言い出しよる。
なんでよりによってパタリロと?
パタリロの実家が金持ちと知って一瞬ほっとした篤子。
だが「向こうのおうちの格に合わせて、超有名結婚式場でお式を挙げたい(=お高い)」と言う若人たち。
ヤメテ…
何とか暫く式を挙げるのだけは延期してもらえることに。
毎月九万円もの大金を芳乃に仕送りしてた篤子夫婦。
それを減額してほしいと頼み込むけど、義妹はアカン!と一刀両断。
仕方ないから芳乃を引き取ることに。
芳乃はイケズでもないし人はいいんだけど和菓子屋の女将さんやったから金遣いが荒い荒い
後藤家ではいつもはモヤシ豚鍋をしてるのに、ウン万円の肉買うてきてスキヤキや。
カードを渡すな、言うても章は「せやけど、いい大人からカード奪い取るのもなぁ…」とまたもやイラつくことを
まゆみの結納が終わりホッとしたのもつかの間。
芳乃がオレオレ詐欺に引っかかって結納でもらった百万円が消えてった。
ストレス。
ストレスたまるんじゃ!
篤子のストレス解消法はヨガ。
そこで気心の知れたサツキとぐちぐち言い合うこと。
章は警備員の仕事を見つけて働くことに。
篤子もコンビニ店員として(店員さん、副島君やんか、スキー!)働くことに。
章が一緒に働いてるおじさんの家に行くと、そこはシェアハウス。
ひとりで暮らすのはさびしいから、家をシェアハウスにしてみんなで暮らしてるんやって。
なんやかんやあって篤子もシェアハウスにお邪魔することに。
五月に頼まれて年金詐欺の片棒を担ぎかけたりする篤子と芳乃。
ふたりは、どんどん仲良くなっていく。
芳乃が心臓発作で倒れた。
「いつポックリ逝ってもおかしくないのだわ」
と気づいた芳乃は生前葬をやると言い出した。
そんな金どこにあるのん?
あたしは出席しない!
ようやく文句を言えた篤子。
生前葬の当日。
葬式は欠席し、勤務先のコンビニから帰ってきたら、芳乃の薬がほったらかされてる。
「持って行くの忘れはったんや」
慌てて会場に走る篤子。
そこで篤子は芳乃が如何に篤子に感謝をしているかを知ってしまう。
より一層強まる嫁姑の絆。
章も昔馴染みの友人が社長をしている企業に正社員として雇われることに。
義妹が「母を引き取りたい」と言ってきた。
篤子と仲良くしている母を見て、羨ましくなったと正直に明かす義妹。
こうして芳乃は娘の家に行くことになり、すでに家を出ているまゆみ、就職が決まって寮に入ることになった勇人が抜け。
家に夫婦は2人で残される。
そして篤子と章は。
家を売り、今はシェアハウスで暮らしている。
な、なんで???
家を売ってローン返した残金を老後資金にして。
シェアハウスで楽しく暮らすよ、私たちは。
丸く収まってハッピー。
え?えええ
氷川きよしのEDが流れて。
「やっぱあいつ三谷幸喜やんけーーー!」
■おしまい
■感想
原作既読。
垣谷美雨さんらしく、時流に乗った危機感をあおりながら、なんか知らんけどうまく行っちゃうハッピーエンドな物語を、上手に映像化してたと思います。
とにかく前半はイライライライライライラ。
章ののほほんっぷりにもイラつくし、篤子の「何も言えないあたし」にもイラつく。
まゆみとパタリロは、まぁええわ。
家族の中でまともなん勇人だけやん。
芳乃が金遣いは荒くても、気さくで明るくてメソメソしない人なのが救い。
そしてこういうところが垣谷さんの話はファンタジーすぎて何の役にも立たん!と思ってしまう所以。
わーい、お金なくても何とかなるよね。
元気出たー。
出るかい!
普段使いの通帳が百万切ったら軽く危機感を抱くマダムがここにいます。
何も解決してませんが?
あ、解決目的の映画(原作も)じゃないからか。
そもそも、定年間近になってシェアハウスとか本気か?
マダムなら絶対いや。
介護問題とか出てきたらどうすんの?
朝井リョウ君の『シェアハウさない』読んでみろ!と言いたくなるし。
そもそも人嫌い、なるべく他人と関わらずに人生を終えたいと思ってるマダムには無理ぽっくんよ。
じゃあ、全然ダメな映画なの?と言うと、それがそうでも無くて。
芳乃がもうむっちゃ可愛いの。
篤子も芳乃とコンビを組むとコメディエンヌ度数がぐんぐん上昇して、
サツキの年金詐欺のくだりから自転車で街を駆け抜けるところ、
そして生前葬。
爽快!
そして感動。
号泣と言うほどではないものの、じんわりと泣けてきます。
なので最後のシェアハウスが、どうにもこうにも納得いかない。
なかなかに豪華なキャストで、
天海祐希さんと草笛光子さん、そして柴田理恵さんがもう、最高。
ショップの店員がピスタチオ、刑事がスリムクラブ。
豪華…?
パタリロのご両親が北斗晶と佐々木健介夫妻。
ヨガ教室の先生がクリス松村…、
待って、豪華メンバーやねん、マジで豪華なんやって!!!
すんなり見てたら楽しめる映画だと思います。
金に汚いマダムのような人間が観たら、イライラ炸裂さぁ!
なんやかんや言うても、老後資金二千万は多分正しい。
それも、厚生年金を基準にした金額で、国民年金ならもっと必要になる。
これからジャパニーズは今よりも住みにくい国になるッぺ。
その時に頼りになるのは、
金そす。
ファプタになるな…。
この映画のテーマは。
人生百年。
そんな長生きしとうない。
葬儀費用くらいは自分で払え。
貯めとけ。