ザリガニの鳴くところ(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

  ■あらすじ

 

 

注意!

この映画はネタバレを知らない方が楽しめます。

 

 

●カイア…湿地の娘と呼ばれている

●テイト…カイアに文字を教える

●チェイス…町の人気者、プレイボーイ

●ジャンピン…町の雑貨店の主人

●メイベル…ジャンピンの妻

●トム…カイアの弁護を引き受ける

 

 

湿地帯の火の見櫓の下で、チェイスの遺体が発見された。

事故か他殺か。

チェイスが湿地で諍いをしていたという目撃者がおり、その相手カイアが逮捕される。

カイアは湿地に一人で住み、町の人から「湿地の娘」と呼ばれ蔑まれていた。

 

 

カイアの窮状を見かねて元弁護士のトムが彼女の弁護を引き受けてくれる。

こうして、トムとの間で…そして裁判で。

カイアの壮絶な半生が白日の下にさらされていくのだった。

 

 

もともと一家で暮らしていたカイア。

だがDVの父親から逃れるため、母親と姉兄が次々家を出て行き、いつの間にか父も姿を消す。

 

 

幼いカイアは沼地で採ったムール貝を雑貨屋に売ることで、何とか生きていた。

 

 

カイアを支えてくれたのは町の雑貨屋夫婦。

そして兄の幼馴染であり文字を教えてくれたテイト。

 

 

テイトにより文字を知り、世界の面白さに触れたカイアは図書館にある本を読み漁り生物学に興味を持ち始める。

 

 

カイアとテイトはいつしか恋に落ちるが、テイトは大学進学を機に町を出る。

町を出てもきっとカイアに会いにくるという約束をして。

だがテイトはカイアとの約束を守ることが出来ず、二人は離れ離れになっていく。

 

 

テイトの勧めで沼地の生物について生体記録を書き溜めていたカイア。

それらを出版社に送ると本が出版される運びになった。

 

 

そんなころカイアは町の人気者チェイスと知り合う。

心の隙間にするりと入ってきたチェイス。

信頼していた人たちが皆自分を置いて立ち去っていく…そんな状況に疲れ果てていたカイアは彼と付き合うことになるが、ふとしたことでチェイスには婚約者がいることを知ってしまった。

チェイスの目的はカイアの身体だけ。

 

 

町に帰って来ていたテイトは、カイアと再会。

かつて自分が約束を破ったことを詫びる。

出版した本の売れ行きも上々で、

カイアがテイトともう一度やり直そうとした矢先のチェイスシボンヌ案件。

 

 

弁護士のトムは「湿地の娘」と言うだけで頭ごなしにカイアを犯人扱いしている人々に、正しく物事を見てほしいと訴える。

チェイスが死亡する前に身に着けていた貝のネックレス(カイア作)が行方不明になっているが、それは見つかっていない。

カイアには鉄壁とは言わぬまでも、アリバイがある。

検察側のアリバイ崩しにも少々無理があり、証拠不十分でカイアは無事に無実を勝ち取った。

 

 

カイアとテイトは夫婦になり、

湿地の研究しながら年齢を重ねていく。

 

 

穏やかに流れていく時間。

愛おしい時間。

 

 

それがもうすぐ終わりに近づいたことを察知したカイアは、一人ボートで沼に出て帰らぬ人となる。

 

 

 

 

 

以下ネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テイトはカイアの残したものを片付けている。

一つ一つが思い出。

カイアの作り上げた本。

描いた絵。

成し遂げた研究。

 

 

その残された日記に、

こっそりと隠されていた、

チェイスの似顔絵と貝のネックレス。

 

 

これって…つまり…。

犯人は…。

愕然とするテイト。

 

 

自然界に善悪はない。

全て生きるための知恵…。

 

 

■おしまい 

 

 

 

  ■感想

 

 

引用:映画.Com

 

 

原作読まなきゃ!

図書館で70人待ち。いつになったら読めるのやら。

本屋大賞(海外部門)でも1位でしたっけ?

 

 

原作読んだら今抱いているイメージとまた違ったものになるかもしれません。

 

 

沼、湿地…と言うとじめじめして陰鬱でゲッゲッゲゲゲのゲとカエルが鳴き、なんもかんもカビるんるんになるところだという先入観がありましたが、なんとまぁ美しい。

沼と湿地で生きる生き物。

冒頭の鳥が飛び立つシーンは「ジャングル大帝」のOPを思い出させて、心の中で「あ~~~あ~~~あ~~~あ~~~」と歌ってたりして←おめーだけじゃ。

 

 

そんな自然の中でたった一人生き抜いてきたカイア。

彼女にとってのルールは、自然の中で生きてきたことにより身につけたもの。

人間社会のルールとはまた違うのだと、ラストでガツーンと思い知らされます。

 

 

上手いのは、カイアに対し「健気やん」…と言う気持ちを抱かさせるところ。

学校で学ぼうとしたら、服が汚れてるのくさいのなんだの言われて行けなくなる。

このシーン、大概の人が「カイア…」(泣ける悲しい)となるんじゃないでしょうか。

 

 

親もいない、貧しい、おまけに湿地で生き抜いている。

ついでに無教養だと思われてる。

人外のもののような扱いすら受けているんですよ。

町の人はカイアを差別し、観ているこちらはカイアに同情しちゃいますよね。

本当のカイアの聡明さや強さも知らずに。

 

 

カイアに愛情を注ぎ、彼女を心配していたジャンピン夫妻やトム弁護士が真実を知らずに(多分)もう天に召されてしまったのであろうことは救いかと。

 

 

でもそれも人間のルールの上での「正義と真実」であり、カイアにとっての「正義と真実」とはまた違うんでしょうけど。

 

 

ずーっと「癒し系映画で、温かい人の情けと~」な映画って観方をしてたら「ギャワー」ってされちゃう作品。

マダムは好きです。

人の作りし法なんぞ、自然の中では屁のツッパリにもならんのですよ。

ただし人の中で生きて行くなら、ルール遵守は必須ですが。

 

 

ザリガニの鳴くところ。

それは安心できる場所。

危害を加えられることなく過ごせる場所。

カイアにとって湿地そのものが「ザリガニの鳴くところ」だったのでしょう。

でも、ザリガニは鳴かないんだよね。

そんなこと、きっと彼女は知っている。

ってことは…。

いろいろ深読みできるし、さらっと流してもOK。

 

 

この映画のテーマは。

生きて、

愛して、

戦って。

いつだって自然の中で。

上矢印

これ!

 

 

ラスト、かなり「がびちょーんガーンびっくりマーク」ってなりますが、

とにかく美しい映画。

ジャンピン夫妻がこの映画の中で一番心優しい人たちなんじゃないかと思っちゃった。

トム弁護士は「いいひと」。

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