2012年から2015年まで集英社「マーガレット」にて連載された大人気コミックを映画化した『honey』は、女の子なら誰もが憧れる史上最高に甘い初恋を描いた“鬼キュン”ラブストーリー。

本作のヒロイン、ヘタレでビビりな女子高生・奈緒(平祐奈)に憧れを抱かれる叔父・宗介を演じたのがミュージシャンの高橋優。長編映画へ初出演した高橋に、芝居への思いや主演の平野紫耀とのエピソードなど話を聞いてきた。

 

 

■役との共通点は「大人になりたい人」なところ

 

ーー今回、演じられた宗介は、ヒロイン・奈緒がずっと憧れ続けてきたお兄ちゃんというキャラクターでしたが、「憧れられる役」というのはいかがでしたか?

 

高橋:そこの答えはまだ出ていないです。どちらかというと、お父さんとお母さんを早くに亡くしてしまった奈緒のために、自分なりに良い親代わりになろうとして奮闘している宗介像というのをつくるのが精一杯だったので。「憧れられている」という意識はあまり持たないようにしていました。奈緒のその気持ちには気づいていないほうがいいのかなと思って演じていましたね。

 

©目黒あむ/集英社 ©2018「honey」製作委員会

 

ーー高橋さんは、長編映画は初出演ということですが、初めてとは思えないほど自然なお芝居でした。

 

高橋:本当ですか?嬉しいなぁ。宇宙人とか特別な役じゃなくて、どこにでもいる男の人の役ということが自分の中では難題というか、一番ハードルの高い部分だったので、自然と言っていただけるのが一番嬉しいです。

 

 

ーー演じる上で、宗介との共通点はありましたか?

 

高橋:”大人になりたい人”という部分はすごく分かります。

 

 

ーーというのは?

 

高橋:奈緒たちのような高校生を相手にしているから、立場的に大人でいなきゃいけない。でも、おそらく宗介自身そんなに成長しきって、悟りきってる男では全然なくて。急に感情任せに怒るときもあるし、鬼瀬くんと奈緒の写真を見ているときも何かを思っているんですよね。決してただ、見守っている男ではないと僕は思っていて。どこか「もう~大丈夫かよ?」みたいな、「俺がいなきゃダメなんじゃないか?」というまごまごしている思いがある。その空回り感というか、かっこつけきれていない男っていうのが、僕が描いている宗介像と自分自身とが重なるポイントです。

 

©目黒あむ/集英社 ©2018「honey」製作委員会

 

ーー高橋さんにもそういう一面が?

 

高橋:大いにあると思います。この映画でいうと、最後に自転車を追いかけるシーンがあるんですけど、一回見送ったのに、「おお~い」と言って走り出すところとか。かっこいい男性だったらやらなそうな、ちょっと三枚目っぽい感じは、僕もよくやっている気がします。「バイバイ~…あ、ちょっと待って」という(笑)。

 

 

ーーなんとなく、決めきれない部分がある感じでしょうか。

 

高橋:そうそう。でも、そういうヤツだからこそ、「俺が奈緒のお父さんとお母さんになってやる」という1つの決意で自分の夢を諦めているところに、さらに意味が出てくるのかなと思っていて。普段は右往左往している、決してドシッとした大人じゃないというところは、演じる上でもあえて大切にしていました。

 

 

■「平野くんのまっすぐな感じががっちりとハマってました」

 

ーー平さん、平野さんとのシーンが多かったかと思うのですが、お二人の印象を教えてください。

 

高橋:平さんは、現場の誰よりも気が回る子。全員に気を配っているんです。役どころでは、ヘタレでビビりな女子高生となっていますが、本当に真逆で。おじさんの僕からしたら、「若いのに、よくできた子」という印象でした(笑)。

 

©目黒あむ/集英社 ©2018「honey」製作委員会

 

ーー平野さんはいかがでしたか?

 

高橋:平野くんはそんな平さんと相反して、まっすぐすぎる子。ご飯じゃなくて、米粒一粒しか見ていないみたいな(笑)。

 

 

ーーそうなのですね。

 

高橋:ピュアな部分がすごくあると思います。家に帰る途中、まっすぐ歩きすぎて電信柱にぶつかったって話を聞きました。平野くんって、そういうのがいっぱいあるんですよ(笑)。でも、そこが良いんですよね。平野くんを1人で歩かせていたら、「あ~もう、ちょっとちょっと!」って心配になって、構いたくなる人はたくさんいると思います。

 

 

ーー他のキャストからもお話を伺ったのですが、やはりかなり天然な方なのですね(笑)。

 

高橋:例えば、「平野くんご兄弟いるの?」と聞いたら「お経ですか!?(キリッ)」と言われたり。聞き間違いなんだろうけど、あのまっすぐな目で見てくるから…(笑)。

 

 

ーー微笑ましい話ですね(笑)。

 

高橋:犬の話になったときに「真っ黒の犬を飼っていたんだけど、その犬がある日突然真っ白になったんです」と言っていたのもびっくりしました。

 

 

ーーそれは不思議な体験ですね…。

 

高橋:けっこう変な話じゃないですか。だから、みんなで「突然色が変わるって不思議だね。もしかしたら、血統とかで親の毛色が白かったら、変化する犬もいるかもしれないね」という話をして。平野くんに「親は何色なの?」と聞いたんです。そしたら、「ぼくの親ですかっ!?(キリッ)」って。

 

 

ーー(笑)。

 

高橋:話の流れ的に、いま平野くんのお父さんとお母さんの話じゃないでしょ、犬の話してるんでしょって(笑)。そういうことが会話の随所に散りばめられているんです。

 

 

ーー天然と言われている意味が分かってきました。そんな平野さん演じる鬼瀬は、高橋さんからみていかがでしたか?

 

高橋:平野くんのまっすぐな感じが鬼瀬にがっちりとハマっている気がしました。まっすぐに守りたいものを守って、まっすぐに思ったことを人に言って。すごくはまり役だったのかなと思います。

 

 

 

■神木隆之介からアドバイス「演じることに愛情を注いでいこう」

 

ーーお芝居をするうえで、誰かにアドバイスをもらったりとかはありましたか?

 

高橋:神木隆之介くんです。僕が主題歌を担当させてもらった『桐島、部活やめるってよ』という映画でご一緒してから仲良くしていて、時々ご飯したりするんですけど、今回の話が決まってから「折り入って相談が…」という感じで神木くんを呼び出して、2人で台本を取り出して話し込みました。

 

 

ーー神木さんからは例えばどのようなアドバイスを?

 

高橋:神木くんはすごく演技に対しての情熱とかモチベーションが高い方なので、方法論よりも演技に対する情熱の部分で勉強になるのが多くて。これだけ好きでやっているからみんなに理解されるんだなと思うことがたくさんありました。僕も演じること自体に、もっと愛情を注いでいこうと思いましたね。

 

 

ーーそれを受けて高橋さんの中で、お芝居のやり方などは変わりましたか?

 

高橋:例えば、いまの会話を録音してまた聞いたら、同じようには話せないじゃないですか。役どころというのはそういうところだって神木くんが言っていて。自分のセリフにするためには、一回頭の中にいれて、それを忘れる。自然と次に何を言えばいいかが出てくるようになって、ようやく次のステップにいけるんだと。その話をきいてから、自分の会話を録音するようにしました。

 

 

ーー自分の会話を聞いてみて、いかがでしたか?

 

高橋:自分しゃべりすぎているなとか、落ちのない話しているなとか、間が悪いなとか、いろいろな反省点があります。

 

 

ーーそれは会話の特訓にもなりそうですね。

 

高橋:そうですね。ラジオもやらせていただいてますし、ライブのMCとかもありますし。言いたいことがあるときは、ガミガミ言わずにそっと言うほうがいいとか、演技とは関係なくても、自分のコミュニケーション能力としてもかなり勉強になると思いました。

 

 

ーー俳優業が普段の音楽活動に返ってきている部分もあるのですね。

 

高橋:欲を言えば、どの経験も音楽に還元したいという思いがあります。ライブにきてくれる人に会えるのが僕にとっての一番の喜びなので。もちろんお芝居もやるからには精一杯やりたいですけど、そこから得られる何かをいずれ、音楽にいかせていけたらいいなと思います。

 

 

ーーそういった意味でも、今後も俳優業は続けていきたいですか?

 

高橋:そうですね。僕は好きです。やりたいです。なので、そういったありがたいお話があればぜひ。

 

 

ーー次に挑戦してみたい役柄などはありますか?

 

高橋:もっと普通の人の役をやってみたいです。今回、宗介のような普通の男性を演じさせてもらった中でも、「宗介にいってきます」「高橋優にかえってきます」というタイミングがあったんです。そうやっていると、高橋優にかえってくる時点で自分を改めて意識できる気がしていて。「俺って、こうやっていたんだなぁ」って。普通のおじさんとかお兄さんってすごく難しいんですけど、人生にも通じるものが隠れているなと思います。

 

 

ーー最後に、高橋さんが最近”鬼キュン”したことを教えてください。

 

高橋:平野くんに、撮影の合間でなぞなぞを出したんですね。「世界の中心にいる虫はなんでしょう?」って。このなぞなぞの正解は「せ・か・い」の中心なので、蚊なんです。でも、平野くんは鱒(マス)って答えたんです。

 

 

ーーそれは虫ではなく、魚ですね(笑)。

 

高橋:はい(笑)。それから数日経ってから、またその話になったんですけど、平野くんは「あれからずっと考えているんですけど、なんで蚊なんですか?」ってまだ悩んでいて。もう一度、説明したんです。………でも、理解しないまま帰っちゃいました。ずーっと腑に落ちない様子で次の現場にいってしまった平野くんに”鬼キュン”です。

 

 

ーーまたまた平野さんの癒しエピソードをありがとうございます(笑)。

 

高橋:平野くんを守ってあげてください。これを読んだ人たちは(笑)。

 

Photography=Mime Soga

Interview=Ameba

 

 

映画『honey』3月31日(土)鬼キュン♡ロードショー

映画公式サイト『honey』

 

 

 

【STORY】

「俺と、結婚を前提につき合ってください!」突然のプロポーズからの告白!?―――――-

幼いころに両親を事故で失い、優しい叔父・宗介に見守られて育った、ヘタレでビビりな女子高生・小暮奈緒。ある日突然、奈緒は真っ赤な髪と鋭い目つきをした“超”不良と恐れられる鬼瀬大雅から、体育館裏に呼び出され「俺と、結婚を前提につき合ってください!」と、突然のプロポーズ!?からの告白をされる。

叔父の宗介に憧れながらも、ビビッて断れなかった奈緒は、鬼瀬とつき合うことに。しかし奈緒はギャップに戸惑いながらも、徐々に鬼瀬の優しさや純粋さに気付いていき...。奈緒の中に、今までに感じたことのない想いが溢れはじめる。