そんなわけで我が家の

盲導犬候補生アーシー(仮名)が

このたび無事に発情期を迎えまして、

故に今後3週間は犬を連れての外出、

すなわち街中での歩行訓練は禁止。

 

 

いや、これがなんだか・・・

 

ほら、犬が我が家にやって来るまで

私は結局のところひきこもっておりまして

買い物も週に2回、可能ならば1回で

生活を回していたのですが

犬が来てからは毎日スーパーだの

雑貨屋だのに足を運んでいて、

すっかり『まとめ買い』のやり方を

忘れてしまったというか何というか。

 

思いもよらぬ『買い忘れ』があるんです。

 

それでも久々の

『犬連れでない買い物』は

非常に気楽なところがありまして、

屋内で犬の動向に

神経を張っていなくていい、

というのがこんなに

呑気なものであったとは・・・!

 

ところでアーシーの出血、すなわち

発情期の始まりが確認された日、

私は動転しつつも

「これはお祝いせねば」みたいな

気持ちになり、家から車で

20分ほど先にある

某中型スーパーに買い物に行き

お赤飯ならぬ

ティラミスを購入したのですが、

このスーパーは私とアーシーがよく

歩行訓練の練習場所に

使わせてもらっているところで

・・・犬なしでこのお店に入る、

というのがなんだかもう

本当に不思議な感じで。

 

アーシーと歩行訓練を開始する前の

私の『買い物』は

イコール『まとめ買い』だったので

買い物場所も大型スーパーが基本で、

つまり犬なしで中型スーパーに

入ること自体が

それまでもあまりなかったというか・・・

 

ともあれ無事に

目当てのティラミスを買い

そのあと野菜コーナーを

眺めておりましたら突然背後から

「今日は犬いないの(No dog today)?」

 

振り向くとそこには

見ず知らずの青年が・・・

いや、犬の散歩中にこの人とは

何度かすれ違ったことがある、

最初にすれ違った時に

「犬に触っていいですか」と訊かれ

「訓練中だから駄目です」と答え、

以来私と犬の姿を見ると

そっとお店の棚の向こうに

隠れてくれていたことが数回あった・・・

 

「今日は犬は家にいるんです」

 

「そうなんですか・・・」

 

青年は少ししょんぼりしてから

会釈もなく立ち去って行ったのですが

・・・もしかしてこのお店の界隈で

私は『犬(盲導犬候補生)を連れた

アジア人』みたいな感じで

認識されちゃっているのかしら?

 

いや、確かにそれはよく考えると

割と目立つ有様かもしれないけれど!

 

自分が考えていた以上に

『匿名的でない』生活を送っていることを

改めて理解した私です。

 

わ、悪いことはできないなあ・・・!

 

別にする予定はないですけど・・・!

 

 

ところでアーシーの発情期入りを

お祝いしようとした私に対し

わが夫(英国人)は

「え?ケーキ?そりゃ僕は

ケーキが食べられるなら

理由は何だって嬉しいですけど

でもお祝いに?初出血で?

日本の風習?本来はお赤飯?え?

どうしてそんなことをするんです?」

 

夫の感覚では『そういうこと』は

年頃の娘と母親の間の秘密、

みたいなもので『家族でお祝い』は

「あの・・・娘さんの立場からすると

自分の兄とか父親とかに

そういうことを知られるのは少々

複雑だったりはしないんですか?」

 

「確かに当人は複雑なものだが・・・

私の時はケーキだったが、母親に

『どうしてケーキ?って誰かに聞かれても

本当の理由は答えないでね』と

お願いしたような・・・まあ誰も

そんな質問はしなかったが・・・

したけど母がうまく

誤魔化してくれたのかなあ・・・

でもケーキは美味しかった記憶がある」

 

「それはケーキはいつだって

美味しいものですからねえ」

 

ティラミスは甘すぎたのですが

我々はアーシーにお祝いを述べてから

粛々とそれを食べたのでありました

 

アーシー、おめでとう

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