そんなわけで今年は

わが夫(英国人)の誕生日に

私がケーキを作りました。

 

「今年『は』というより

今年『も』だよな。結局

私はいい妻だぜ」と

ぶつぶつ言っておりましたら

ケーキを貰う当人が

去年はケーキをプロに

頼んだじゃないですか」

 

「確かに。パーティーを

開いたからな。でもその前は

私が焼いたよな?」

 

「2022年は近所の人が

『たまごのお礼に』って

やっぱりケーキを

焼いてくれましたよ」

 

「でもその前は・・・」

 

「2021年の春、君は

緊急手術・入院で

骨格標本状態だったでしょ!」

 

・・・今年『は』

私がケーキを作りました。

 

 

私としては割と上手に

土台を焼けたし

アイシング(白い部分)も

載せられたと思うんですが、

結局のところ私は

ケーキつくりに対する

愛が足りないな、と・・・

 

違うんです、

間違えないでください、

夫への愛はあるんです、

なかったらこんな

アブラと砂糖のかたまりなんて

2日がかりで作りませんよ、

でもだからケーキというのは・・・

 

食べる分には美味しいけれど

作るたびに感じるのです、

こんな危ない食べ物

愛する人間に食べさせて

本当に倫理的に許される

ものなのか、と・・・

 

 

ケーキの他に私は

お昼ご飯に夫にピザをおごり、

『双眼鏡ホールダー』とかいう

装飾品(?)を贈り・・・

 

参考画像:

 

 

あと夫は今年の

自分への誕生祝いで

登山を決行したので

その送迎も私が

担当したんでございますよ。

 

往復約6時間のドライブで

私のお尻はバリバリに。

 

これは!

 

愛ですよ!

 

愛です:

 

 

愛ですね!

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そんなわけで

月はじめからここまで

私のジプシー/ロマ/

トラヴェラーズ問題の

自主学習におつきあいいただき

ありがとうございました。

 

私としては非常に

・・・なんというか

『取り扱いが難しい』

内容だったのですが、

だからといってそれで

言及を避けるのは卑怯だろ、

みたいな気持ちになり・・・

 

 

可能ならば全16記事を

通しで読んでいただきたく

ここに目次とリンクを。

 

1.旅人のことを学びたい

 

2.『ジプシー』、そのイメージ

 

3.移動生活者への素朴な疑問

 

4.デール・ファームのこと

 

5.『ジプシー差別の歴史と構造』

 

6.悪意なき差別

 

7.ジプシー問題、予習本

 

8.知識と画素数

 

9.社会学、英文への挑戦

 

10.英語と『本の読み方』

 

11.『No Place to Call Home』

 

12.前知識と英文読解

 

13.イングランドとジプシー

 

14.立ち退き前夜

 

15.強制立ち退き執行

 

16.移民問題と住宅問題

 

正直、現時点で自分が

ジプシー/ロマ/

トラヴェラーズ問題に対し

どういう姿勢を取るべきなのか

私にはわかっておりません。

 

社会融和を図るべきだとは

頭では理解しているのですが、

たとえばこの夏、突然

近所の森に今まで

見たこともない人々が

キャンピングカーで乗り付け

そこで生活を始めたら

私は彼らを笑顔で

受け入れられるのか。

 

たぶん・・・

 

受け入れられないと

思うんですよ・・・

 

自分のお宅の隣接地に

見知らぬ人々の集団が

キャンプサイトを

無許可で建設しても

笑顔を保てる人だけが

私に石を投げてください。

 

で、大事なのは、じゃあ

ここからこの問題を

どう解決の方向に

もっていくかなんでございます。

 

一朝一夕で解決する

話では絶対にない、

でも諦めは敗北主義を招く。

 

私ももう少し本を読んで

見聞を広めたいと思っております。

 

それで最後にお願いです。

 

当ブログの

これらの記事を読んで

それらをそのまま

鵜呑みにせぬよう

よろしくお願いいたします。

 

誤訳がどうこうではなく、

皆様が読まれた文章には

間違いなく私の視点、

バイアスがかかっています。

 

探せばニュース・文献は

いくらでも出てまいります。

 

記事内で触れた

ジプシー関連書籍のうち

1冊でも実際に

お読みになっていただければ!

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで皆様

繰り返しになりますが

私の自習内容発表会に

おつきあいくださり

まことにありがとうございました。

 

 

普段のブログの記事内容と

あまりに毛色が違うので

アクセス数ったら劇的に減少

 

大丈夫!

 

想定の範囲内!

 

私としてはコメント欄に

普段とやはり毛色の違う

お声をたくさんお寄せいただき

それが楽しゅうございました

 

明日からはぼちぼちと

いつものノリに戻ります

 

気が付けば5月も中旬

 

今後ともどうか

よろしくお願いいたします

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『No Place to Call Home』を

読みながら、私の中の

ひねくれ心は常に

囁き続けておりました。

 

 

 

 

「ジプシー/トラヴェラーズ側の

気持ちはわかる、生きるために

新天地を求め続けなければ

ならなかった状況には同情する、

でもこれは『新天地』に

選ばれた側、ジプシー/

トラヴェラーズを

受け入れなくては

ならなくなった側にも

同情の余地はあるよなあ」

 

ある日家の隣の敷地に

隊列を組んだキャンピングカーが

ぞろぞろやって来て

生活を開始したら

それは驚き当惑するのが当然。

 

本ではデール・ファームの

事例に続き、やはりイングランドの

『メリデン』という場所での

ジプシー/トラヴェラーズによる

不法居住の問題を取り上げています。

 

デール・ファームに

不法居住したのは

アイルランド系の

『アイリッシュ・

トラヴェラーズ』。

 

メリデンに住み着いたのは

スコットランド・イングランド系の

ジプシーとトラヴェラーズ。

 

色々あってそれまで

キャラバンを置き

生活していた場所を失った

ジプシー/トラヴェラーズが

「路肩でキャンピングカー

生活をするよりは」と

メリデンに新天地を求めます。

 

この時メリデンの旧住民・

行政側は「問題はジプシーが

どうこうの話ではなく、

居住の形態が合法であるか

不法であるかなのです。

彼らは住居の建築許可を

得ておりません」という理論で

問題に対処しようとし、

そして勝利します。

 

この対処法・戦法は

その後他の地域でも

使われるようになります。

 

ジプシー差別じゃないですよ!

遵法精神、法の前の

平等の話なんです!

というわけです。

 

2000年に

北アイルランドで

行われた調査では

回答者の40パーセントが

「非定住系の生活様式は

正しくない」としました。

 

なるほど、それはそれで

時代の流れというものです。

 

では非定住系の生活を送る人々に

それまでの生活様式を諦め

定住してもらうことにしましょう!

 

しかし同じ調査で

回答者の57パーセントが

「トラヴェラーズは近所に

住んで欲しくない」と言っている。

 

つまり「移動を止めろ、定住しろ、

でもうちの近所には住み着くな」。

 

英語でこういう状況を

『NIMBY(ニンビー)』と呼びます。

 

『Not In My Back Yard

(私の裏庭じゃないとこで)』の

頭文字で、公共のために必要な

施設であることは認めるけれども

それを自分の家の近所に

設置されるのは拒否する態度のこと。

 

メリデンに住んでいた人々が

次の居住地もないまま

立ち退かされたことを受け

元副首相のジョン・

プレスコット氏(労働党)は

「これは最悪の形での

ニンビー主義への迎合だ。

人々が持ちうる

最悪の形の偏見だ」と

述べています。

 

でもじゃあプレスコット氏が

自分の選挙区にジプシー用の

居住地を作ると宣言したら

どうなったか、という・・・

 

『No Place to Call Home』は

ここからさらに

ジプシー/トラヴェラーズ社会の

早婚問題や教育問題

(10代前半での結婚で

教育が犠牲になる)、

健康問題(住居に適さない場所に

暮らすため健康を害する

危険性が高い、メンタル

ヘルスの問題も多い)、

いまだに根強い社会的差別、

そこから生じる行政への

不信感、集団内に存在する

自治警察的な組織の問題点、

イングランド系ジプシーと

アイルランド系

ジプシーの間にある

対立というか

反目などについて述べ、

それでも最終章で近年の

ジプシー文化の復興など

明るい話題に触れて終わります。

 

 

私がこのたび英国の

ジプシー/トラヴェラーズ

問題について知識を得たい、と

本を読み始めた時、

私が知りたかったのは

「彼らは今どこにいるのか。

何故定住しないのか。

非定住の生活には

どんな魅力があるのか」でした。

 

まだまだ数えるほどしか

本を読んでいない

状況ではありますが、

現時点での私の理解としては

「彼らは行政の指定する

専用の居留地(サイト)や

人目につかない・

車を停めても咎められない

場所(ゴミの集積地など)で

キャンピングカーで生活している。

路上を放浪している場合もある。

同時に非定住の生活を捨て

定住化した人も多くいる」

 

「定住化を望むジプシー/

トラヴェラーズは多い。

特に子供を持つ女性は

医療・保険の面から

強くそれを望んでいる。

ただ定住できる場所を

見つけるのは難しい」

 

・・・上にあげた

私の疑問の最後の一つ、

「非定住の生活には

どんな魅力があるのか」、

これは難しいです。

 

ニューエイジ・

トラヴェラーズのように

望んで放浪生活を開始し

今も続けている人は

確かに存在すると思います。

 

ただ一般的なジプシー/

トラヴェラーズとしては

「夏の間は仕事をしながら

各地を移動してもいい、

でも冬場はどこかに定住したい」が

素直なところなのではないかと・・・

 

どうでしょうか。

 

先日ラジオを聞いていたら

「英国の都市部で

家賃を払えなくなり

車で生活する人が増えている」

というニュースが流れてきました。

 

たとえば仕事場や親の住所を

『連絡先』に借りられるなら

それも可能かと思うんですが、

もしもそういう住所を持たない場合、

我々は手紙を受け取ったり

日常生活の手続きを行ったりが

非常に難しくなる。

 

住所でかかりつけ医が決まる

英国の医療システムでは

こうした人々はどうなるのか。

 

英仏海峡を小型ボートで渡り

命がけで英国に不法に入って来る

移民の数は2022年の1年間で

4万5千人以上にのぼりました。

 

彼らをどこに

住まわせるべきか?

 

住宅が足りないのです。

 

なんとかして住宅をあつらえた後、

今度は教育や医療が必要となるのです。

 

そんなものは

こっちの問題じゃない、

勝手に野宿でもさせていろ、

という人はその場合に生じる

たとえば治安問題を無視している。

 

移民問題と住宅問題、

この現代社会の二大問題との

関係を考慮しつつ

今後もジプシー/

トラヴェラーズに関する

文献を読んでいきたいと

考えています。

 

 

まだまだ勉強中の身の上、

書きたいことは実はなお

色々あるのですが

それはもう少し

本などを読んでから

また改めてブログ上で

学習発表会を

開かせていただきたいと思います

 

このたびの投稿は可能なら

ひとかたまりで

読んでいただきたいので

明日はもしかしたら

目次のようなものを

記事として

あげるかもしれないです

 

どうかよろしくお願いします

 

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イングランドはエセックス州の

グリーン・ベルト(緑化帯)の

『デール・ファーム』と呼ばれる

区画に不法居住していた人々

(アイリッシュ・トラヴェラーズ)。

 

不法居住者を『活動家』が

支援したことで話が大きくなり

問題は全国ニュースになり

国連からも視察が入る中、

2011年10月

強制立ち退きは執行されました。

 

開始は10月19日午前7時。

翌日20日の夕方には完了。

 

ヘリまで出した警察に対し

居住者側は武器などは使わず

『座り込み』で抗議、これは

勝敗は時間の問題かとも・・・

 

居住者側の人数がもう少し

多ければ事態は

変わったかもしれないのですが、

当事者である居住者の一部は

暴力沙汰は困ると前日までに

現場を離れていて、

活動家の一部はその日

別の活動のために

デール・ファームを

留守にしていて、

活動家が過激な言動を

とったがために一部の支援者は

問題から距離をとっていて

・・・終わってみればこれは

警察当局側の事前準備が

優れていたということなのか。

 

でもここらへんは本当に

本文を、本を読んで欲しいのです。

 

 

 

 

居住者と支援者の間だけだはなく

居住者の内部で、支援者の内側で、

周辺住民の間でも

どんどん意見が相違していく。

 

デール・ファームに住んでいた

アイリッシュ・トラヴェラーの

多くは熱心なカトリックで、

そのツテで地元の神父さんや

信者さんが早い段階から

彼らを支援してきたのですが、

「カトリックは我々に

何も与えてくれませんでした」と

そうしたトラヴェラーズが

他派への改宗を

神父さんに告げる場面。

 

そこまで追い込まれた

トラヴェラーズの状況も

察するに余りあるし、

そう言われてしまった

神父さんの心境を思うと

それはそれで言葉がない。

 

もう万事が万事この調子。


それでもまあ

トラベラーズ側の居住が

不法であったことは

否定できませんし、

ですから行政側が

強制立ち退きに踏み切った理は

わかりますし、警察側が

強制執行の際に

『最悪の事態』に備えて

準備をして当日を迎えたことも

当然といえば当然なのですが

・・・立ち退きが完了した後、

一部の『合法的な居住者』までもが

デール・ファームから追い立てられ

自宅に戻れなかった理由は

なかなか理解するのが難しい。

 

表向きの理由は

『強制執行の結果、

周辺一帯の地面状態が悪くなり

健康と安全上の理由から

該当地域への立ち入りを

禁止せざるを得ない』みたいな

話なんですけど、確かに

不法家屋を撤去する際に

当局は結構荒っぽく

地面を掘り返したようで

現場は塹壕戦みたいな様子に

なっていたようなんですけど

(実際後日自宅に戻った住民が

穴に落ちて大怪我を負っている)、

でもそれは・・・それは

遵法精神が求められる行政が

「そういうことなんでヨロシク」で

済ませてしまっていい話なのか?

 

 

ともあれ強制立ち退きは完了し

周辺住民及び自治体はこれにて

めでたしめでたし、かと思いきや、

追い立てられたトラヴェラーズは

デール・ファームの横の道路に

キャンピングカーなどを停め

そこで生活するようになった。

 

勿論道路なので水道はおろか

下水設備もなく、

生活排水は垂れ流し、

ゴミはそこらへんに投げ捨てられ

結果ネズミが大発生、

ついでに病気も大蔓延。

 

だって行くところがないんです!

 

一部は近所のトラヴェラーズ用

サイト(居留地)に移動したものの

トイレ数などは明らかに足りない。

 

「せめて簡易トイレの増設を」と

行政に依頼するも

「でもそんなことをしたら

君たちそこに長居するでしょ」

 

行政側もトラヴェラーズに

住居の提供はしようとしたのです、

煉瓦とモルタルで出来た家を。

 

でも様々な理由で

トラヴェラーズ側は

その提供を断った。

 

自分たちは壁に囲まれた

『家』に押し込まれるのではなく

開放的なキャラバンで暮らしたい、

『一族』から離れて生活したくない

・・・同じトラヴェラーズ仲間から

「君たちが煉瓦とモルタルの家を

受け入れてしまったら、サイトで

キャラバンで暮らす仲間の権利が

損なわれるかもしれないだろ」と

説得というか脅しを受けてしまった

事例も存在するようです。

 

えっ、じゃあそれは

トラヴェラーズ側の

ワガママなんじゃないですか?と

思ってしまうのはしかし早計で

・・・それは彼らが歴史的に

ずっとずっと迫害されてきたことを

無視した意見だと思うんです。

 

私もこれまで知りませんでしたが

何かあるとトラヴェラーズは

簡単に社会の

スケープゴートにされる。

 

いざという時の保険として

『仲間』のそばに住みたい、

というのは普遍的な感覚で

(我々だって歴史的に

国外に『日本人街』を

作ったじゃないですか)、

『足』としてキャラバンを

確保しておきたいのもわかる。

 

でも同時に行政側の対応にも

限度というか限界はある。

 

私はこの本を読んでいて

「これは現代の移民問題に

つながる話だな」と

ずっと思っていたんですが

途中で考えを改めました。

 

これは現代の『住宅問題』に

直結する話なのです。

 

難しいし、解決策を

簡単に提示できない話です。

 

 

歴史を振り返れば

ジプシー/トラヴェラーズは

権力・行政には基本的に

ひどい目にあわされてきて、

「子供に教育を与える」と

言われ信じたら

子どもと引き離され

二度と会えなくなったり、

「仕事を斡旋する」と言われて

信じたら奴隷化されたり

収容所に送られて殺されたり、

強制的に不妊化させられたり

無実の罪を着せられたり、

ですから「素敵なおうちを

紹介しますよ」なんて

お上(かみ)の言葉を

素直に信じるのは

ちょっと難しいんだろうな、と

 

でも行政側としては

そこを信頼して

もらわないことには

何もできない

 

自分がジプシー/

トラヴェラーズ側だったら

どうやってここから

事態の打開を図るか

 

行政側の一職員だったら

どうやって案件を前に進めるか

 

一番簡単なのは

「悪いのは相手、自分じゃない」

と開き直ってしまうことかも

しれないんですが

それでは物事は解決しない

 

皆様ならどうするか

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イングランドの

『デール・ファーム』と

呼ばれる区画に居住していた

『アイリッシュ・

トラヴェラーズ』が

強制的に立ち退かされたのは

2011年10月のこと。

 

 

 

 

『No Place to Call Home』

によればジプシー/

トラヴェラーズに対する

社会的圧力はその

数年前から強まって来ており、

特に2010年の総選挙で

その傾向は

決定的になったようです。

 

「不法行為はその行為者が

誰であれ公平に取り締まろう」

イコール「ジプシー/

トラヴェラーズが不法に

居住している土地があるなら

不法行為者は

取り締まられるべきだ」、

つまり「デール・ファームに

不法に居住している住民

(アイリッシュ・

トラヴェラーズ)は

立ち退くべきである」。

 

それは確かに正論。

 

でもデール・ファームを

追い出された彼らはならば

どこに行けばいいのか。

 

 

窮地に陥った

アイリッシュ・

トラヴェラーズと

その支援者には

2つの道がありました。

 

1つは合法的な折衝を

当局と可能な限り重ねて

立ち退き決定を回避する、

あるいは立ち退き規模を

最小限に抑える、または

立ち退き期限を引き延ばしつつ

その間に合法的な次の

居住先を見つける。

 

もう1つは徹底抗戦。

 

この場合目指すは

『立ち退き回避』

一点になるので

『立ち退きの規模を

最小限化する』とか

『引っ越し先を

見つける』とかは

今後の選択肢から

外れることになります。

 

当時デール・ファーム以外の

ジプシー/トラヴェラーズの

不法居住地でも強制的な

立ち退きは実施されていました。

 

それを踏まえて折衝派は

最悪の事態

(強制立ち退き実施)の

可能性を念頭に置き

居住者の引っ越し先を探しつつ、

デール・ファームに住む人々が

最低限の医療などを

受けられるよう東奔西走。

 

しかし徹底抗戦派からすると

折衝派のそんな態度は許しがたい、

お前らどうして『敵』すなわち

『体制側』とそんな仲良く

協力なんかしているんだよ!

 

我々に必要なのは

戦う姿勢を世に示すこと!

 

世間の目がここに集まれば

強制立ち退きなんて真似

当局だってできないさ!

 

・・・というわけでここで

『活動家(activist)』が

デール・ファーム陣営に

招かれることになります。

 

活動家を構成するのは

理想に燃えた大学生や

純粋に社会正義を

実現したい市井の人や

「じゃあ合法ギリギリの

権力との戦い方を

教えてあげるね」的人々。

 

彼らはまずデール・ファームの

正面に『やぐら』を建て

「我々も皆さんと一緒に

生活することで共闘します」と

敷地にトイレ用の穴を掘り

テントを設営し、で、

何が起きたかというと

それまでトラヴェラーズの

皆さんが地域との共生を図って

定期的なゴミ拾いをしていた

敷地一帯は汚物まみれとなり、

活動家の皆さんが体制側への

敵意を露骨に示すので

医療従事者などは

敷地に入れなくなり

当局・警察機構は「おい、彼ら

一線超え始めていないか」と

いっそう警戒を強めることに。

 

強制立ち退き執行日当日、

警察は『相手は

武装している』前提で

デール・ファームに入りました。

 

ここらへんの流れを

読んでいて私は

近現代の社会運動の

難しさ、みたいなものについて

考えてしまいました。

 

力を持たない人々が

権力に物を言おうとした時は

どうしても数の力を得るしかない。

 

しかしその『数』を増やす中で

集団は一枚岩ではなくなっていく。

 

ある程度過激なことをしないと

一般大衆は問題に

目を向けてくれないけれど、

過激なことをし過ぎると

一気に世間の支持を失う。

 

少し古いですけど

日本の事例でいうと

三里塚闘争などにおいても

そういう流れが

あったと思います。

 

ここらへんの

デール・ファーム

居住者側の内部分裂の実態は

本当に本を読む価値アリです。

 

自分が当事者であったら、と

想像すると心底怖くなる。

 

・・・みすず書房さん!

 

あるいはミネルヴァ書房さん!

 

和訳を出しましょうよ!

 

ところで私、この話を

引っ張り過ぎていますね、

あと2、3日くらいで一応の

区切りは着けたいと思っています。

 

よろしくお願いします。

 

 

どのような集団・組織・共同体も

『完全に同じ考え方をする人々で

構成されているわけではない』、

これはちょっと考えれば

当然のことなのですが

我々はそこらへん忘れがちで

時々それが本当に

危険だったりしますよね

 

トラヴェラーズ側の

内部対立に関する記述は

読んでいて辛かったというか

身につまされたというか・・・

 

君らそんなこと

やっている場合じゃ

なかったでしょ、と

第三者的立場からは思いつつ

でも自分があの渦中にいたら

絶対にあの対立からは

逃れられなかったと思うんです

 

で、同じことは

デール・ファーム周辺の

地域住民側にもいえて、

トラヴェラーズの定住化に

断固反対の立場を

とる人がいた一方で

受け入れようとする人もいた

 

事象を理解するために

全体を単純化することは

有効な手法ですが

単純化が過ぎるとまた

全体理解から

遠ざかっていくと思います

 

難しいですねの

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