時々、人に関わらずに生きて行けたら最高だろうか、それとも孤独だろうか・・と考える事がある。
たいてい、それは数分考えて終わるのであるが、これを考える時は私が接客業で嫌な思いをしたときに多い。

今日も職場で働いていたら、家族連れが来た。
妻は「これ娘に買ったんやけど、大きすぎるから丈を直して」と言って来た。
そして妻は「ついでで申し訳ないけど、これ息子のやつで、これも丈合わせして」とスーパーの袋から別のブランドの商品を出して来た。

研修時、私達は本社の人間から「うちの商品でないものに関する質問は一切受けなくて良い。怒鳴られても受けられないと断れ。うちの商品に関するサービスは可能な範囲はやる。しかし、それはあくまでうちの商品であるから」と徹底的に教え込まれた。
そのため、私は「すいませんが、他社製品のため、丈合わせは出来ません」と断った。

夫の顔を見ると私から目を逸らし他人の振り。
子供らは母親の顔を見上げ、微妙な空気を読んでいる。
妻は「いつも、ここでやってもらってるけど」と言い捨てた。

私は「会社の方針で受けられない事になっています。恐れ入りますが、その商品を購入された店に行かれるか、丈直しのお店に行かれるか・・・」と言い終える前に「そんなに時間取る事じゃないでしょう?何がそんなに嫌なの?」と妻は怒り、私は黙って妻を見た。
私は正しい、正しいから妻の顔を見上げ続けた。
丈直しを待っている間、八つ当たりだったのか、手当たり次第に商品を手に取っては床に捨てて待つ妻。
何も言わない夫。
「お前が悪い・・」という目で私を見つめる子供ら・・

ああ・・この女は何故にそんなに怒っているのか・・
店長に報告し、「めっちゃ怒ってるんで、引き受けた方が本社へのクレームが行かずに済むのでは・・」と質問したが「こっちは会社の方針通りに仕事してるだけやから、受けんでエエ。怒らせといたらエエねん。もう相手にせんでエエ」と言った。

私の救いは店長である。
アカンもんはアカンと突っぱね、その方針を貫いてくれるから明確であるが、日本の元デパートガールの友人に話を聞くと、「鉄の心臓でないと日本の百貨店では働かれへんで」と言う。
実際にあった話を聞くと、世にもオゾマシイ話ばかりである。

生きて行く事は人に関わる事で、それを避けずには生きられないわけで・・
あの妻を見た夫は何を思うのか・・
おお、何て逞しく正論を言う女だと誇らしいのだろうか・・

そんなこんなで今日も頑張るのである。
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