職場にインド人の女の子がいる。
もう1年近くうちの職場にいるが、相変わらず返事も無い、挨拶も返さない、嫌な仕事はサボるか消えるかで、他のスタッフからのクレームが店長に絶えない日々。
それでも店長は「あの子は幼少期にイギリスに来て、差別を受けたり、いじめにあったらしいから人間不信になった。ゆっくり待ってあげよう」とスタッフらに言って聞かせて来た。

店長も本当は「偉い人材、採用してもうた」と思っているかもしれない。
が、そうそう簡単にクビにも出来ず、いつかちゃんと働くだろうと思っているのかも知れない。

そんな中、先々週にいつもの如く、その女の子が働く気を見せず、レジでもたれたまま客を無視し続けるという事をやってしまった。
私はサボらせないよう、彼女に目を配りながら仕事を与え続けるようにし、サボらないようにしてはいたが、しかし私とて他に目を向けねばならない新人がいるため、なかなか難しいわけである。

私は店長に「ちょっと、今日はヒドいですね」と言ってみた。
店長は「今、ラマダンやから・・と思う。日中は食べられへんやろ、ラマダンは。せやから、空腹もあって苛立つし、元気もやる気も出ないんちゃうかな。理解してあげなあかんと思う」と言った。

なるほど、ラマダンか・・
私は自分が彼女に給料を払う身でもないので、店長に「今日はちょっといつもよりヒドいでっせ」とだけ伝えたが、これに納得行かないスタッフがほとんど、いや全員だった。
あまりにも何もしないので、同世代のスタッフたちは入れ替わり立ち代わり店長の部屋を訪れた。

閉店後、店長は金庫を閉めながら私に「バックグラウンドを理解してもらうのは難しいわ」と言った。
そこに宗教が絡めば尚更の事、ここから出た事の無いまだ若いスタッフらからすれば、異文化異宗教は理解するのは無理に近いのかも知れない。

この女の子を採用して1年近く、未だその溝は埋められず。
移民大国であるイギリスの大きな壁が、私の職場にもあったのである。

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