韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』概要・ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』概要・ネタバレ・あらすじ・感想

韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』概要
2009年制作。
監督: ウォン・テヨン
主演:クォン・サンウ&イ・ボヨン



『悲しみよりもっと悲しい物語』と聞くと「なんだか変なタイトルだなぁ。」と思うかもしれない。
なぜならば、この映画を観終わるまでは、
身を切られるように辛い愛する人との別れという悲しみは、誰の身にも訪れるので、
誰もが同じように悲しいだろうと思うから、それよりも更に悲しい状況なんて想像がつかないので。

何か劇的な出来事が起こるわけでもない。平凡に淡々と流れていく日常生活。
ただ、その先に、避けられない別れが待っている。
その事を知りさえしなければ、一途に彼女の事を愛するケイ(チョルギュ)は、彼女に愛や夢を沢山、語った事だろう。
とっくにクリーム(ウォン)への愛を具現化するために行動に出ていた事だろう。

韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』ネタバレ・あらすじ
これは稀世な愛の物語であり、心の目を開けて見れば、物語が終わる時、言葉に出来ないその愛は、二重奏として完結した事に気付く。

まだ少年と少女だった頃に、互いの家族を失った二人は、偶然のような運命に引き寄せられて一緒に暮らすようになった。
ケイとクリームは共に音楽が好きだった。
一つ屋根の下で寝食を共にしながらも、けっして男女の一線を超える事はなく、やがて大人になったケイとクリーム。
大人になって、音楽が好きな二人が選んだ仕事とは、彼はラジオ局のディレクターで、彼女は作詞家だった。

大人になっても相変わらず子供の頃と同じように、一線を超えずに続いて来た二人の共同生活。
(この辺りはたぶん、現代社会に有りがちな汚れ切った魂を持つ男と女の理解の範囲を超えている。)

このご時勢、流行歌を作りセールスする側の事情としては、結局はお金儲が目的だから、
曲の詞というものも、ありきたりで、陳腐な愛の言葉の繰り返しが多くて、右から左に聞き流してしまいそうなのは、
どうやら韓国でも日本と同じ状況らしい。

そんな中にあって、マイペースで冷たい人のように見えるのに、何故か人の心に響く詞が書けるクリーム。
ある日の事、そんなクリームは悪びれもせず、ケイに「私、恋に落ちたわ~」と告げる。
胸にナイフでも突き立てられたかのような衝撃を覚えながらも、
ケイは、死期が迫っている末期癌患者の自分の代わりに、
見た目の気の強さとは裏腹に脆いメンタルを持ったクリームの傍で、生涯、支えてくれる人が必要だと考えて、
陰ながらクリームの恋が成就するようにと手を尽くすのだった。

「好きだよ。」とは言うけれど、それ以上の言葉も行動も抑えて、ケイは残された命を、ただクリームのためだけに使う。
当初は何も知らずにいたクリームだったが、ある日、ケイが服用している薬が末期癌患者用のものである事に気付いた。
大声を上げて泣いて…そしてクリームはある秘密の決意をする。
本当はケイが大好きでケイがいなければ生きてはゆけないと思っていたクリームだったが、彼女はその自分の本心を隠して、
過剰に自分の事を心配してくれるケイが安心して天国へ旅立てるようにと、心にもない虚偽の恋愛をケイの前ででっち上げる。
ラスト三分の一ほどで初めて開示されるそれこそが、クリームがケイにも隠し通した本心だったのだ。

韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』感想
このラブストーリーは、時が淡々と流れゆき、ケイは、ひたすら彼女に優しく、クリームは無神経で我儘な女のように感じられて、あまり面白くないかも…と途中で投げ出しそうになるかもしれないが、
ケイが可哀そうで、ケイの人生を最後まで見届けたいと見続ければ、ラストには涙なくしては見られない美しくも悲しい完璧な愛の形に遭遇出来ます。
そして、改めて映画の中に出て来るクリームが作った流行歌の詞を読み返してみたくなる。