製作されたのが1996年って、もう12年も前になるのかー。ドリュー・バリモアがこれで一気に人気復活したのよね。


「スクリーム」はそれまで「エルム街の悪夢」でほぼホラーファン限定で有名だったウェス・クレイヴンの名を一気に映画ファン一般のレベルにまで高めた作品。何しろ大ヒットだったから。


何となく、それまで自分はホラーの世界の人間なんだと思い込んでいたウェス・クレイヴン自身がこの作品で自分の壁を破ったというか突き抜けたんじゃないかという気がする。


というのも、実は「スクリーム」は厳密な意味でのホラー作品ではないから。スリラーではあるけれど。


ホラーというのは「主人公が得体の知れない恐怖と戦うもの」で、クレイヴンの出世作「エルム街の悪夢」はそのセオリーどおりヒロインのナンシーが悪夢を操るフレディー・クルーガーに必死で対抗するという話だった。このヒロイン、実は大層気丈で、映画の最後ではフレディーに勝つのである。


しかしヒロインを差し置き悪役のフレディーが何しろインパクト強かったもんで、その後も彼をメインに据えて続編のシリーズが次々に作られることになり、ウェス・クレイヴンといえば悪夢のフレディー・クルーガーと結びつけて考えられるようになってしまった。


そのため、その後どんな映画を作っても、何かこう、見る側のホラーに対する期待が漠然とふくらんでいる状態を微妙に裏切られる結果になりがちで、イマイチ鳴かず飛ばずといった時期が続いたものだ。


そういう自分に対して抱かれている「ホラーな」期待を100%利用して、その裏をかくような形で作られたのが「スクリーム」なのである。ホラーを見過ぎてスレた観客が読む話の先という先をことごとく裏切ってくれる心地よさ。これが「スクリーム」の醍醐味だった。


これでウェス・クレイヴン、ふっきれたのだと思う。


彼の真の興味は実はホラーにはなかったのだ。


彼がホラーにおいて本当に興味があったのは「主人公が恐怖と戦う」部分だけで、初心に戻って作りたいことをつきつめれば「ヒロインが恐怖と戦い、最後には相手をコテンパンに叩きのめす」ということだったらしい。


これは女性の目から見れば、最後に爽快な気分を味わえるので安心して見ていられる作品ということになる(かもしれない)。


もうひとつ、ウェス・クレイヴン作品には美男も出るのだ。

「エルム街の悪夢」に若い頃の超絶ハンサムなジョニー・デップが出ていたことはつとに有名だが、「スクリーム」のハンサムはスキート・ウールリッチ。目の保養になります。


女性向きの恐い映画を作るのが、きっとウェス・クレイヴンの使命なのである。