アメリカ人は地味なスポーツが嫌いだと聞いたことがある。


この場合の「地味」を具体的に言うと、「勝敗を決める得点の点数が低い」ということらしい。だからアメリカでは長くサッカーに人気が出なかったのだとか。確かに多くが1点とか2点の勝負だもんね。


言われてみればテニスやアメリカン・フットボールは一回に加算される得点が多くて確かに



景気がいいわよ。


でもアメリカ人の大好きな野球は一回に一点じゃないかと思ったが、これはイニングによって細かく攻守が交代するからメリハリがあって飽きないのよね。アイスホッケーも一回一点だが、20分のピリオドを3回戦って勝負がつく。


そう、バスケットボールもバレーボールもそうやっていつの間にかアメリカ人好みにルールを変えられて現在の姿となったのだ。得点がガンガン重なるが、昔のルールを知っているものには何か味気ないルールに。


その結果アメリカで隆盛を誇るようになった競技にはショーがつきものである。ゲームの間のインターバルにさえ観客を退屈させないためだ。



さて、卓球はどうだろうか?

 


得点は一回に一点ずつ。11点先取で決まるゲームを先に3つ取った方の勝ち。


つまり、時間ではなく11点先取でゲームの勝敗が決まるのだが、これが上級者になると延々とラリーが続くのでなかなか決まらなかったりするのだ。テニス程派手なポーズでサーブをするわけでもないし、コートが外にあるわけでもない。風のない体育館で息詰まる試合が繰り広げられるのだが、ピンポン球は小さいので猛スピードで打ち合ったりされた日には目で追うだけでも疲れてしまう(少なくとも私は)。


どう考えても卓球本来の姿をそのまま映画にしたところで、アメリカ人の観客に受けそうにもない。



というわけでこの映画が見せてくれるのは、一大ショーアップされたピンポンである。アメリカ人の手にかかると、あの真面目で激しいスポーツのはずの卓球が、ここまでエンターテインメントになるものかと感動さえ覚える。

何か私が今まで卓球に対して抱いていた貧困なイメージが見事に全部覆されてしまった。


こんな派手なピンポン見たことない


とにかく「ピンポン」というスポーツでどれだけ遊び尽くせるか、それを徹底的に追求した映画なのである。

見せ場を作るためにはルールの改変だってしちゃう。

あり得ないけど、でも映画を見てる間はつい本気で見てしまう。


観客を楽しませるためならとことんやるぜ! という製作サイドの心意気が伝わってくる映画だった♪