ブログネタ:酢豚にパイナップルはアリ?
参加中
本文はここから
いや~、今まであれはてっきり「甘酸っぱい」味付けが基本だと思ってましたわ~。
実際に作る時の調味料に「酢」と「砂糖」をどっちゃりつかうもんで。でも「塩」も当然使ってるわね。
元々が甘酸っぱい味付けのところに甘酸っぱいパイナップルが入っても、別にどうってことないと思ってた。
ちなみにお肉は別に揚げてから入れるのが普通なので、お肉を柔らかくするためにパイナップルの酵素を使いたいなら揚げる前のつけ込み調味料に使用しなければ意味がないですね。どっちみち生のパイナップルでなければ酵素は生きてないから、缶詰のパインとか入れてもお肉には何の影響もないんだけど。
この世で誰が一番最初に「酢豚にパイナップルを入れてみよう!」と思いついたのかは知らないけれど、その人はきっと料理の「味付け」よりも「彩り」に重きを置く人だったんじゃないかと思う。
だって、デパ地下のお総菜屋さんに並ぶ酢豚の中でもパイナップルの黄色は鮮やかに人目をひくもの!
お料理を美しく見せるのに必要な色は「赤」「緑」「茶」「黒」そして「黄色」。
御飯の「白」という背景にこれらの色が彩りよく映えれば、「美味しそう」というイメージが湧くのよね。
酢豚だと、イメージカラーは茶色。ケチャップの入った甘酢あんが全体を覆っている感じ。
そこにピーマンやさやえんどうの「緑」、しいたけの「黒」、にんじんで「赤」まではなんとかなるものの、ポイントカラーとなるべき「黄色」がどうにも足りなかったのだと思われます。
ぎんなんは綺麗な「黄色」で、実際に酢豚に入れても美味しいのだけど、一粒が小さいのでどうしてもボリュームにかける。
タケノコも黄色っぽいけれど、色が薄いので色の強い甘酢あんの中では何だか自己主張が足りない感じ。
この料理の彩りを完成させるには、どうしても鮮やかな黄色でかつある程度の大きな塊である食材が必要だ……。
料理人は悩んだと思います。苦肉の策で卵焼きとか入れてみたりしたかも。でもこれは、酢豚の材料の中で恐らくこれだけ歯応えが異質になるため避けたかったのではないかと。柔らかいから。
黄色くて、歯応えがあって、一口サイズの大きさで使えて、そして甘酢あんに負けずに自己主張しつつ、かつ味わいをこわさないもの。
「そんな食材、この世にあるのか?!」
頭を抱えて悩んでいる料理人。
その時彼の目に飛び込んできたのがパイナップルの缶詰だったんじゃないでしょうか。
「黄色くて」――問題なくクリア。
「歯応えがあって」――立派にクリア。
「一口サイズの大きさで使えて」――カットして楽々クリア。
「甘酢あんに負けずに自己主張」――あんにからめる直前に加えることでクリア。
最後に残った一番の問題が「味わいをこわさないもの」であることだけど……
できあがった最新の彩り鮮やかな「パイナップル入り酢豚」のパイナップルを恐る恐る口に入れた料理人はきっとガッツポーズ(或いはそれに類するポーズ)を決めたんじゃないかな?
でないとこれだけ堂々と大々的に人前に出さないでしょ。
今なら赤や黄色の綺麗なパプリカが店頭に幾らでも並んでるのでにんじんやパインの代わりにパプリカ入れてもいいだろうけれど、味わい的には淡泊で変化に乏しいものになりそうです。
料理はその地域に住む人の好みによってどこの国の料理もどんどん味が変わっていくもの。
何でも取り入れてトライしなきゃもったいないですよ。
不味かったら泣くけど。
ええ、いつも「見た目の彩りの綺麗さ」しかない料理にダマされている私です。