といっても、ソリストではなくコーラスである。
コーラスを趣味にして数年たつのだが、普通のコーラス曲ばかりでは飽きるので今度はオペラの合唱にチャレンジすることにした。
楽譜を貰ってびっくり。
どこを歌ったらいいのかさっぱりわからない。
レッスンに行ってがっかり。
オペラの合唱は所詮ソリストのそえもの、日本でいえば民謡の合いの手。「ソーラン節」であれば「ヤーレンソーランソーランソーランソーランソーラン、ハイハイ」で終わってしまう、アレ。メインの「にしん来たかとかもめに問えば~ああ、わたしゃ立つ鳥、波~に~聞け、ホイ」は唄っちゃいけないのである。つまらないこと夥しい。
そのくせ、オペラだけあって難しい。
かつてないほど装飾音が多用される楽譜にいきなりめげてしまう。
これを歌いこなすには相当なテクニックが必要だ。
しかも原語。
イタリア語は日本語と発音が近い、というので大抵原語で歌わされるのである。
発音が近い、といっても近いだけで同じではないので、母音なんか徹底的に直されるのだが。
一体どれだけ練習すればいいのだと気が遠くなる。
そして、きちんと歌えるだけのテクニックと声量とイタリア語を身につけても、合唱の部分は短く途切れ途切れで歌ったところで達成感はあまり得られそうにない。
そりゃー音大出て歌の道を志すような人はみんなソリスト目指すわけだわ~と、合唱部分なんか歌っててもつまらんもん、と当たり前のことに改めてひどく納得した練習第一回目であった。