「SLEUTH スルース」公式サイト

ジュード・ロウ インタビュー ムービーウォーカーレポート

上のインタビューの時に撮影されたジュード・ロウはどこかの山田五郎教授そっくりですが、
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「スルース」に出てくるジュード・ロウは輝くばかりに美しいです。やっぱりフィルムは女優も男優も美しく見せるものなのだわ。もちろんマイケル・ケインだって負けずに美しかったです。

この二人の火花の散らし合いはそりゃスゴかった。

マイケル・ケインは年のせいで衰えた美貌をカバーするのに人生経験の豊富さと圧倒的な知識を駆使してジュード・ロウを押さえ込もうとするし、ジュードの方は若さそのものを武器にマイケルを押しのけ翻弄しようとする。

それが役に入った演技なのか、演技者としてのマイケルとジュードのつばぜり合いなのか、見ている方にも判然としない。それ程迫真の演技合戦で、まるで映画ではなく舞台劇を見ているようだった。

実際、元は舞台劇だし、その設定を完全に生かした脚本ではあるのだが、映画として見た時に退屈しないように舞台となる家の部屋やインテリアには工夫が凝らされているし、カメラワークは見るものを飽きさせないように刻々と変化する。

もの凄く作り込まれた人工的な環境で、緻密に練り上げられた台詞の一つ一つをウソに聞こえないようにリアルに演じるのは至難の技に違いない。

それをこの二人は喜々としてしてやっている。役者冥利に尽きるとはこのことなのだろう。

特にジュード・ロウの嬉しそうなこと!

彼は元々演技派として知られているのだが、最近の映画ではどうも彼本来の演技力を発揮する場に恵まれていなかったとみえる。本人が一番それを感じていたのだろう、彼がプロデュースしたこの作品で彼自身の演技力をすべて出し切り、自分自身のあらゆる側面を観客に荒々しく叩きつけていた。

ストーリーが進行するにつれ、その関係が著しく変化していく登場人物達。同じ人間が違う立場に立った時にどれだけ変わるのか、それを彼らは観客に示してくれる。

謎解きよりも何よりも、彼らのシーソーのように刻々と変わる上下関係のあり方がスリリングだ。

支配と支配されるものの関係。

どちらがより強い力を持つのか?

愛する者と愛される者、どちらがどちらを本当に支配するのか?

男女関係では泥沼にはまるだけのその関係性を、男達にあてはめることで鋭くえぐり出す、それが「スルース」のおもしろさ。

だから例えリメイク作品でストーリーを知っていたとしても、新しい「スルース」は100%楽しむことができる。

こんな美しい男達と舞台を楽しむ上等な時間は何度でも繰り返し味わいたい。