「MONGOL モンゴル」公式サイト(ココ )
映画を見始めてまず思ったのは、とにかく
ただただ「広い」ということだった。
その次に、出てくる人達の顔を見て思ったのが
「あ、朝青龍と同じ顔」。
これはもー、ここが紛れもなく朝青龍の出身地であることを如実に物語ってましたね、「モンゴル」は。
あの~、ほら、「フラッシュゴードン」なんかで戯画化して出てくるヨーロッパを占領に来る東洋人の顔ってあるじゃないですか、あれ、やっぱりそのままモンゴル人の顔なんですね。当たり前っちゃ当たり前なんだけど、今まで誇張してああいう顔に描いてるのかと思ってましたが、実はリアリズムだったわけで。
一人や二人ならそうは思わないですが、出てくる顔出てくる顔朝青龍だと、こりゃ総合してモンゴロイドはああいう顔として描かれるわけだわと納得させられてしまいます。
主役のテムジン(長じてのチンギス・ハーン)にモンゴルの俳優さんではなく日本の浅野忠信さんを起用した理由はこれですね。この映画を国際市場に出品する時、バイヤーの西洋人に登場人物の顔の見分けがつかなかったら困るから、一人だけ顔立ちの違う日本人俳優を主役に据えてスクリーンの中でどこを見ればいいのかの目印にしたんですな。
それが功を奏して「モンゴル」はアカデミーの外国語映画賞にノミネートされるまでになったと(←違うから!)。
浅野さんはモンゴルの俳優さん達に混じって決して違和感はないのです。
それでいて、やはり一人だけ雰囲気が違うんですよね。
常に血気に逸って見えるモンゴル人の中にいて、浅野さんのテムジンだけは静謐なのです。
決して冷たいわけではなく、心は火のように燃えているのに、それでいて目が静かなのですよ。
この目が彼の冷静さと明晰さを言葉以上に物語っているのですね。
その目をしているテムジンだからこそ、これだけのことができたのだという説得力に満ちている。
彼が主演でなければ、「モンゴル」のオスカーノミネートはなかったと思います。
浅野さんといえば「五条霊戦記 GOJOE」で遮那王(義経)を演じ、隆大介 の弁慶との凄絶な死闘を繰り広げた時の目の演技が素晴らしかったんですが、「モンゴル」を見ていて久々にそのシーンを思い出しましたよ。
日本では撮れない映画、ありえない役で彼の本領が発揮されていました。
言葉も違うし、悲惨な境遇にみまわれてばかりの役で演技していても相当大変だったんじゃないかと思いますが、その努力がノミネートとはいえオスカーという形で報いられてよかったです。
こうして日本でも公開されたわけですし、あとは一人でも多くの方に見て頂けるよう祈るだけです。