「バンテージ・ポイント」公式サイト フォトギャラリー (Yahoo! 映画)
最近の習慣としてほとんど予備知識を仕入れずに見に行ったので、出てくる俳優さんにも思いがけない人が多く、というか顔は見覚えあるのに名前が思い出せなかったり、そもそもどの映画で見かけたのか覚えてなかったりで見ている間さんざん頭を悩ませてしまった。
そういう俳優さん達を家に帰って即PCで調べ、「お~」と納得したり「え~?」とびっくりしたり「やっぱり♪」とにんまりしたりするのも映画の楽しみの一つである。
「バンテージ・ポイント」はそういう楽しみに満ちた映画だった。
冒頭、シガニー・ウィーバーが出てきて衛星中継の陣頭指揮をとっている。
何故かその前の日ぐらいに「そういえば最近シガニー・ウィーバーを見ていないけれどどうしているかしら」なんて思っていた所だったので、これは大変嬉しかった。
相変わらず、やり手で自分のなすべき仕事を完璧に心得ているスーパーウーマンぶりを発揮していた。
敵がテロリストでなくエイリアンだったら、彼女を見るなり尻尾を巻いて逃げ出したことだろう。
シガニーにイビイビ言われる女性リポーター役にゾーイ・サルダナ。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ヘイヴン」でオーランド・ブルームと共演していたけれど、何といっても印象的だったのは「ターミナル」で空港職員を演じた時の迫力ある「NEXT!」の声。強気な役が似合うのに、この映画の中ではイマイチ本領を発揮する暇がなかったような……。
真打ちのデニス・クエイドは、私の記憶が確かならば裸体での登場(違ってたらゴメンナサイ)。
「ダイ・ハード2」のウィリアム・サドラーよろしく鏡にすっぱだかの自分を映しながらマーシャル・アーツのトレーニングに勤しむナルなお方なのかと一瞬目が点になったが、幸いそうではなかった。
ここで彼の沈鬱な表情と少々くたびれた体を露出させておくことが後々じわじわと効いてくる。目を点にしている場合ではない(反省)。
その彼に親しく声をかけ何かと面倒見良さそうな雰囲気のマシュー・フォックスは「LOST」のジャック先生そのまんま。黒スーツをびしっと決めてシークレット・サービスという役にぴったりはまってている。身のこなしも機敏でフットワークも軽く、そのせいか神出鬼没にさえ見えるが、さわやかな笑顔でもめ事を取りなして歩くのがやたら板についているのがおかしかった。
ラフな服装に中途半端に濃い髭でも滲み出る男前は隠せない! だ、だ、誰だっけこのラテンの色男~、と映画の間中気になっていたサラマンカの警官は、あとで調べたらエドゥアルド・ノリエガだった!
「オープン・ユア・アイズ」の彼だもん~、そりゃいい男に決まってるわ~。ヴィゴ・モーテンセンとは「アラトリステ」で共演した仲だけど、時代物も現代物もどっちも似合ういい男って好き~(と、家に帰ってから改めてメロメロになってしまったことをここに告白します)。
エドゥアルド・ノリエガと美女を介して接点を持つ目に見えて危険そうな男は、「ボーン・アルティメイタム」のパズだからそう見えるのか。パズだよねえ? と思ってこれもPCでチェック。はい、そうでした。
パズことエドガー・ラミレス、驚いたのが「ドミノ」のチョコ役だったこと。それってキーラ・ナイトレイといい仲だったちょっとハンサムな彼だよね? え? その面影はいまどこに?(←おいおいおいおい) パズの時から全然分からなかったよ、人間ヘアスタイルって大事なのねー(←それが感想か?)
アメリカ合衆国大統領にウィリアム・ハート。この前印象に残った役は「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でヴィゴの兄にして冷血なマフィアの親分だったのに、今回は温厚で正義感あふれる理想的なアメリカ大統領。「エアフォースワン」のハリソン・フォードの大統領に負けてません(本当はちょっと負ける)。
大統領を感激の面持ちで撮影するただのアメリカ人観光客にオスカーウィナーのフォレスト・ウィティカーが起用されたのには立派な理由があった。彼の巨体なら周りの人々から頭一つ上の所でハンディカムを構えられるので、いつでも邪魔の入らないクリアな画像を人様に提供できるのだ! いや、もちろん演技力も素晴らしいんですが。でも彼の巨体はこの映画では本当に効果的に利用されていた。
そのフォレスト・ウィティカーに親しげに声をかける気さくな男性にも見覚えがあったのだが、これもどうしても思い出せなかった。特徴のある顔立ちなのだけど、名前がどうしても出てこない。
それも道理で、名前を覚えたことがなかったのだから仕方がない。サイード・タグマウイ、がんばって覚えなきゃ。
彼の顔は今年に入って「君のためなら千回でも」で見たらしいが(←覚えてない)、印象に残ってるのはヴィゴが主演していた「オーシャン・オブ・ファイヤー」でのの陰険なプリンス役の方だった。
大統領の側近として偉そうな顔のおっさんが幅をきかせていたが、彼も思い出せなかった。
調べたら「エリザベスタウン」でオーランドと共演していたブルース・マッギル。ウィリアム・ハートもそうだけど、役者さんって本当にがらっと印象を変えてしまうのが凄いとしみじみ思う。こんな横柄なオヤジだとは夢にも思わなかったよ(←だからそういう役なんだってば)。
このキャスティングで、本当に悪い奴、というのは一人もいない。
全員がそれぞれの信念に従い、それで良かれと信じて行動しているのだ。
それが一番恐いのかもしれない。