この映画って、とっても秘密裏に製作が進行してる、という情報そのものがすでに宣伝計画の内だったんだよね。
「クローバーフィールド」というタイトルも、ジャッキー・チェンの「プロジェクトA」のように制作中の映画のタイトルを隠すために使われていた呼び名を結局そのまま公開のタイトルにしちゃったみたいな感じ。
とにかく事前にリークさせる情報を極力おさえて、それで観客の興味をひいて映画館に動員するという作戦が大成功を収めて、第1週は興行成績一位でスタート。でも2週目からはガタ落ち。
まあ、そりゃ仕方ないわ~と思うのは、この映画を見ても他の人に「おもしろいから絶対見て!」と勧めたくはならないから。「あ~、見とけば話のタネにはなるんじゃない」ぐらいは聞かれれば言うかもって感じ。
情報が制限されているといっても、幾らかは漏れ聞こえてくるものがあって、その僅かな情報により好奇心を刺激されて期待を盛り上げちゃうのが人間の心理ってものじゃないですか。
そのいわば勝手に盛り上がった期待を満たしてくれないんですな、この映画は。
かといって派手に期待外れなわけでもない。
元々期待されることを拒否しているような宣伝方式だから、期待が裏切られたと文句をつけることもできないし。
何というか、物足りない。
ごはんで言ったら腹八分目。美味しい物をたらふく食べたからここらでセーブしようという腹八分目ではなく、病人食のようにもっと食べたいのに仕方なく我慢しなけりゃいけない八分目。
とりあえず空腹感はしのいだものの、満腹感には程遠い。
それはもしかすると私が日本人で、子どもの頃から怪獣映画を見て育っているせいかもしれない。
「クローバーフィールド」は怪獣映画ではない、と頭ではわかっていても、巨大で凶悪な生物が出てきたらそれはやっぱり怪獣じゃんかよ~と思ってしまう自分がいる。
恐らく日本人の大半がこの映画を見たら同様な感想を抱くのではあるまいか?
1週目の興行成績は日本でも1位だったけれど、2週目はどうなるか。
きっと全米の時と同じ展開になるような気がする。