最新エンタメニュース 超話題作、アノ邦画をヒントに制作!


上の記事では明確にされていませんが、


>本作に多大な影響を与えたという日本のとあるキャラクター


というのは、紛れもなくあの「ゴジラ」。

それはエンディングテーマを最後まで聞いていると、音楽までが伊福部昭(「ゴジラ」の作曲者)へのオマージュになっていることからも判る。

もっともそれは映画を見ていれば最初から明々白々ではあるのだけど。


でも映画自体は全然「ゴジラ」じゃありません。

いわゆる怪獣映画でさえないわ、はっきり言って。


日本人が怪獣映画に期待するもの、それは怪獣対怪獣(或いは巨大ヒーロー)が一対一でがっぷり四つに組むタイマン勝負。「同じ土俵で戦う」という言葉が象徴する通り、それは日本の国技である相撲を観戦するに等しい熱い思いなのだ。


ハリウッド版の「ゴジラ」が日本での興行成績がふるわなかった理由はここにある。

ゴジラが出てきたって人を追い回すばかりで他の怪獣と対決しなかったら「怪獣映画」にならないじゃんか!


あ、ちなみに「ゴジラ」の第一作は怪獣映画じゃありません。あれはSFです(ってことで←おい!)。



百歩譲って「クローバーフィールド」が怪獣映画じゃなくて、正体不明の巨大生物が出現した際のパニックとリアルな対処を描いた映画だとする。


でもそれも日本では平成ガメラでやっちゃってるんだもんね。

「ギャオス」「レギオン」「イリス」とドラマ仕立てで見た方がよっぽどおもしろかったわ。最後にはガメラが出てきてしっかり相撲対決してくれるからやんやの喝采もあげられるし。

ちなみにアニメ(orコミック)では「パトレイバー」で似たような話やってます。これはパトレイバーが睨み合ってくれてました(日本で「クローバーフィールド」をリメイクする時は脚本は伊藤和典で決まり!)。



アメリカには相撲がないから、結局「怪獣映画」というものの本質が分からないままなのだと思う。

日本の怪獣映画で怪獣同士が対決する時、それは東と西に分かれたそれぞれの陣営の代表としての勝負であり、勝った方が日本の国土全体に君臨するという、いわば世界の支配を賭けた戦いなのである。だからゴジラは「怪獣王」と呼ばれるのだ。怪獣の中で一番強いからではない、その内在する力により日本人にとっての全世界をも支配しているからである。相撲は未だ日本人にとっては神事であり、それを力士に変わって請け負っていたのが怪獣映画だったのである。


神聖を帯びていなければ、怪獣は単なる災厄である。


しかし単なる巨大生物が出てくる映画でも「キングコング」や「ジュラシックパーク」等おもしろい作品はたくさんある。それは現実にはあり得ない巨大生物がスクリーンの中をのし歩くという快感を観客に与えてくれるからだ。「トランスフォーマー」なんか、巨大ロボットが動いて喋って変形するだけなのに見ていてゾクゾクしたものだ。


ところが「クローバーフィールド」にはその喜びさえない。ハリウッド版「ゴジラ」でもそこだけはしっかり押さえていたし、「グエムル」でさえ外さなかったのに。


出てくるのは恐ろしげな姿の怪物の一部分だけ。でもそれは「エイリアン」でもう見た。

揺れ動くカメラにとらえられる不鮮明な映像の中をよぎる得体の知れない物。でもそれも「ブレアウィッチプロジェクト」でもう見た。

怪物そのものではなく、怪物のなした行為の凄まじさでその偉容を想像させる手法。でもそれは「LOST」ですでに何度も見たやり方なのである。


結局、本当に新しいものが一つもない作品なのだ、「クローバーフィールド」は。

それが見ていて全く感動できなかった本当の理由である。