てなセリフはもちろん言ってませんでしたけどね、ポーズ決めた主人公のボーズ頭の後ろっ側に妙にでかい月がぼんやり浮かんでいたシーンを見ていて、つい。


「ヒットマン」 公式サイト


この映画は人気ゲームが原作だそうで、実際「セーラームーン」の決めゼリフである「月にかわってお仕置きよ!」の「月」を「組織」或いは「天」か何かと言い換えれば、この主人公そのまま使えるんじゃないかという程度の設定なんですわ。


要するに、全然現実のものではない世界がそこで語られているわけで。


何しろ元がゲームですから、ヒットマン、殺して殺して殺しまくる。そこには良心の呵責など微塵もない。


だから殺される方は単なる標的として、映画の中ではほとんど人間性を感じさせないようなキャラになっていて、彼らが幾ら倒されても観客の胸が痛んだりしないよう上手く作られています。血しぶきはふんだんに上がるけれど血腥くないというか。


その見せ方が道徳的に良いのか悪いのかは分かりませんが、映画としては上手い作りです。観客は被害者である敵キャラに一切の感情移入を持たないので、安心して「イケイケ殺せ!」とばかりにヒットマンを応援してゲーム感覚を楽しむことができますから。


「バイオハザード」シリーズ、「ドゥーム」、「サイレントヒル」などゲーム原作の映画はいろいろありますが、ホラー系をいいことにねっとりした悪趣味な場面が盛り込まれていた(特に「サイレントヒル」)のに比べ、「ヒットマン」は非常にドライでスッキリした映像に徹していて、見ていても綺麗でしたね。その辺を物足りないと思う人もいるかもしれないですが、私はこれでよかったと思っています。


設定さえ「ゲーム」としてのみこめば、映画の中の世界は細部までリアルに作り込まれているのでちゃんと現実感もあるのですね。よくできたSF映画を見ている感じで、上等なフィクションです。


見終わった後に感動が残るわけではありませんが、見ている間は楽しめる。

映画ってそれで充分でないかい? と思える作品でした。