ブログネタ:失恋の傷の癒し方
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御安心下さい、失恋した相手に向かって実弾込めてぶっ放すわけではございませんので。
以前から何度も書いてますが、今年の2月のLA旅行は失恋の傷を抱えての感傷旅行だったわけですよ。で、メインはオスカー像をこの手に抱くことだったわけですが、旅行を計画してる時HISのオプショナルツアーに「シューティング」があることを発見したのですね。
LAは治安があまりよろしくないので、日が暮れてからの外出に地下鉄は利用しない方がよいと言われてました。そうなると夜間の外出はタクシーかレンタカーになるわけですが、どちらにしても言葉が流暢に通じるわけでない国では利用に二の足を踏んでしまいます。夜は出歩かないでホテルのバーで飲むか、部屋でぼーっとテレビの鑑賞するぐらいしかないかなと思っていたのですが、この「シューティング」、日が暮れた頃に車でホテルに迎えに来て貰い、射撃場でインストラクター付きで実弾を撃ち、その後再び車でホテルに送って貰えるという至れり尽くせりの、まさに私達に持ってこいのツアーだったのですよ。
身内に相談すると大乗り気!
3日滞在するLAの1日目と3日目の両方で行こうと言い出す始末。
さすがに私は初日から行く気にはなれず、何かあっても後は帰るだけの最終日の3日目だけにしようということにして、早速ツアーの申し込み。
出発のほんの数日前だったのですが、首尾良く受け入れて貰えて気分はもうスナイパー。38口径がいいだのポンプアクションのショットガンがいいだの、その時点でもう二人とも浮き浮きしておりました。
さて、着々と予定をこなしたLA滞在の3日目の夕暮れ、いよいよその時がやって参りました。
現れたのはランボーとは正反対の大変礼儀正しい日本の紳士。この方が本日のドライバー兼インストラクター氏。
一見ごく普通の人に見えて、話を聞く内にタダモノじゃないのが分かってくる、まさに能ある鷹は爪を隠すを地でいってるおじ様でございました。
この方、恐らく、もう日本に帰っては来ますまい。
銃を撃つのが好きで好きで好きでたまらなく好きでしようがなくて、それでこのインストラクターの仕事を喜々として引き受けてらっしゃるのだということがひしひしと伝わって参ります。日本だと警官になっても年間に撃てる弾がごく僅かだとおっしゃってましたから、もはや好きなだけ弾を撃てるLAを離れるなんて考えられないのだと思います。
LAの日本人社会ではちょっとした顔に違いないインストラクター氏の語る話を興味津々聞きながら、別のツアーバスの帰りが遅れてるせいでまだ現れない同行予定者を待ちます。
やがて現れたのは大学生らしい青年が一人。
単独でツアー参加なんて珍しいなと思っていたら
「一緒に行く予定だった友達がドタキャンしたものでシューティングに行けるかどうか心配してたんですけど、他に行く人がいてくれてよかったです」
なんて言うじゃないですか。
うちの身内もイタリアツアーに行くはずだった友達にドタキャンされて腐ってた身の上、同じような境遇の人が他にもいることを知っていたく感激した様子。
うんうん、やっぱりそういうことって、あるんだよ。友達甲斐のない友達に振り回される可哀想な人間はきっとたくさんいるんだよね。
銃を撃つまでもなく、このシューティングツアーに参加したことで半分癒されている身内でした。よかったね。
この後インストラクター氏の運転する車で別のホテルへ向かい、そこでもツアー客を拾うとこれが女子大生らしき二人組。男一人に女四人というグループで銃を撃ちに射撃練習場へ。自分達を棚にあげてちょっと不思議に思いましたが、インストラクター氏が言うには男性より女性の方がよっぽど度胸があるとのこと。最初おっかなびっくりでも、最後まで喜んで打ち続けるのは大抵女性客の方なんだそうです。
そしていよいよ手渡される38口径。感動の一瞬。
感想は……重っ!
オスカー像も重かったけど、拳銃も重いのなんの、びっくりですよ。
こんな重いもん片手で持つだけでも大変だ、二丁拳銃なんて神業だと、初めて認識しました。
44マグナムを片手でぶっ放すダーティー・ハリーはだからすごいのね~。
撃ち方の説明を聞き、耳栓をつけて、いよいよ実弾を発射するために射撃場へと入ります。
映画でよく見る紙の的、あの人体を模した絵の描いてある的ね、あれをつけるの装置をガラガラ~っと手前に引いて新しい紙をとりつけて、そしてまたガラガラ~っと向こうにやります。これだけでも感激。
自分で一個ずつ実弾も込めるんですよ、うひひ♪
最初は手際よくいかないものですが、段々に慣れて少しずつ早くなります。
インストラクター氏の指示に従って、両手で38口径を構えてダブルアクションで撃ちます。
的に穴は……あきません。
何度撃ってもあきません。
私の撃った弾はどこへ行っているのでしょう?
「ダメですよ、天井ばかり撃っちゃ。狙うのはあっち、的」
と隣でインストラクター氏が笑い転げていらっしゃる。
どうやら撃つたびに私の銃は反動で天井を向いているらしい……。
しつこいようですが、重いんですよ、ハンドガン。
あたしゃまっすぐ前に構えてるつもりなんですが、どんどん下を向きそうになって、それで無理に持ち上げようとして撃つから余計に狙いが天井になるみたいで……ええ、どうせ、下手っぴですよ!
それでも二度目の装填ぐらいからポツポツと穴があくようにはなってきました。
人体の的からは大幅にはずれてるのばかりでしたが。
あんなもん、あたんないわよ!
なんて思って他の人のを見ると、結構頭とか胸とかに集中して穴があいてるんですよねー。しかも穴の数が私の二倍ぐらいある……どんだけはずしとるんじゃ、私!
いやしかし、的に当たろうが当たるまいが、銃をぶっ放すのは気持ちがよいです。
的を狙う時に集中し(それでも外れるんだけど)、次の瞬間には弾丸が発射されて解放される。
その単調な繰り返しがストレス解消には最高みたいで、失恋だのなんだのでモヤモヤしていた気持ちが一気に晴れていくのを感じましたね。
身内なんざ味をしめて、かねて念願だったポンプアクションのショットガンに追加料金払って挑戦してましたよ。
自分でやったのじゃないので聞いた話ですが、これは当然ハンドガンよりもずっと重くて持ち上げてるだけでも女の力では大変だったとのこと。銃床を肩にあてて引き金をひくもので、次の日には肩のその部分が打ち身になってアザになってました。
それでもポンプアクションで薬莢を排出する時は「バイオハザード」のミラちゃんになった気分で、大変気持ちが良かったとのこと。友達とのつまんないいざこざは、おかげですっかりどうでもよくなったそうです。
同行の青年もショットガンを打ち、さらに44マグナムにまで挑戦してダーティー・ハリー気分でにっこにこ、女子大生二人組の内一人は大変精度の高い射撃を披露してインストラクター氏を感心させてました。
適切な指導の元、一切のトラブルなくシューティングは終了し、全員が昂揚した気分を味わいつつ帰りのドライブではお喋りに花が咲きました。インストラクター氏はLAを訪れる日本の芸能人のお世話などもよく引き受けているそうで、裏話などもいろいろ聞かせて貰い、目を丸くしたりして。
氏はニコール・キッドマンにも会ったことがあるそうで、とにかく肌の白さが印象的だった、なんておっしゃってました。
私と身内は今なら発射残渣がついてるから硝煙反応ばっちりだー、グリッソム主任に調べて欲しい~とか「CSI」気分まで味わってきゃーきゃー騒ぎつつの大満足。記念に貰った穴だらけの的(私のは穴が少ない)を大事にスーツケースにしまいこんで喜んでました。
日本では決してできない体験をして、いやな思い出を全て吹き飛ばしてしまったLAのシューティングツアー。
オスカーも重いがハンドガンも重かった!
そして反動はすごかった!!
この体験の重みがあれば、次に失恋しても乗り越えて行けそうな気がします。
だめだったらもう一回銃を撃ちにLAに行くさっ!