「ランボー 最後の戦場」 公式サイト
「ランボー」シリーズを劇場で観るのはこれが初めてだったりして……。
いつものシネコンなのに、今日は違う劇場に入ったのかと勘違いするぐらい男客が多かったです。
近頃は肝心なアクションに入る前にウダウダと紆余曲折が多くて2時間以上もあるような映画が増えましたが、この「ランボー 最後の戦場」に限ってはそんなことありません。スティーブン・セガールの映画よりもまだ単純に、ズバッと見せ場に入ります。
これはやっぱり「ランボー」というキャラがそれだけ確立しているからできるのでしょうね。シリーズものでなければこのキャラの説明だけに一時間とかかかっちゃったりするワケですが、その必要がないのが強みです。んでまたキャラがキャラだけに家庭的なしがらみとかも一切ないのが小気味よいですわ。「ボーン・アルティメイタム」のボーンみたいなものですが、前作から20年も経っているのにそのままのキャラで通用しちゃうところがランボーの凄さです。
ストーリーの骨子は単純明快。何かを語ればそれだけでネタバレになるというか、そもそもネタバレを恐れる必要のある内容なのかどうなのかさえ疑問というか。もはや「ランボー」はストーリーを超えたところに存在しております。
というわけで、これは描写を観る映画なのですよ。
人が人に対してどれだけ残虐な行為を働けるのか、という部分をつぶさにね。
地雷や銃撃によって破壊されていく人体の様子が、そりゃ微に入り細を穿って詳細に緻密に、そして恐らくは正確に描写されております。多少流血は多めかもしれないけれど。
引きちぎられた人体の一部がどのように血しぶきをあげて飛んでいくのか、あらゆる角度、様々なスピード、そういったものを丹念に調査してCG処理をしたんだなーとほとほと感心してしまいました。
これが映画で、スタローンが主役だから、これだけ凄惨な映画でもフィクションとして安心して観ていられるわけですが、何も知らないで観たら目を背けずにはいられないと思います。それ程描写が生々しいんですよ。弾が貫通すると人体には穴があくし、高性能ライフルで狙撃されると体ごと吹っ飛んで行くとかね。自分が戦場に居て目の当たりにしている気分になります。
エンドクレジットにはヴィジュアル・エフェクトや3Dアニメーションのスタッフの名前もずらずらと並んでおりますが、この映画では彼らの働きがスタローンの次に重要だったのではないでしょうか。
「これがフィクションだ」という前提があるからCGだと推測できるだけで、スクリーンで観ているだけでは実写とそうじゃない部分の区別なんかつきません。仮に映画の中で実際に殺人のシーンを撮影していたとしても、私はそれをCGだと思うことでしょう。
その凄まじさこそが重要なんですね。
人間というのは歯止めがないとどこまでも残酷になれるとこの映画は伝えています。
そこから先を考えるのは、観客自身ということでしょう。