なんと、これがテレビ初放送ですわ。午後9時50分より(WOWOW6月1日番組表
「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」は2005年の12月に封切られ作品だというのに。

この映画を初めて映画館で見た時、あまりのおもしろさに体中が興奮しちゃって産毛が全部総立ちしてました(文字通りの「総毛立ち」)。もし私が男だったら、ビンビンにたってたに違いない、という状況。こういう興奮を覚えた映画は他には「ボーン・スプレマシー」ぐらいかな? 

そのぐらいおもしろかったのに、日本では話題にもなりませんでしたねー。テレビに来るのにも2年以上かかるとは……。最高のサスペンスを味わえる作品なので、一人でも多くの人に見て欲しいと思っていたのでこの年月が長かったですよ。


当時書いたレビューがあったので、その時の勢いそのままに引っ張って来ました。残念ながら公式サイトはもう残ってないようですが、FLIXのページはまだ健在です。テレビの傑作スポットは見た覚えのある方もいるのでは。その時劇場で見逃した方は明日をお忘れなく!


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(2006年 1月)

昨年ワタシが見た映画の中で最低の一本と言えば、それは問答無用で「エイリアンVSヴァネッサ・パラディ」である。どーしてそんな映画をワタシが見たいと思ったか、それは人の心の奥に潜む闇が命じたからだと言う他ないのだが(←単に物好き&物珍しがり屋&物見高いだけ)、唯一行って良かったと思えるのはそこで「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」の予告を見たことである(実際その日その映画館で見た一番おもしろい映像だった)。


公式サイトのトップページからトレイラーのどちらかをクリックすれば見られるこの予告篇、大画面で見るとなかなかの迫力で、いやが応にもこちらの期待を煽ってくれる。それまでチラシを見ても見る気の起きなかったこの作品を、これは見に行かなくっちゃ! という気にさせてくれたのがこの予告篇だった。時に10月19日。


さて月日は矢の如く過ぎ去り、「エンパイア~」公開間近の12月初旬になるとテレビスポットが次々流され始めたが……それがTV SPOT3! トップページから是非とも御覧ください! 最初テレ東で見たので一瞬「木曜洋画劇場」で放送されるのかと思ってしまった程のノリの良さ! ジャン・レノのセリフ「ゴクワ~ル(極悪)」に力が抜ける。


こっ、この映画ってかっこいいんじゃなかったの? ジャン・レノがナグッテ、ナグッテ? ブッパナス映画だったの?? 大体クリムゾン・リバーと原作者が同じだからって、出てくる人物が全く違ってるのにどうしてこれを入れて「クリムゾン・リバー三部作完結」って事になるのよ??? 三作に共通してるのはジャン・レノが出てるって事だけじゃん!


混乱を極めたワタシが検索の末辿り着いたのがFLIXのこのサイト。映画を見る前はネタバレがいやだったので「謎の組織を追え!」というゲームだけ開いてみたのだけど、これが抱腹絶倒もの! あまりに傑作だったので全てのパターンを試してしまったという……ハイ、バカです、ワタシ(ちなみに他のコーナーもそれぞれ爆笑ものだが、微妙にネタバレが含まれているので開くのは映画を見た後の方がいいかも。多分その方がおかしさ倍増だろうし)。


混迷の度が深まっただけで一体どんな映画なのか皆目見当がつかないまま、しかしこの映画は絶対見ねばならぬという決心だけはとにかく固まったのである。

そして公開最初の週のレディースデイに見に行って始まった「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」は……こちらの予想をはるかに上回る度肝を抜かれる程おもしろい映画だった!

おもしろい、といってもおちゃらけた部分は微塵もない。

スピーディーな展開の中、謎が謎を呼び物語はどんどん複雑になっていく。話が進むに連れて登場人物達も第一印象とは違った側面を次々に出してきて飽きさせない。ショッキングな映像を盛り込みながらも、全体的なトーンは非常にスマートでスタイリッシュ。冷たく、硬質な映像の中で登場人物の感情だけが熱く燃え上がる。随所で決まる切れのいいアクション。最後に用意されているスペクタクル。


これだけのものをきちんと要所要所にはめこんで、破綻なく映画を作ってしまう監督の力業にただただ呆気にとられる二時間だった。「クリムゾン・リバー」なんて比べ物にならない! ジャン・レノの格好良さときたら天下一品! ヒロインの演技力と身のこなしは絶品! そしてそしてジャン・レノと組む刑事のポール・ネルトー役のジョスラン・キヴランがハンサムで可愛い!! あたかもフランスのオーランド・ブルームといえようか。


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どう? このマフラーした姿なんて、まるっきりオーランドを彷彿とさせない?(←病気ですからほっといてやってください)。


それにしてもどうしてこれだけの優れた作品に、あんなバカっぽい宣伝をするのだ?! と一瞬疑問に思ったが、しかしこの作品はネタバレされたら面白さは半減してしまう。内容に触れずにお客を呼び込もうとした苦肉の策なのかもしれない(或いは単に担当者の趣味とか)。




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本当にネタバレなしの事前情報なしで見た方が絶対に楽しめる映画なので、WOWOWやFLIXのサイトも明日映画を見終わってから内容を読んだ方がいいかもしれません。