ブログネタ:私、○○恐怖症です
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昔々、小学校低学年の頃私が住んでいた家の隣家が犬を飼っていまして、これがとにかく暇無し吠えてる犬でした。北海道だったので樺太犬の血が混じっている等とまことしやかに囁かれていましたが、犬種はわかりません。しかしとにかく顔も獰猛なら吠え方も獰猛、家の玄関側に誰かが来ただけで飛びかからんばかりにして鎖を長さいっぱいびんと引っ張って、立ち去るまで吠えて吠えて吠えまくる。番犬には持ってこいだったでしょうが、回覧板を持って行くたびに吠えられる私は恐くて恐くてその家の玄関まで辿り着くことすらできません。万が一、鎖が切れたり首輪が外れたりした日には、私は間違いなくその犬に喰い殺される……その恐怖に身がすくみ、足には根が生えたようになり動きませんでした。
結局満足に回覧板をその家の人に渡せた事は一度もないまま、母が町内会で回覧板を回す順序を逆回りにして貰ったことで、犬のいる家に近づくことはなくなりました。
犬が恐くて玄関に辿り着くことができず回覧板を渡すという使命を全うできなかった……それは私の一生の内で克服できなかった試練として、今でも深く心に傷として残っています。
それ以来犬は苦手だと思っていたのですが、確かに犬の姿を見るとつい一歩引いてしまうのですが、でも大人しい犬なら近づいて撫でることもできるし、愛玩犬なら抱くこともできるのですよ。さすがに好きという感情にまでは至りませんが。
だから大きくなったので自然に犬恐怖症治ったのかな~、なんて思ってたんです。
ところが!
私はあるコーラスグループに所属しているのですが、ある日指導をしてくださっている男性指揮者がいろんな人の声真似を披露してみせている内にまるで犬の吠え声のような声を出したんですよ。
思わずびくっと身がすくみました。
一度だけなら妙な声にびっくりしたとか声の大きさに驚いたということで片付けられます。
でも指揮者がおもしろがって何度もその声を出すと、そのたびに私の体はびくっ、びくっと後じさりしていくんですよ。いい加減慣れろと自分でも思うんですが、もう反射的に体がすくんじゃうんですね。
それでようやく理解しました。
私は犬そのものが恐かったんじゃなくて、あの犬が狂ったように吠えたてる、その吠え声が恐かったんだって。そのトラウマが未だに残っているから、犬は平気でも犬の吠えるような声に対しての恐怖症になってしまっているのだと。
最近の日本では「吠える犬」というのは歓迎されないので、そういう声を耳にする機会がほとんどなくなったのは私にとっては幸いでした。人間、何が原因で恐怖症になるのか、自分でもよくわかっていないものなのですね。