「クローバーフィールド」なんか目じゃないぜ! って感じでしたね~、いや、おもしろかったです!


この映画、演出が極めてシャープ! 見せ方が上手です。


特にセリフなんてほとんどないまま、表情だけで物語を伝えるオープニングが秀逸でしたわ。


もう「ハルク」ってどんなものだか(少なくともアメリカでは)観客のほとんど全員が知ってるわけですからね、ブルース・バナーがハルクになるまでの説明なんかには時間をかけないワケですよ。もう、のっけからフルスピードでアクションが展開していく感じ。


CGで創造されたハルクって、やっぱりどうしてもマンガのキャラにしか見えないんですよ。いきなり彼の姿がそのままスクリーンに出たら、たぶん笑ってしまうと思う。


だから小出しにするんですね。そうやって観客の目をちょっとずつ馴らしていく。でも部分部分を見せていくだけなのに、シーンの一つ一つがすごい迫力なので(音響がまた上手!)あっという間に心を奪われてしまうのです。


アクションシーンの合間には苦悩に沈む静謐なエドワード・ノートンの顔とか、大きなパーツでとても表情の分かりやすいリヴ・タイラーの悲しみに沈んだ顔とかで、すーっと静かな空気が流れているんです。このメリハリがなんともいい。


この二人は元恋人同士なのに、一緒にいても何かぎこちなさが残ってて学生同士のカップルみたいな初々しさがあって、すごく可愛いんですよね♪ この二人が普段から「いい人」であることを見せることがこの映画では大変重要な意味を持つので、いいキャスティングだと思いました。


要するにハルクのテーマというのは

「人はどんな姿になってもモラルを失っちゃいかんのよ」

ということですからね、バケモノになった時にモラルを持ってないヤツは、元々そんなもん持ち合わせてないんだってのが逆によくわかる仕組みになってます。



ハルクと敵バケモノの肉弾戦になると、実はこれがクレイアニメの粘土人形がべたべたぶつかり合ってるみたいで、そんなに迫力はないんですね。これだったらトランスフォーマーのように機械対機械の衝突の方が迫力あるなと思いました。


しかしハルクは動きですよ! ジェイソン・ボーンが巨大化したようなスピーディーな動きをニューヨークの街中使って見せてくれる。それ以外にも様々なシチュエーションで、いかにもハルクらしい動きで観客を魅了してくれるのです。


まさに、こんなハルクが見たかった! と観客を満足させてくれる映画ですね(アン・リー版の「ハルク」の評価が下がるわけだわ)。


リヴ・タイラーの顔を見てると、CGキャラのハルクの顔もそんなに濃いと思わずにすむので(←おいおい)彼の感情表現が非常によく伝わって来るのもよかったです。リヴちゃんの父親役のウィリアム・ハート、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のキャラ並にロクデナシの将軍役でした。全然関係ないですが「タクシー」シリーズで主役ダニエルの恋人リリーの父親も将軍ですが、将軍の権限ってはた迷惑な程強いんだなって、「インクレディブル・ハルク」と合わせて思ったりして。自分のエゴのために一体どれだけの兵力を動員できるんじゃー?!


猿では将軍だったけど、今回はその部下なティム・ロス。いや~、悪い顔になってー、ってそりゃ悪役だからなんだけど、イマイチ設定された「精鋭の兵士」というには体が役不足なんじゃないかと最初思ったものですが、彼の憎々しさが映画の後半を支えてましたね! 立派です。


脇役もそれぞれ味がありましたが、でもこの映画のなかで一番の男前だったのはカメオ出演のロバート・ダウニーJrでしたわ~。だめじゃん、最後においしいとこ持ってっちゃー! って、日本はこのあと「アイアンマン」公開だから丁度いいのかな? 


さてさて、この夏、アメコミ原作映画は日本を席巻するのか?

まずは8月1日の「インクレディブル・ハルク」から!



2日から先行上映予定の「ダークナイト」、記録を塗り替える大ヒット中なのだけど主役のクリスチャン・ベールが逮捕された妙な話になってます(ココ )。

どこまで本当なのか分かりませんが、配給会社の方、だからといって上映自粛したりしないでねっ!