ブログネタ:ダイエットやトレーニングのきっかけは?
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コーラスの発表をする際、楽しみの一つに衣装選びがあるのは女性ならではかもしれません。
曲がりなりにも舞台衣装ですから、団員全員できちんと揃えようとするとどうしても「お誂え」になるわけです。
これね、20人以上いるような大所帯で全員の意見を一致させて誰にとっても気持ちのいい衣装を決めようとすると、すっごい大変なんですよ。
やれ自分にこの色は似合わないだの、パンツスタイルだけは絶対しないだの、二の腕を出すのはいやだの、太って見えるデザインは困るだの、全員がワガママの言い放題。安い買い物ではないし、長く着るものになるので、全員が徹底的に納得するまですったもんだ話し合い及び説得が続きます。
最終的には現物の見本を見て、平面のデザインが立体だとどう見えるか、生地はどんなものなのかまでチェックします。生地次第で同じデザインでも全然違った形に仕上がったりしますからね。
こうやってデザインと生地を決め、ようやく発注に至るわけです。
その後、まず業者の方が採寸に来てくれます。
この時点でのプロポーションが元になってドレスなりスカートなりができあがるので、少しでも美しいシルエットで舞台に立ちたいと思ったら、その日までに自分の体を出来る限り美しく仕上げておかなくてはなりません。
ってゆーか、普段は適当にやりすごしている自分自身のあちらこちらのサイズを数字ではっきり目の前につきつけられる状況がいやでもやってくるわけですから、その時少しでも絶望から遠ざかっているためには否が応でもダイエットしなきゃいけないじゃないですか!
ここで何とかかんとか自分を許せる程度の数値が出そうな体に仕上げて採寸をクリアしても、その後にはまだ仮縫いが控えているので気が抜けません。油断すると仮縫いの時にすでにファスナーが上がらないという状況に直面します。
仮縫いまでの1ヵ月ぐらいは、本当に気合いを入れてダイエットを継続してますね。
だって業者さんといえど他人に自分の体のサイズを人に知られるし、着た所を厳しい目でチェックされる(ような気がする)わけですから。
こうして最終的に衣装ができあがると、体型に関しては少し気が楽になります。
新しい衣装を誂えるというのは、すぐにそれを着て舞台に出る機会が待っている状況ですから、次に心配しなくてはいけないのはプロポーションの維持よりも大量の暗譜だったりします。
この暗譜がストレスで、しかも食事も手につかなくなるタイプの心配型ストレスですから、もうそんなにダイエットを心がけなくてもあまり太ったりしないのですよ。かえって痩せたりして。
そうやって準備万端整えて、真新しい衣装に身を包んだ発表が無事に終了すると、あとはまた気の緩みきった好きな時に好きな物を食べる自然のままの生活へとあっさり戻ります。
問題はそのあと。
その衣装はもちろんその時一度きりではなく、その後何年にも渡って着回しすることになります。
採寸時に思いっきり気合い入れてプロポーションを整えて作った衣装ですから、スカートのウエストなんかとても細くできてるんですよね(採寸時に見栄をはって息を止めて可能な限り腹回りを細くしてから測って貰ったりしてるし)。
その気合いが持続している時になら楽に着られる衣装ですが、作ってから何年もたって――すなわち気合いがすっかり抜けて気が緩みきってから再び出番が巡ってくることがあるんですよね。これが一番困る。
ワンピースのドレスならば、ある程度のゆるみを加えて作ってありますから2~3キロの増加ならなんとか、いわゆるぱっつんぱっつんの状態になっても、着用することは可能なのですよ。
問題はウエストできっちり留めるスカート。
これも勿論ゆるみはあるので、作って1年、1キロぐらいならまあなんとかなりますよ。
2年目にはかなりキツい感じがするので3年目になると留め金の位置をずらして縫い直し、楽に着られるようにしたりしてね。
しかしですね、5年間ぐらい箪笥の奥底に眠らせておいたヤツを引っぱり出して再び日の目を見せようなんてコトになった場合、これはすぐには絶対ムリです。5年という歳月はお肉が増量するだけでなく、たるんでくる年月でもあるのですね。
そういった事態を踏まえ、衣装の選定はかなり早めに行われます。
有り体に言えば、以前のスカートが着られなくなった人に作り直すだけの時間の余裕を与えてくれているわけですね。
完全に着られなくなった人はそれでOKですが、問題は「何とかすればまだ着られるんじゃないか?」の人。この場合の「何とか」とは具体的には「胴回りを細くする」ですが。
「胴回り」を細くする方法には補整下着の着用という選択肢もあります。ガードルとかウエストニッパーとかボディスーツとか様々ですが、同じ締め付けるのでも歌うためにはウエストニッパーが適しているような。
それでも、もうちょっと、あと1センチ、何とか!!
という状況になって初めて、やむなくダイエットを決行することになるわけで。
この時点で発表の日まで残り2週間ぐらいだったりします。
経験上、1キロ痩せればウェストは1センチ細くなるので、その程度のダイエットなんか別に難しいことないさ、と高をくくっているウチにいつの間にか残り1週間になってたりします。
慌てふためいてその一週間に禁酒して食事を控えて体重を減らすわけですな。何、1キロなんかあっという間に痩せられます。その代わりリバウンドも瞬く間ですが。
1キロ痩せて1キロ太って(プラスマイナス0)、また1キロ痩せて1キロ太って……最終的に当日さえ1キロ痩せた状態で迎えられればいいわけですよ。
それでもその間にいろいろ考えますな。
ダイエットするより2万円かけてもスカートを新調した方が良かったとか、どうしてこのスカートを作る時に見栄張ってムリして普段より痩せた状態で採寸したんだろう私のばかばかばかとか、今度衣装作る時は絶対ダイエットしたりしない! とか、あらゆることが頭をよぎります。
ケチでアホな自分自身を呪いながら、ダイエット(=禁酒)断行。酒を飲まなきゃ太ることもないし、第一その浮いた酒代でスカートぐらい何着でも新調できるという事実には目を伏せて。
で、当日。
一応、見苦しくない程度にウェスト部分の留め金はおさまったようで一安心。
暗譜で歌うしステージの上なので、緊張感も身を引き締めるのには一役買っているようで。
そのままの状態で張り詰めたまま発表を行います。
さて、これが発表が終わった後ですぐに衣装を私服に着替えられるのだったら一件落着で何も問題はないのです。
ところがたまに衣装のままで他団体の発表を聞いてなければいけないという状況もあるのですね。それも何時間も。
その日は自分の発表が終わったので気が緩んでました。
スカートはウエストにみっちりしてましたが、その時の衣装はオーバーブラウスだったこともあり、多少腹の肉がダブついててもニッパーで締めときゃ何とかなるべ程度なダイエット状況。
会場内はエアコンが効いていて涼しく、さらに乾燥して埃っぽかったのもあって、ついクシャミをしたくなり……
「はっくしょん!」
とした瞬間にぶつっと大きな音がしてウエストの留め金のDカンがどこかへ飛んで行ってしまいました。
クシャミより糸が切れてDカンがはじけ飛んでいく音の方が大きかったかも……。
勿論周り中の人がこちらを見る中、私はウエストの部分をしっかり押さえてこそこそ更衣室に行って私服に着替えましたよ。そのまま会場に戻って衣装の中に一人だけ私服で混じってました。ああ、かっこ悪。
次はやっぱりスカートを新調しよう……。