「ゲット スマート」(公式サイト )10月11日公開


例によってたまさんに譲って頂きました。というより、ほとんどおねだり状態。


実は私、7月の下旬にそれはもう途方もなくヒドイ出来の映画を見てしまい、その毒気にあてられてしばらくまともなレビューが書けない程落ち込んでいたのですね。


たまさんには「イントゥ・ザ・ワイルド」と「幸せの1ページの」試写状も譲って頂きながら(感謝感激)、そのレビューも書けない始末。何か、何を書いても毒があふれそうで、書くのが怖いという状況。


でもきっとこの「ゲット スマート」ならそんな毒を洗い流してくれるだろうと期待して、たまさんに試写状のおねだりまでして、浮き浮きと行ってきたという次第。


期待通り、いえ、期待以上でした!!

たまさん、ありがとうっっ!


「ゲット スマート」は往年の有名なコメディのテレビシリーズ「それゆけ、スマート」をリメイクした映画なのですが、そのせいなのか、例え下品な内容のギャグでもそこはかとない奥床しさが漂っていて、大変品のいい仕上がりになっていました。子どもにも安心して見せられるけれど、でも子どもっぽくはない。

そういう微妙なラインの上でバランスをとりつつ上質な笑いを提供し、それでいてアクションシーンはスピード感にあふれていて手に汗握っちゃう、気楽とスリルを絶妙な割合で配合した一本となっております。


要するに

安心して楽しめるスパイ映画

という、テレビシリーズのコンセプトがちゃんと生かされてるんですね。


これは主演のスティーブ・カレルに負うところ大なのでしょう。

出世作の「40歳の童貞男」は予告編しか見てないですが、彼には独特の浮世離れした雰囲気がありました。「リトル・ミス・サンシャイン」では浮世離れどころか現実世界にオサラバしたがってる暗いおじ様役でしたが、それは他人に恨みを抱いて生きるよりは自分が人生から退場した方がいいという優しさの現れのように見えました。


彼の演じるマックス・スマートは、能力もあって自他ともに認める頑張り屋で例え不本意な部署であってもそれなりの業績をあげて評価も貰っているのに、売り込み下手というか、他人を押しのけてまで我を通したくないという心情(それを「優しさ」と取るか「弱さ」と取るかは見る人による)が災いして出世、或いは自分の本当にやりたいことができない、けれど逆境にあっても他人を逆恨みしないという……ギャグじゃなければ神様呼ばわりされるタイプの人物で、またそれがスティーブ自身のキャラクターにぴったりマッチしていたようです。

唯一の欠点はドジを踏むこと。あ、これ案外スパイにとっては致命的な欠点dかも。


で、そのドジを挽回してくれるのが、アン・ハサウェイ演じる美人スパイの99号。

アン・ハサウェイ、ショートボブのウィッグが抜群に似合って、本当に美人! ちょっと古風に別嬪さんというのがぴったりなのに、アクションもギャグも体当たりでこなしていて迫力充分。


私、サンドラ・ブロックが大好きなのですが、アン・ハサウェイって彼女にちょっと似てるなあと思いました♪ 「デンジャラス・ビューティー」のリメイクがあったら是非ともアンでお願いします。



ところでこの映画、古風なギャグのネタ「女房と女房の姉」をくすぐりに使ってたんですが、これって元々の「それゆけスマート」から踏襲してるんでしょうか? 今聞くと逆に新鮮? 小道具なんか最先端なのに、ギャグが古風なのが妙におかしかったです。