「最後の初恋」公式サイト


原題には「初恋」はおろか「恋」の一字だって出てきやしませんぜ、これ。

まあ、「ローダンテの夜」じゃあ、その夜に何が起こるのかあからさますぎて日本じゃ受けませんか。


だって、ダイアン・レインとリチャード・ギアが登場人物なら、この二人にロマンスが生まれないわけないじゃん。


というぐらい、見え透いたラブロマンスものな上、ストーリーも実にありきたりだったんですが、丁寧に作られているのでそれなりに楽しんでみることはできました。リチャード・ギアはまだまだいい男だし(←それかよ!)、ダイアン・レインも「ブラック・サイト」で見た時よりキャスティングに無理がなかったしね。


この映画はダイアン・レインの方に主眼を据えると、言ってみれば「スパイダーウィックの謎」のお母さんの物語になるんですよね(参考記事 )。「スパイダーウィック」と違って母親自身が主人公だから、子どもが遠くにいる間にしっかり恋愛して第二の人生を歩み始めるという、羨ましい話です。


リチャード・ギアの方に主眼を据えると、これは贖罪の物語。満ち足りた人生を送っていたのに、いつの間にか心にぽっかり空いていた穴を、新しい女性を愛することによって埋める話でもあります。

ギアの息子役のジェームズ・フランコにとっては、父親への愛情と尊敬を取り戻す話。


この二人にはまさにぴったりな役で、キャスティングディレクターうまいな~と思いました。


まーしかしすとーりー展開に新味がないので(最近の「泣ける邦画」パターンと一緒)、特に感動するという部分がないのですよねー。いや、感動的には作ってるんですが。


物語の後半は文通になって、その手紙の文面がロマンチックさを盛り上げるという仕組みになっております。それを見て思ったのが、今の世の中で電話でもメールでもなく文通を成立されるために、わざわざギアの役をエクアドルに行かせる必要があったんだなーということで……なんかね、全体的に無理矢理ロマンチックにしようとわざとらしく作り込んでるのがみんな透けて見えちゃうんですよね。


手紙を上手に使ってこれよりずっとロマンチックな映画に「イルマーレ」があって、こっちはファンタジーが入っているからそのまま比較はできないんですが、やっぱりどうしても比べちゃいますね。


「最後の初恋」はバツイチの子持ち同士の恋愛で、双方の子ども達が親の恋愛を肯定的に受け入れているシーンがあるのが現代アメリカを象徴しているのかなとも思いました。恋愛している親達も子どものことを一番に考えていて、お互いそれをごく当然として受け入れている。ひょっとしたらこの辺にこの映画の新しさがあったのかもしれません。