俳優のパトリック・マクグーハン氏が80歳で死去されました(こちら )。

枕詞的には「プリズナーNO.6」のと使われがちですが、私にとっては「刑事コロンボ」でコロンボ相手に虚々実々のかけひきをしているのが俳優マクグーハン氏の記憶に残る姿です。そのコロンボを演じたピーター・フォークの方は先頃アルツハイマー症を患っているというニュースが流れたばかりですが。


先日話題にした「デスノート」は、いわゆる悪役の犯人役が最初にわかっていて、探偵役が操作の輪を絞って次第に犯人に辿り着く過程を楽しむ「倒叙」のスタイルがとられていました。この倒叙形式そのものは推理小説には昔からあったものですが、テレビドラマを通じ広く一般に知られるようなスタイルになったのには「刑事コロンボ」の成功が大きかったと言われています。


もっともね、コロンボにしてもLにしても、どういうわけだか犯人はほとんど見た瞬間にピンとくるもので、あとは証拠固めが必要なだけなんですよね。証拠だけで足りない時は犯人を罠にかけて自白を引き出すという手法まで同じだったりします。「デスノート」の原作者は相当コロンボ好きだったのかも。


ドラマや映画は、例え出演した俳優が世を去ってもフィルムやビデオ、或いはデータとして残ります。

でもそれ以上に人々の心に与える影響として残り、新たな作品を生み出していく優れた作品もあるのです。


「コロンボ」がある限り、パトリック・マクグーハン氏やピーター・フォーク氏の名前が忘れられることはないでしょう。


しかしたとえ「コロンボ」が忘れ去られ、俳優達の名が消え去ったところで、その作品群が世に残した「倒叙」というミステリの形式は残っていくのだと思います。そしてそれこそが、彼らの成し遂げた真の偉業なのかもしれません。


パトリック・マクグーハン氏のご冥福を祈ります。