すでに日本のニュースでも出てますが(Yahoo! 等)、俳優のリカルド・モンタルバン氏がお亡くなりになりました。88歳。


日本ではもっぱら"「スター・トレック」の悪役"なんて書かれてますが、確かにそうには違いないものの、出演したのは3シーズン続いたテレビシリーズの内たった1エピソード(67年)、その後映画化された際にもそのエピソードの後日談として制作された「カーンの逆襲」(82年)1作しか出ていないんです。だから例えば「スターウォーズ」におけるダースベイダーみたいなシリーズ通じての最大の敵のような存在ではありません。


それでもこんな風に「スター・トレック」を代表する悪役のように書かれるのは、この方が演じたカーン・ノニエン・シンというキャラクターがあまりにも魅力的で、どのクリンゴンよりどのロミュランより深くファンの心に残っているからなのでしょう。


まあ、クリンゴンは顔にメイクをガッチリ施しちゃうので俳優の顔が分からなくなっちゃうのに比べ、カーンは確か遺伝子操作で生まれた超人類という設定の美丈夫でしたからね。その美しさでも記憶に残るというものです。


映画「カーンの逆襲」ではすでに齢60を超えていたにもかかわらず、クライマックスで感情の高ぶりと共に胸元をあければ、そこにはスタローンかシュワちゃんかと見まごうほど鍛え抜かれた美しい胸板が広がっていて、観客の女性達をうっとりさせたものです(その胸板については作り物説と本物説あり。本物だと信じたい)。


この映画がヒットしたもので、その後直接このストーリーを受け継いだ続編が2本制作され、いずれも大ヒットしました。特にミスター・スポック役のレナード・ニモイが監督した「スター・トレック4 故郷への長い道」は数あるスタートレック映画の中でも屈指の一本だと思います(私、個人的にこの映画が一番好きなのです)。


もっともその時点で「スタ・トレ」映画にリカルド氏の出番はなかったんですけどね(理由は「カーンの逆襲」見てください)。


もちろんリカルド氏はずっとお仕事を続けていたわけで、「カーン」のさらに20年後の2002年、「スパイ・キッズ2」のおじいちゃま役で見た時には感動したものです。だって、その時で80歳超えてるんだから。続いて「スパイ・キッズ3」にも同じ役でご出演。パパ役のアントニオ・バンデラスが霞むぐらいにかっこいいおじいちゃまでした。



きっと最後まで自分の出来る役に全力を投じた俳優人生だったのでしょう。

「スタートレック」では最新作までコンピューターヴォイスを演じたメイジェル・バレットさんもそのお仕事を最後に旅立たれてしまいましたが、なんだか飛び去っていくエンタープライズをカーンが別の宇宙船に乗り込んで追いかけていったような気がします。



ご冥福を祈ります。