試写会ですが、ブラピ付きではありません。地元シネコンで開催された試写会に当選したのです。
ワタクシ今年のおみくじで半吉なるものをひきあてたんですが(詳しくはこちら )それってこういう事だったんですね。一番大事な部分を省略して、願いがかなうんだわ。嬉しいわけではないものの、ブラピなしの試写会では手放しでは喜べないというか。
ま、とにかく一見した感想を。
ブラピ演じるベンジャミンがどういうキャラクターかというのはチラシや予告でも語られているのでネタバレには当たらないと思うので書きますが、彼は80歳という年老いた状態で赤ん坊としてこの世に生を受けます。
だからね、ブラピが最初は顔だけなんですよ。もちろんすごい老けメイクで。でも生まれた時は赤ん坊だったわけですから、少々年月が経過しても体は子どもサイズです。その小さい体にブラピの顔がついている。これが非常に上手で、プロポーション的に顔や頭が大きすぎるということがないんですよ。どういうCGIを使ったのか分かりませんけれど、これには脱帽しました。
映画の中で十数年がたつとベンジャミンの身長も伸びて、年齢的にも60代ぐらいだとまだ人生現役風に見えはするんですが、でもまだプラピ本来の身長には追いついてないんです。顔は老けメイク&頭髪の薄くなったカツラのブラピなんですが、これがブラピというよりウィリアム・H・メイシーそっくりで……。
その後身長が伸びると、これがタテに引き延ばしたウィリアム・H・メイシーみたいでさ。
ブラピを見に行ったはずが、延々とウィリアム・H・メイシーもどきを見せられているわけですよ、この映画。
ストーリー展開はアメリカの20世紀の歴史をず~っと辿りつつ、人の生きる意味や人生の機微について考えさせられて決しておもしろくないわけではないんですが、ただ、あまりに淡々としすぎていてちょっと物足りないんですよね。何が物足りないって、はっきり言って若くていい男ですけど。
等と観客側の不満がたまって来たあたりで唐突に潜水艦がおでましになるんですわ。
私、浮上してくる潜水艦って、異様なまでに大好きで。だってカッコいいじゃないですか~。もう、ワクワクしちゃいましたわよ♪
そしてこの潜水艦のシーンのCGIがまた素晴らしいんです。老けメイクや若返りCGIでばかり語られそうなこの映画ですけど、どうしてどうしてこの潜水艦の攻撃シーンも目を奪う驚きを与えてくれます。こういう演出というかCGI、私は初めて見ましたね。デビッド・フィンチャーらしい斬新な演出ってここだけだったんじゃないかな~。ワタクシ、この映画で身を乗り出して見たの、このシーンだけです。
このシーンまでがワリとゆっくり進んでいた映画のテンポというかベンジャミンの若返りがこのあと段々加速していくので、丁度折り返し地点にあたるのでしょうか。印象としてはハイドンの「びっくりシンフォニー」効果。この曲は繰り返される単純なメロディーが徐々に眠りを誘うかのようなとても小さな音になった後、突然それまでと打って変わった大音響が鳴り響いて観客を飛び上がらせる演出が施されているんですが、映画にそれを応用した感じでしたね~。
その後はブラピが実年齢よりも若返っていくので、ようやく目に楽しい映画になるのですが、でも心には痛い作品です。
これは全然特殊な事件じゃなくて、誰の身にも起きることをただ一人だけその順番を逆にして語ることで人生の残酷さを浮き彫りにしようとした作品なのですが、ちょっとマイルドに語りすぎてしまったような印象を受けました。デビッド・フィンチャーの映画じゃなくて、毒を抜いたティム・バートン映画を見てたみたい。異常な境遇の人を描いた映画でありながらでもそれは実は普遍的なことを描いていると、その事に最後の最後にはっと気づかされる作品であれば「シザーハンズ」のように心に残る作品になるんですが。
一番印象に残ったのは、ブラピの出てくる前の時計に関するエピソードでした。
その部分の主人公にあたる俳優さんをどこかで見たことがあると思っていたら、「シューター」でとんでもなくイヤな野郎を演じていたイライアス・コティーズ(Elias Koteas)でした。う~ん、全く別人だなや。
ブラピの演技も勿論素晴らしかったのですが、しかしその他の俳優さん達も皆本当にお上手で、たぶん皆があまりに自然に演じていたためにそれを「淡々」と感じてしまったのだと思います。衣装も音楽も映像も特殊効果も文句なしで、アカデミー賞13部門ノミネートに異を唱える人はいないでしょう。
でもやっぱり潜水艦が一番よかった(←ばか)。