ねえ、ちょっとグチりたい人、みんなでグチろう ブログネタ:ねえ、ちょっとグチりたい人、みんなでグチろう 参加中
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もう、どこから始めていいのか分からないぐらいに愚痴りたいことがたまっておりますので。

ああ、本当にどうやって手を付けたらいいのかも分からないわ、あの演出家!

ええと、ワタクシ、ずっと歌をやってまして、それで今度3月に某オペラの舞台で合唱をやることになってるんですね。これはソリストはプロのオペラ歌手ですが、合唱団員は全員シロウトです。それも合唱団に所属して練習していたり独力で練習を重ねたりということで年齢も実力もバラバラの集団。曲がりなりにもオペラの舞台に立った経験があるのは一人か二人という、大変危なっかしい舞台でございます。

その私達、去年一年間は歌の練習をして、今年に入ってからようやく立ち稽古に入ったワケですが、ここで指導する演出家がワケわからんのですわ。

元々はオペラのソリストで、しかしまあ歌だけでは食っていけない厳しい日本の音楽家業界ですからアルバイト的に合唱団の指導もすれば、頼まれれば演出のお手伝いにも行くという形でいろんな仕事に手を染めているのだと思います。

だから演出に入る以前に合唱の方の指導にも何度か来て頂いてたのですが、この先生の指揮ってとにかく分かりづらくって。棒振ってる途中で考え込むような顔して目を閉じてしまうので、こっちは棒が止まったのかと思って歌を止めると、よくみたら棒の先っぽだけはかすかに動き続けているんですよね。

頼むから棒振ってる途中で自分の世界に入らないで下さい!!

指揮っていうのは、棒の先っぽだけでやるもんじゃないんですよ。
分かりやすい指揮者は棒を振りながら顔と体全部を使ってこちらに指示を与えてくれます。そのボディランゲージを的確にとらえて歌えればこちらも楽しいし、その楽しさが指揮者に伝われば彼らも満足するのでその喜びがフィードバックされて歌う側にも広がる。
そうやって振る方と演奏する側に一体感が生まれた時初めて共に演奏することに喜びを感じられるのですが、その演出家の指揮は大変歌いにくいものだから全く喜びを得られなかったんですよね。

それでも、指揮が分かりづらくても演出は上手なのかと思ったら、これが指揮よりさらに分かりにくくてどーしたらいーんだか分からなくなってしまいましたよ。


演出ですから一応演技指導というのを行うわけですが、ここで言われる事が非常に観念的なことばかりなんですよ。具体的にどうして欲しいのかというのが曖昧模糊としてるんです。観念的な言い草ですから、どういった行動をとるべきかという選択肢の幅が大層広いのでそこは個人の裁量でいろいろ演技しますよね。するとNGが出るわけです。ちょっとでも演出家の頭にあるイメージとずれている行動は気に入らないらしくてダメ出しされるんですが、じゃあどういうのがいいのかという例は全然出してくれない。

これはね、演出家が一つの例を示すとシロウトは全員がそれと同じ事をするのでやらない方がいいというのは分かるんですよ。

だからといって明確な指示もないまま、演出家の頭にあるイメージを推し量ってその演技をしろと言われても無理は話です。

演出家に明確な「絵」としてのイメージがあれば、絵コンテにするなり合唱団員の一人一人に演技を付けるなりということができるはずです。或いはどうやって欲しいのかを具体的な言葉にして指示するとか。

でもそれができないってことは、この演出家にあるイメージは漠然としたままなんですよね。

たとえば美容院に行って、美容師さんにイメージだけで自分の髪型をどうして欲しいか伝えると、絶対その通りにはできあがりません。きちんとしたイメージを伝えるには、具体的な写真なり絵なりを持って行く事が必要です。それでも、こちらの語る漠然としたイメージをつなぎ合わせて何とか一つの髪型として作り出すのは(それが顧客の気に入るかどうかは別として)美容師さんのプロとしての技です。

この演出家は自分で言ってます。
「演出って、楽なんですよ。イメージでこうしたいんだって言えば、あとは照明さんや舞台監督さんがそれを汲み取って形にしてくれますから」
って。
そしてそのやり方をそのまま私達合唱団に押しつけてるわけですよ、本人が気づいているかどうかは知りませんが。

照明さんや舞台監督さんはその道のプロでそれでメシ食ってるわけだから演出家が無理難題を言ってもそれを具体的な形にする技を持っているでしょう。

でも、私達はシロウトですよ?!

イメージを具体化するのは、プロである演出家さんの方じゃないですか?

それができないのは、私達がシロウトだからじゃなくて、演出家の方に必要なイメージを具体化する能力がないからだと思うのですが。


オペラのソリストとはいっても、舞台演劇の経験があるわけではないらしく、この演出家が言うことは舞台演劇を経験してるとおよそあり得ない事だったりします。

この演出家が我々に要求しているのは「個」というものの存在しない「群衆」とか「ガヤ」とかにあたるものですが、そういう人達はたとえばミュージカルではダンスという形で振り付けを与えられて初めて生き生きと動けるものなんですよね。

振り付けもないままオペラの合唱団員が要求されている動きは、演劇でも難しいレベルの事です。カップルでもない男女にいきなり
「自分の愛しい人と思って抱き合え」
というのですから。

仕方ないからそれをすると、今度言われたのが
「背筋真っ直ぐ!」
です。

およそ好きな人と抱き合う時に背中まっすぐ伸ばしてる人はいませんって!!!

背中をまっすぐにして相手と抱き合うのは、挨拶のハグかダンスですよ。

自分で言ってる事と指導してる事がバラバラな事にこの演出家は気づいてないんですね。

もうやってられない……。

ほんっと、うんざりしてて、練習に出るのもイヤになってる今日この頃。
3月に無事舞台はできるんでしょーかね。