いや、このタイトルの映画が公開されるという事は前々から知っていたんですが、邦画だし特に自分の贔屓の俳優さんが出てるわけでもないし、とお目々が見て見ぬふり状態のスルーまっしぐらだったんですが、つい先日お友達が御自分のブログで原作者の伊坂幸太郎さんの作品にはまったと書いてたのに私のアンテナがピピピと反応いたしまして、無視の地平からこの作品の名前が1センチぐらい浮上していたところだったのですよ。
そこにもってきて、ついさっき更新されたばかりのタケル君のブログ にこの映画の試写会に行ってきたことが報告されてたのですが、そこに記されていたのが
「素晴らしい」
の一言。
はい、見に行くこと決定~!!! みたいな(←単純バカ)
いやいや、人生、何がきっかけで新しい出会いが生じるか分からないものですね(まだ出会ってないけど)。
実は同じお友達が好きだといってた作家が東野 圭吾さんで、それを丁度夏頃「容疑者Xの献身」 が公開される頃に読んだので、「じゃあ見に行こうか」と思って足を運んだらそれが大正解で、近年稀に見る傑作邦画をこの目でスクリーンで見ることができたのですからこれも運命の巡り合わせだと思うのですよ。
彼女が好きだという原作を元に作られ、タケル君が「素晴らしい」と絶賛する映画なら、おもしろいに決まってる。
これを運命と信じて5月には「重力ピエロ」を見に行きます。タケル君の「ルーキーズ」も5月30日公開だけど。
私がこれが運命だと信じるのにはもう一つ理由があって、公式サイトなどで情報を見るとこの映画には加瀬亮さんが出演なさってるんですね。
私は日本の俳優さんにはとんと疎くて、映画で見て「この人上手い!」と思った人しか名前を覚えないんですが、その私が加瀬さんの名前はしっかり覚えていたんですよ。そもそも邦画自体ほとんど見ない私なので、邦画で出会うこと自体が運命に近いのですが(TVドラマはまして見ないので出会いの機会も運命の再会も0)。
それは「グーグーだって猫である」を見た時のこと。
この映画の中で唯一印象に残ったのがこの加瀬さんが演じたドクターだったんですよ。
映画という特殊環境の中にあって、市井に暮らす一般的な男性のごく普通な暮らしぶりを見せながら、その人の生き方がとても美しいのを実にさりげなく表現していたのがこの加瀬亮さんなんです。
あ、こんな人、身近にいるよねと感じさせつつ、でもいそうでいて実はいない希有な存在。一種理想の男性像なのに、ありがちな少女マンガ的キャラクターの枠をはみだして実に生活感と存在感に満ちあふれた魅力的な人物を映画の中で生きて見せてくれたのって、私この方が初めてでしたわ。
大抵少女マンガの理想の男って、実写化しちゃうと「メイちゃんの執事」の理人みたいにあり得ない人物に見えてしまうんだけど、このドクターの描き方はとても上手で現実にいそうに見えたんですよね。加瀬さんの一応ハンサムの範疇ではあるものの某元ライダー達みたいにハンサムすぎないのも良かったのかも。
映画の中で小泉今日子さんの演じる「先生」が普通に出会って、普通に恋するのに丁度いい塩梅でした。
これがさ、吉永小百合と竹中直人だとやっぱどう考えても無理あるっしょ。そういう無理のない上手なキャスティングだったんですよね、「グーグーだって猫である」の加瀬さんは。
ああ、日本映画でもドクター(お医者様)をこういうごく普通の男性として魅力的に描ける時代が来たんだな、と感心したのを覚えています。今まで日本の映画でお医者様が出てくると、医術にしか興味のないエキセントリックなヤツか金持ちで傲慢なヤツか世間知らずのおぼっちゃまかエリート意識を鼻先にぶらさげた鼻持ちならないヤツか或いは患者のために命かけるのが当然と思ってる人か……とにかく「普通でない」のが当たり前でしたから。お医者様だって普通の人間なんだから、普通の人はたくさんいるはずなのにね。
というわけで加瀬さんとの出会いは大変思い掛けない形のものでした。
運命の第一段階を「思い掛けない出会い」だとすると、加瀬さんと私はすでにそれを果たしているわけですね
映画「重力ピエロ」を思い掛けないいきさつで見ることになった私、ここに運命の女神の手が働いてないとどうして言えましょうか? いや、これこそ運命です。運命は私を待っているのです。
この映画がおもしろかったら、きっとファンになる。
すでに心は決まっています。
加瀬さんとの運命を信じ、今はただ息をひそめえじっと機会を待つだけの日々なのでございます。
だーっ、だから早く5月になれ!(←全然息ひそめてない)