「ピンクパンサー2」公式サイト


映画の中でお決まりのように繰り返されるギャグそのものは子どもっぽいのだけど、これはもはやそのマンネリぶりを楽しむ作品となっております。深く考えちゃダメ。スティーブ・マーティンが喜々として演じているその姿を見るだけでも楽しめる人のために作られたような映画なのですから。


というわけでスティーブ・マーティンが大好きなワタクシ、心ゆくまで笑って参りました。


「ミスター・ビーン」でタイトルロールを演じているローワン・アトキンソンはビーンは外見は大人だけど中身は9歳の男の子なんだとギャグの秘密を語ってます。分別盛りの男性が、その外見にはまるでふさわしくない子どもっぽい行動をとるから、そのギャップが観客に笑いを生むのだと。


「ピンクパンサー」シリーズのクルーゾー警部も同様ですね。ピーター・セラーズの方はよく覚えていませんが、スティーブ・マーティンのクルーゾーは間違いなくそうです。白い髪と白い立派な口髭をたくわえた、9歳の子ども。


どうして9歳かというと、その年齢が完全に思春期以前だからでしょう。男性を男性たらしめる第二次性徴が兆す前ですね。ギャグを純粋に楽しみバカ笑いするためには、性にまつわる隠微さは排除した方がいいわけです。そちらの方面のお楽しみというのは、他に幾らでもありますから。


ただ同じ9歳といってもビーンとクルーゾーでは全然違っていて、ビーンの方の中身はいわば悪ガキそのもの。日々新しいイタズラを考案しては実演に余念がないといった雰囲気です。彼にとって女の子は男(自分ね)の遊びを理解しないつまらない連中なので、たとえガールフレンドがいたところで自分の遊びに熱中したらあっさり彼女を忘れてしまうといったタイプです。


クルーゾーの方は、本人はいたって真面目。言いつけられた仕事や勉強には真剣に打ち込み、それで良い結果が出たら素直に喜びます。女性にも興味がないではないけれどどう扱ったらいいのか分からなくて、それで自分からは距離を置こうとしたりするような……でもそれが上手くはいかない、どちらかというとお育ちの良い、おぼっちゃまタイプと申しましょうか。


だからスティーブ・マーティンの「ピンクパンサー」シリーズって、非常に品がいいのですよね。時代に逆行してるともいえる上品ぶり。今の時代のお子様がみたら、きっと物足りないとも思うかも。


――まあ、フランス人が見たら別種の感想を抱くかもしれませんけど。


「ピンクパンサー」って、実は「ヘタリア」(知ってます? こんなマンガ )のテイストに近い物があって、「ヘタリア」の作者が「ヘタレイタリア」等とバカにしつつも実は心の底ではイタリアが大好き(でも認めたくないかもしれない)みたいな複雑な心情を持て余してるのと同様なことを、フランスに対して行っているようなフシがあります。いや、ひょっとしたら心の底からバカにしてるだけかもしれないんですけどね、でも愛がなければ作品は冷たいものになってしまうものですが、「ピンクパンサー」にはどこかほのぼのした味わいがありますから。


で、「ヘタリア」同様、その複雑な心情の対象は一国に留まらず他の国にも飛び火するわけで。


「ピンクパンサー2」ではそれがイタリア、イギリス、日本でした。

それぞれアンディ・ガルシア、アルフレッド・モリーナ、松崎悠希という名優が演じてお国ぶりをふんだんにアピールしておりました。それが最初は鼻についてイヤな奴らに見えるんですが、最後には全員実はいい人達だったのねで終わらせてくれてほっとしました。もちろんその前には全員がクルーゾーのせいでヒドイ目にあっているというお約束付きなんですが。


日本人のケンジ・マツド役を演じていた松崎さん、日本人なのに目がつり上がってなくてタレ目なのに周囲に有無を言わせぬ日本人ぶりが日本人の目から見ても気持ちよかったです。すごくさりげない演技の中で日本人らしさを自然に表現していました。なかなか、こういう上手な演出にはお目にかかれません。

また松崎さんのあのタレ目(ごめんなさい)がとても優しい雰囲気を醸し出していて、映画に暖かみを加えているんですよね♪ よいキャスティングだったと思います。



さて、イタリア人もイギリス人も日本人も、相手が誰であろうと差別意識を持たずに差別してるのがクルーゾーであり、それが彼のギャグの根幹をなしているともいえるんですが、フランス人でそのギャグを真っ正面から受けとめているのがジャン・レノ。髭を剃り落とした彼が限りなく普通のおじさんに見える程、スティーブ・マーティンのクルーゾーはかっとんでおります。実は彼は「悪気がなければ何をしても許されるのか?」という非常に重大な命題を観客に問いかけているんですが(たぶん)、残念ながら笑ってる内にそんなことはどうでもよくなってしまうんですよねー。



「トランスフォーマー・リベンジ」の公開前にパリのグラン・パレ、「天使と悪魔」の公開前にバチカンの内部まで見られちゃうという余録付きの「ピンクパンサー2」ですが、さらにさらに驚くべき秘密がありました!


なんと超有名な美男俳優(私にとってはね)がそれはそれは麗しい姿で登場あそばすのです!

うわ見た瞬間鼻血! みたいな衝撃でしたわ(私にとっては)。


日本の公式サイトでも全然取りあげられていないので、これはやっぱりサプライズとして用意されているのでしょう。だから私もここでは名前は挙げません。


でも一応、ちょっとだけ予告に映っていたのでヒント代わりにキャプとってみました。


Who killed Cock Robin?

これ、この黄色い矢印がさしている白いシャツの袖の人、この方です。


いや~、見に来てよかった!!


この方が登場した瞬間、心底そう思いましたよ、私は。


この方の正体が知りたい方は是非劇場へ♪