オールナイトで映画を見て、半分寝ているような夢見心地で電車に乗って、座ってふと斜め向かいで広げられているスポーツ新聞に目を向けると、その一面に大々的に出ていたのが このニュース だった。
忌野清志郎さん死去
復帰の夢かなわず
だっただろうか。
確かガンだったとは知っていたから若くしての死にも惜しいとは思いつつショックは受けなかったのだが、驚いたのは本人が復帰するつもりだったということだ。
あきらめていなかったのか――
歌うことを、生きることを、彼は闘病中も、恐らくは死の間際まで。
すごいな、と素直に思う。
すぐにあきらめてしまう根性のない私には真似できない事だから。
清志郎ちゃんは生き方も死に方もロックなんだな。
私がオールナイトで見てきたのは「ロード・オブ・ザ・リング」SEEの三部作の一挙上映だった。
映画のラストではこの世での使命を終えた者達が港から船に乗り、不死のエルフ達が暮らす島へ向けて旅立って行くシーンが美しく幻想的に描かれている。
今日の船出はいつもより一人多かったかもしれないな、と私は思う。
病を闘い抜き、道半ばにして斃れた清志郎ちゃんなら、きっとフロドやビルボと一緒に船に乗ってもガンダルフは何も言わないだろうと。
魂を揺さぶる言葉とメロディーを紡げる才能のある彼ならば、エルフ達も喜んで迎えてくれるだろうと。
忌野清志郎さんのご冥福をお祈りします。