(記事より抜粋)
>映画『ノルウェイの森』のメインキャストを松山ケンイチ、菊地凛子、モデルで女優初挑戦の水原希子が務めることを13日までに、製作元のアスミック・エースから発表された。
発売から22年が経ち、国内発行部数920万部を誇る作家、村上春樹氏の大ベストセラー小説の初映像化で、高校時代に親友キズキを自殺で失った大学生の主人公ワタナベとキズキの恋人だった直子らのやり取りを通じ、思春期の葛藤(かっとう)や、喪失と再生を描く恋愛物語。ワタナベを松山、直子を菊地、ワタナベが大学で知り合う同級生・緑を水原、ほかにキズキを高良健吾、ワタナベの先輩・永沢を玉山鉄二、直子の同室人となる女性レイコを霧島れいかが演じる。今年2月にクランクインし、兵庫県と日本海側地区で10日間かけて冬のシーンを撮影済み。来月1日から8月末まで関西地区などで撮影予定。
メガホンを取るベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督らが、面接やワンシーンを演じさせるビデオオーディションでキャスティング。約100人から松山ら3人を抜てきした。トラン監督は、松山について「会った瞬間、好きな俳優さんだと思った。無垢(むく)な部分があり、純粋さを表現する能力があると感じた」。菊地には「(出演作の)『バベル』を観たときは直子という想像ができなかったが、オーディションビデオを見たら近い雰囲気を感じ、3秒で直子になれると直感した」。米国人と在日韓国人のハーフという雑誌ViViの専属モデル、水原にも「雰囲気が新鮮で素晴らしい女性」とほれ込んでいる。
1968年から1969年が舞台となる本作で大学生を演じる松山は「ワタナベと僕の共通点は、自分では少なからずあるような気がします。もう冬のシーンは撮り終え、観させていただきましたが菊地さん演じる直子がとても美しくて、この作品はとてもきれいな映画になると感じました。僕も美しくとはいかないまでも、ワタナベの喪失や悲しみ、成長を真摯(しんし)に表現したいと思っています」。
一方の菊地は、昨年7月の映画化発表後、自らオーディションを受けさせてほしいと申し出たという。「10代のころに原作を読んで、ずっと直子に心惹(ひ)かれていました。どうしてもどうしてもこの役をやりたかったのです。直子をもっと知りたかったことと、監督の映画が好きだったからです。好きだからこそ、今苦労しています。とにかく精いっぱいやらせていただきます」とコメントを寄せた。
撮影後はトラン監督が住むフランスと日本で編集作業が行われ、来年3月に完成し、同秋公開予定。原作が36言語に翻訳されている上にノーベル文学賞のノミネートが続く村上氏、カンヌ、ベネチア両国際映画祭で受賞歴のあるトラン監督、アカデミー賞ノミネート女優の菊地と、世界的注目を集める要素が満載。アスミックの小川真司プロデューサーは「完成後はカンヌやベネチアを目指したい。海外のセールス会社とも話をしています」と明かしており、松山らの熱演が世界の映画ファンを魅了することになりそうだ。