アメリカでも日本でもぶっちぎりの勢いで興行収入叩き出しているらしい「天使と悪魔」ですが、その内容に関してトム・ハンクスが上記のような内容の事を語ったそうです(ムービーウォーカー )。
>『ダ・ヴィンチ・コード』に引き続き、『天使と悪魔』でロバート・ラングドン役を演じているトム・ハンクスは、前作同様にカトリック関係者から批判の声があがっている同作につき、「映画を見ると気分を害されるだろうと思う人は、見ないでくれ」と呼びかけている。
>「(そういう人々には)映画を見ないで欲しいんだ。お願いだから。切実な願いだよ」「1作目も同じぐらい物議をかもしたけど、それで壊れたものは何もない。世界が終わったわけでもないし、人々は日曜日になると教会に通っていた。『天使と悪魔』が上映されても同じことだよ。人々はそれでも教会に通うだろうし、生活を続けて行くんだ」とParade.comに語っている。
もう見ちゃったんですけどぉ~(感想のみを書いた記事。ネタバレなし )。
で、この映画を見たらカトリック教徒が気分を害するのは当然だろうと思います。
「ダ・ヴィンチ・コード」ではキリストその人の秘密に迫る部分がカトリック(ひいてはキリスト教)の教義を根本から揺すぶるものだったので、原作の時点でカトリックの方々にとってはすこぶる問題のある内容だったわけですよ。
でも、「天使と悪魔」はそうじゃない。私が原作を読んだ限りでは、原作者のダン・ブラウン氏は作品の中でそれ相応の敬意をカトリックに払っていたものです。その上で、科学と宗教の対立、或いは融合をとりあげていたんですよね。
ところが映画の「天使と悪魔」では、カトリックに対する敬意がほとんど感じられないんです。むしろ、侮蔑・揶揄・軽視・といったマイナスの感情がそこここのシーンから感じ取られる。カトリックでもなんでもない私が眉をひそめたくなるぐらいなんですから、カトリックの方が感情を害されたとしても無理はない。彼らにとって非常に不愉快な映画であったのではないかと推察します。
バチカン内部の政治的なかけひきにしても、大変生臭い描き方で全然神聖なものが感じられないんですよね。
バチカンをさんざんロケにつかっておいて、これでは幾らなんでもヒドイんじゃないのか――そりゃあこれを見たカトリックの方は立腹するでしょうよ。
ごく一般的な日本人が見る分にはそう大して問題はないかもしれませんが、しかしカトリックというものを誤解して受けとめてしまう恐れというのはあります。もっとも現代の日本人が宗教全般に対して抱いている感情とそう変わりはないものかもしれないですが。
それにしてもそれは映画だけのことであり、原作の「天使と悪魔」はもっと素晴らしく、深いテーマを内包した作品です。映画を見て「こんなもんか」と思った方は、是非原作をご一読下さい。目からウロコが落ちますから!