このトレイラーを見るだけでも、「トワイライト」について「MTVムービー・アウォーズ受賞結果」(こちら)の記事の中で触れた事の片鱗がうかがえるのではないかと思います。
もっとも「トワイライト~初恋~」と「~ニュームーン~」では監督が違うのですが。
「~初恋~」では監督は人間対人間のリアルな対戦シーンなんてのを最初から捨てて、それこそ実写「ドラゴンボール」も真っ青な特殊効果満載のアクションシーンを作ってました。「~初恋~」で描かれるのは人間をはるかに凌ぐ身体能力を備えたヴァンパイア同士の戦いですからそれで全然問題ないわけで。
でも、アニメが原作の「ドラゴンボール」と違い、小説原作の「トワイライト」では一応これがリアルな世界であるという設定上にちゃんとあるんですよ。
「これは(一応)リアルである」と観客に思わせるための重要なファクターはスピード感なんですね。それとその加速度が衝撃に加わった時の破壊力。これをやりすぎるとギャグになるか、或いは現実感を損ないます。アニメもしくはアニメ原作ならばその「やりすぎ」の部分の塩梅が大事になるでしょう。
この処理が下手だなって思ったのが「GOEMON」。
この映画はまるでそのままマンガを読んでいるようなシーンの連続で、主人公が今からジャンプするぞというタメのシーンがあったと思ったら、次のシーンではもう上空で豆粒のようになっている。
マンガのコマ割だったらそれで問題ないし、マンガならではのスピード感は生まれるんだけど、それを映像で見せられると、その「スピード感」には全然現実味が伴わないわけです。
「あら、今そこにいたのに何故もうあそこにいるの? あ、跳んだんだ」
と事態の認識よりも映像に対する疑問の方が先に湧きましたよ、私は。
一言でいうなら
「は?」
って感じです。
それは走るのでも同じで、今そこに普通の大きさで存在していた人物が次のカットでは豆粒ぐらいの大きさになっているんですよね。その間に「走っている」というカットがないので、連続性が途切れてしまいすぐには何が何だかわからない。その人物が猛スピードでその間の距離を移動したんだという認識は一応後からやってはくるけれど、人物のサイズが「大」から「小」に瞬間的にカットが切り替わっているものだからその「猛スピード」にまるで現実感がない。いっそ、走ったんじゃなくて「転送」したんならまだ理解できるというぐらい、空間を移動させる時のスピード感の描き方が不自然だったんです、「GOEMON」は。
まあ、この作品は3次元を2次元に落として平面的な映像を楽しむのが目的らしいですから、スピード感も漫画のコマ割的表現にわざとしてみたのでしょうが。でも私はマンガが読みたければ、映画見るんじゃなくてマンガの本を買って読みますけどね。
「トワイライト」では空間の素早い移動はちゃんと連続性を持って描かれているので、「は?」ではなく「はやっ!」として認識されます。それは大事だと思うんですよ。
「~初恋~」でヴァンパイアのカレン家の方々がレジャーで野球に興じるシーンがあるんですが、もはや人間の行うスポーツとは全くかけ離れたプレイのシーンがなかなか見応えあって面白かったんで、「格闘シーン賞」もロバートとキャムの戦闘シーンばかりじゃなくてこの辺も評価されての事ではないかと思ったりして。
あんまり取り沙汰されてないですが、「トワイライト」は実は特撮映画として見てもなかなかのできなんですよね、男の子の喜ぶようなシーンが少ないだけで。
再び上のトレイラーに話を戻しますが、これの最後の方に人間から狼への変身シーンが含まれています。
これが新しくって!
ちょっと感動してしまいました。
何が新しいのかというのは、古今東西の狼男の変身シーンを見てないとお分かりにならないかもしれませんが、そういう私もすべての狼男映画を見ているわけでもないのでもちろん断定はできないんですが、でも私が知っている中ではこれは新機軸。
近いものに「ブラッド・ウルフ」の人間から本物の狼への美しいモーフィングシーンがありますが、それともたぶん違います。
狼&狼男ファンならこれは見逃せない!
是非御覧ください♪