MovieWalker yより(以下一部抜粋)
7月11日に公開された『ごくせん THE MOVIE』が、興行ランキング1位に躍り出た!
初日2日間で動員402,440人、興収489,521,985円を挙げ、興収40億円も狙える好スタートとなり、またもやテレビドラマの映画化作品の強さを見せつけた。
『ROOKIES 卒業』(公開中)も『ごくせんTHE MOVIE』も、昨今人気の“ワルメン学園もの”で、イケメンキャストをフル稼働した特番の効果は相当あったと思われるが、それ以外のヒットの要因も改めて探ってみたい。
共通点が多い2作だが、両作ともドラマファンの扇動の仕方が徹底していた。ファン心をくすぐるフレーズに、「ドラマの集大成」、「もうこれで見納め」などが挙げられるが、両方とも単なる映画化ではなく、シリーズの“最終章”を映画で締めるという趣旨がストレートに伝わったと思う。
そして、先生が“情熱的”の形容の最上級“暑苦しい”熱血教師であること。その暑苦しさは1時間のドラマ枠ならまだしも、2時間の映画だときつそうに思える点も両者の共通項だ。でも、世知辛い世の中、自分のために矢面に立ってくれる先生の“天然記念物感”は、予想以上にウケがいい。
さて、『ごくせんTHE MOVIE』が『ROOKIES 卒業』と違う点は、ドラマの人気ピーク時に映画が公開されてない点だ。第3シリーズ(08)まで続いた「ごくせん」で、いちばん高視聴率を稼いだのは亀梨和也ら出演の第2シリーズ(05)で、平均視聴率は28%、なんと最終回で驚異の32.5%をはじき出している。第3シリーズも人気が高かったとはいえ、平均視聴率は22.8%で、映画製作のタイミングについて疑問視する声もあった。でも、ふたを空けてみたら、この結果だ!
最大の決め手は、7年続いた「ごくせん」ならではのウルトラCの戦略にあった。映画の準主役の亀梨をはじめ、各シリーズのイケメンOBたちを総動員させたのだ。メインの第3シリーズの三浦春馬らワルメンたちはもちろん、第1シーズンの小栗旬、成宮寛貴、第2シーズンの速水もこみち、小池徹平、小出恵介らがカメオ出演! メンツがメンツなので、それぞれきちんとした台詞つきという脚本家泣かせの力技の展開もあっぱれだ。
また、“偉大なるマンネリ”への安心感も大きかったのでは。仲間由紀恵扮する熱血教師・ヤンクミのお約束の“極道台詞”は、今も高視聴率の長寿番組として君臨する「水戸黄門」の“印籠見せ”と同じで、何度でも観たくなるんだな、これが。
それにしても、このままでいいのか映画業界!? テレビ番組の映画化作品で興行が盛り上がっているのはめでたい限りだが、映画ファンとしては、オリジナル脚本の作品にもがんばってほしいところだ。