シネマカフェ より(以下一部抜粋)


Who killed Cock Robin?


『マルコムX』、『ザ・ハリケーン』、『トレーニング デイ』をはじめ数多くの主演作で“強い男”を演じてきた俳優が、25ポンド(約11キロ)体重を増やし、メガネをかけている。続けてコーヒーをうっかり自 分にひっかけてしまうようなドジな一面が映し出される──その姿を見て「えっ? この人、デンゼル・ワシントンだよね…」と疑問に思うのは当然だろう。そ う、2度のアカデミー賞に輝くデンゼル・ワシントンが『サブウェイ123 激突』で演じるのは、ごく普通の男。本作はそんな普通の男がいざというときに発 揮する底力を描いた重厚なサスペンス・ドラマだ。

物語はニューヨークのペラム駅を発車した列車が4人の男にハイジャックされるところから 始まる。そして、地下鉄職員のガーバー(デンゼル・ワシントン)はハイジャック犯からの電話を偶然とったことで、たった1人で彼らと戦うはめに…。この映 画のオリジナルは1974年に作られた『サブウェイ・パニック』。当時は警官とハイジャック犯の設定だったが、今回は地下鉄職員に変え、ガーバーとハイ ジャック犯リーダーのライダー(ジョン・トラボルタ)との関係をより密接したものとして再構築している。無線を通じてガーバーとライダーが繰り広げる頭脳 戦はアクション映画以上にスリリングだ。

また、トニー・スコット監督はニューヨークの地下に潜むダークでタフな世界と、ガーバーがいる静 かで清潔な司令室を対比させたいと、なんと実際の地下鉄で撮影を敢行。ちなみに、線路内で俳優がいる横を本物の列車が走る撮影はほとんど初めて。一歩間違 えば命を落としかねないシーンをフィルムに収めることができたのは、やはりトニー・スコット監督がスタッフ・キャストから絶大な信頼を得ているから。代役 なしで挑んだデンゼル・ワシントンの男気、俳優魂にも惚れ惚れする