お宝を巡って、欲にまみれた無法者たちが灼熱の砂漠を駆け抜ける! 狙った獲物は離さない賞金ハンター“グッド”、一番であることに賭けるギャングのボス “バッド”、そして雑草のように生き抜くこそ泥“ウィアード”――。韓国の代表的スター、チョン・ウソン、イ・ビョンホン、そしてソン・ガンホという贅沢 すぎる競演を実現させた、韓国ウエスタン・アクション『グッド・バッド・ウィアード』 が絶賛公開中である。先日、来日を果たしたビョンホンとウソンに、本作について語ってもらった。
“挑戦”の連続だったウエスタン・アクション
本作の見どころは何と言っても、スタントなし、妥協なしのリアル・アクション。冒頭の大陸横断列車から荒野での追撃シーンまで、片時も目が離せない! 延べ9か月、中国ゴビ砂漠への大遠征を敢行して行われた撮影は、2人にとって挑戦の連続だったよう。
イ・ビョンホン:
馬に乗るのも初めての体験で、しかも銃を撃ったり爆撃のすぐそばで馬を走らせたり、私にとってはそれ自体がチャレンジでした。いつ、どこで、何が起こるか
分からない、誰かが怪我をするかもしれない、そんな状況で遭遇した砂嵐は大変でした。遠くの方から黒いものが近づいてきて、一瞬にして1メートル前も見え
ない状況になるんです。
チョン・ウソン:私にとってはあの衣裳でのアクションが何よりも挑戦でした。着ていたのは西部劇に
出てくるようなもの(カウボーイルック)だったのですが、東洋人の私が違和感なく着れるのかチャレンジングでした。また、映画史に残るほどのアクションだ
と思ったのは、大平原での追撃シーンです。スピード感とスペクタクル感がとてもリアルで、あれほどの馬を走らせた大規模なシーンはやはり、挑戦でした。
色褪せぬ傑作ウエスタンへのオマージュを感じさせながら、そこに東洋の美を違和感なく織り交ぜた、キム・ジウン監督の手腕が光る本作。自ら“映画史上に残る作品”と自信をもって語る二人だが、過去のウエスタン作品に影響された部分は?
チョン・ウソン:
西部劇シリーズなどは子供のときから親しんでいました。当時見ていたTVでは、当然韓国語に吹き替えられていたのだけど、そのときは欧米の人が韓国語を話
してるんだと思ってました(笑)。でも、今回撮影に入る前は過去の作品は観ませんでした。あくまで韓国スタイルの西部劇としていろいろな試みがなされてい
たので、キャラクターを最大限に演じようと心がけました。
イ・ビョンホン:私たちの子供の頃の楽しみといえば、週末にTV
で放送される名画で、西部劇もたくさん流れていました。それは男たちのロマン、憧れのキャラクターだったと思います。『夕陽のガンマン』('65)も観た
ことがありますし、今回撮影に入る前にも、もう一度観ようかと思いました。でも、観てしまうと無意識に真似てしまうのではないかと思い直し、やっぱりやめ
ました。この映画では、あくまで新しい人物像を作り上げていきたかったので、与えられたキャラクターを忠実に演じるということだけを考えるようにしまし
た。
3人だからこそ築けた“トライアングル”のバランス
イ・ビョンホン:じっと聞いていると、おもしろくない話でも、ソン・ガンホさんが話すとお もしろいんです。スタッフやほかの俳優が疲れているときにも、彼が現場の雰囲気を和らげてくれました。彼の部屋にはビールがいっぱい積み上げられていて、 毎夜、酒盛りが行われていました。約束もせず、部屋に行くと酒盛りが始まる、そんな雰囲気でした。
チョン・ウソン:一見ソ ン・ガンホとチョン・ウソンというと、観る方も相反するイメージを持たれるかと思うのですが、2人の俳優とキャラクターがいろんなことでぶつかり合いなが ら、醸し出される妙なおもしろさというのがありました。また、ソン・ガンホさんは台詞を覚えきれてないときにアドリブをやるのですが、それはNGになって いました(笑)。
続けて、「ともすればバランスが壊れる余地もある中で、それぞれのキャラクターを演じるにあたって、3人の俳優の関係性 と劇中のキャラクターのバランスがすごくうまく取れていたことに感心しました」と語るチョン・ウソン。この言葉が決して大げさでないことは、3人の見事な アンサンブルを見ればわかるはず。果たして、宝を射止めるのは、グッド? バッド? それとも…。まずは、3人のリアル・アクションを大スクリーンで楽し んでみることをお薦めする。