シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)
映画『X-MEN』シリーズをはじめ、最近では映画『ワルキューレ』をヒットさせた監督としておなじみのブライ アン・シンガーが劇場版映画『宇宙空母ギャラクティカ』のメガホンを取ることが正式に決定したが、この「ギャラクティカ」には実は新旧ファンの対立が根深 い。
若い映画ファンの方には、なじみが薄いかもしれないが、『宇宙空母ギャラクティカ』のオリジナルは1978年に放映されたテレビドラマ。1977 年に全米公開され大旋風を巻き起こしていた映画『スター・ウォーズ』の成功に便乗して製作され、日本ではパイロット版が劇場公開されるという華やかなス タートを切ったものの実際のオリジナルテレビシリーズはわずか1シーズンで打ち切りとなってしまった。
とはいうものの、「ギャラクティカ」というネームバリューは根強く生き続けて、2003年には全米ケーブル・ネットワークのSyfyチャネルに 「バトルスター・ギャラクティカ」、通称「BSG」として新キャスト、新コンセプトでカムバックを果たし、新たなファンベースを生み出した。そのため、現 代版BSGファンとオリジナル版BSGファンの間に多少の派閥ができてしまったようで、ブライアン監督の起用はファンの間で賛否両論を呼んでいる。
今回の起用が決定し、ブライアン監督が製作の大切な相棒となるプロデューサーとして選んだのは、現代版SyfyチャンネルのBSGを手がけたプロ デューサー、ロナルド・ムーア氏ではなく、1978年度オリジナル版の製作を手がけたプロデューサーのグレン・ラーソン氏。この製作上での決定が現代版 BSGファンの間で物議を醸しているのである。
実はブライアン監督、オリジナル版BSGが好きで以前に1978年度のオリジナルテレビシリーズのダークな風合いを生かしたテレビシリーズを作ろ うとしていたようだ。しかしそれから間もなく2001年の9.11テロ事件が勃発。世界中が爆発の映像に過敏になり、いくらBSGが架空の宇宙戦争を描い た番組であるとはいえ、とにかく時期が悪いということでそのままその製作準備はオジャンとなってしまった。
だが今回、ブライアン監督の劇場用『宇宙空母ギャラクティカ』への監督就任が決まったことや、オリジナル・プロデューサーのラーソン氏の参加など から見て、BSGファンの間では、オリジナルの作風を活かした映画作りをするのではという見方がファンの間で濃厚となっている。これが現代版BSGのファ ンたちにとっては面白くないようで、インターネットの映画サイトやSFコンベンションなどでは喧々囂々(けんけんごうごう)のトピックとなっている。
いずれにせよ、ブライアン監督はカッコいいだけではなく、深みもある作品を生み出す。劇場用『宇宙空母ギャラクティカ』は、話題の超大作になることは間違いないだろう。