MovieWalker より(以下一部抜粋)


草なぎ剛×新垣結衣共演の『BALLAD 名もなき恋のうた』(9月5日公開)は、ただの時代劇ラブストーリーじゃない。本作には、時代劇で「それを言っちゃおしまいよ」と言う“禁じ手”の台詞が出てきて、それが胸にぐさっと突き刺さる感じがニクイいのだ。


本作は“大人が泣ける”と評判のアニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(02)の実写版で、時代劇とはいえ、現代人のしんちゃんがタイムスリップするという設定が肝。くだんの“禁じ手”台詞は、その時代性のギャップが生んだものだ。


ご存知、戦国時代の戦いのルールとしては、敵将の首をとるのが勝利の証。ところがどっこい、実写版しんちゃんの真一は草なぎ扮する武将・又兵衛に“ちょっと待った!”をかけ、「この人殺したって、何も始まらないよ!」と訴える。それってありなの!?


又兵衛は面食らうけど、現代の価値観を持つ観客は「よくぞ言った!」と心のなかで拍手し一気に感情移入する。 通常、時代劇での合戦シーンなんて所詮“絵空事”。でも、現代人・真一の目線から見れば、それは紛れもなく“人殺し”にほかならない。そのリアルな視点こ そが本作の見どころのひとつだ。


さすがは『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴監督、視覚効果で“時代を操る名手”ならではの技あり1本がきいている。下手な反戦映画よりも、心をがしっと鷲づかみされること請け合いなので、この時代間ギャップを楽しんでみては