先日縁あって韓国で大ヒットしたという恋愛映画の先行試写を体験しました。それも贅沢なことに二本立て!
9/26公開予定の「妻が結婚した」、及び10/10公開予定の「甘いウソ」、どちらも女性向けのファンタジックでコミカルな恋愛映画です。
韓国映画といえば、今年は「チェイサー」や「グッド・バッド・ウィアード」みたいな骨太な男性向きの作品にばかり脚光があたっているようですがなんのなんの、王道ロマンチックコメディも健在ではありませんか!
特に「甘いウソ」の方は往年の日本の少女マンガを思い出させるような「記憶喪失のフリ」ネタでテンポよく最後まで進み飽きさせません! 伏線も全部回収してるし思いがけないどんでん返しもあるし、それにこういう作品にはつきものの「主人公の親友」がカワイイんですよ! 可愛さでいったら主人公以上かも。
実はこの「甘いウソ」、全部日本人キャストに置き換えて脳内変換しながら楽しむことができるんです♪
主人公の売れない放送作家、ジホ(パク・チニ)はドジだけど思い込んだら命がけの強さと思いがけない行動の激しさが見ていて楽しい中越典子嬢。
ジホの高校時代の憧れの人で10年ぶりに再会したミヌ(イ・ギウ)は、いい会社でいい仕事についている頼りがいのある大人の男ということで細川茂樹さん。
ジホの幼なじみで、あまり人にはおおっぴらにしたくない仕事をしていて何だか頼りがいもなさそうに見えるドンシク(チョ・ハンソン)には大泉洋さん。
この図式、ロマンチックコメディの王道ですね。
ドジな女の子(心は)と、彼女が憧れる王子様と、彼女を慕う幼なじみ。
最近のTVドラマでいえば「メイちゃんの執事」。
「メイちゃんの執事」がおもしろかったのは、ヒロインを囲む男性二人に水嶋ヒロと佐藤健という当代きっての若手人気美男俳優を配したから。魅力がイーヴンな二人だったので、マンガ原作を知らずにドラマだけ見ていた私にはメイちゃんがどちらを選ぶのか分からず毎週展開にドキドキしていましたもの(ってゆーか、私自身がどっちもよくてどっちがいいのか決められなかった)。
このドキドキ、さらにいえばハラハラ、これってサスペンスです。
恋愛映画のサスペンスってまさにここにあって、要は「主人公が複数の異性の中から誰を選ぶか」にかかっているんですよね。もちろんその「複数の異性」が魅力的であることが絶対条件。誰をとってもどうでもいい輩だったら、主人公がどれを選ぼうと同じ事ですから。
「甘いウソ」はこの点で見事に成功をおさめているのですよ。
日本の俳優に例えて細川茂樹と大泉洋――このお二人だと、案外女性としてはどっちをとるのか決めかねるところがあります。
これがね、しつこく日本の例でいいますと、細川茂樹と松山ケンイチとか須賀貴匡と大泉洋であれば、俳優の人気とかクラスとかでヒロインがどちらを選ぶのか自ずと分かっちゃうんですよ。キャスティングで展開が分かった瞬間にサスペンスが失われるのはミステリーもロマコメも同じことで、映画を見たところで何のハラハラドキドキも感じられない。あーもーさっさとなるよーになれやー、てな感じ。
ところが細川茂樹と大泉洋だと――わかんないです、これは、いや、単に私の好みなだけかもしれませんが。顔とか仕事とか誠実さとか好条件を備えているのは細川さんの方だけど、でもでも大泉さんにも何とも言えない捨てがたい魅力があって……とヒロインに成り代わって悩みに悩みますね。
そういう意味で「甘いウソ」はめちゃくちゃサスペンスフルでした。私は韓国の俳優さんには詳しくないのでイ・ギウさんとチョン・ハンソンさんのどちらが有名かも分からないので、ヒロインが誰を選ぶのか最後までず~っとハラハラドキドキしながら見守ってましたよ。
ヒロインのジホを演じるパク・チニさんは優秀なコメディエンヌで、彼女の表情やしぐさでさんざん笑わせて貰いました。彼女セリフの歯切れがいいのでドラマ全体がべたついた感じにならず、コメディを見るのに必要なある程度突っ放した雰囲気に上手にもっていってくれるんですよね。演技的には「有頂天ホテル」をやった時の松たか子の感じでしょうか。
この「甘いウソ」ロマンチックコメディのようでいて実は家族愛も深く描かれていて、いい味を出してるのがヒロインの弟。幼なじみのドンシクにとっても弟分で、ドンシクに輪をかけて将来心配な感じなんですが、なんか憎めなくって可愛いんですよね~。映画を見ている内にどんどん愛しさが湧いてくるのです。
本当に脚本が上手いというのか、キャラクターが全員それぞれダメな部分も含めて魅力的で愛すべき人物に描かれているので、見ている間中楽しくて見終わってからはハッピー気分が持続します。
惜しむらくは字幕に少々ミスがあって、文頭に来るべき数字が抜けているため「何日」か「何時間」なのか分からない部分がありました。これが初日までに直っていれば言うことナシなのですが。
次に、公開はこちらの方が先に公開の「妻が結婚した」。
この画像が象徴する如く、かなり濃厚なベッドシーンが売りといえば売りの作品。
ただし内容は至って真面目で、笑えるシーンも多々あるものの考えさせられる事の方が多いです。これは日本では絶対できないタイプの作品かな? キム・ギドク監督の「ブレス」のように男女や夫婦の関係について真剣に考察している映画なのだと思います。
この作品が上手なのは、人間関係をサッカーの試合にたとえて語るところですね。比喩として分かりやすいです、見る人がサッカーに詳しければという条件付きですが。
どの程度まで書いていいのかちょっと判断に苦しむところですが、「妻が結婚した」のヒロイン、もちろん「妻」ですね、彼女が映画の中で実行してることって日本の男性で単身赴任してる人なら割と普通にやってることなんですよね。よく話に聞くじゃないですか「現地妻」って。
ただまあ、日本の普通の男性ならば正妻には隠密裡にコトを運ぶところをこの映画の「妻」は「夫」に好きな人ができたから彼とも結婚したいと正直に打ち明けるところが違うんです。
言われた夫はどうするのか。
実はこの作品の主人公は「妻」ではなく「夫」の方。
冒頭からず~っと「夫」である男性の視点で描かれています。
劇中の彼のモノローグの中から韓国の男性と日本の男性の違いというのがふわ~っと浮かび上がってくるんですね。
同時に男性にとっての「妻」という存在が実はどういうものであるのか、男性が「妻」に求めているのは本当は何なのかということも浮き彫りになってきます。
女性としては「妻」に感情移入するというより「夫」の身勝手さに「だから男ってのは!」とツッコミを入れながら見る方が楽しいかも。
この映画も最後までどうなるのか展開が全く読めません。ハラハラドキドキというよりドキドキソワソワのシーンも多いですが、目を背けず直視すべき内容もたくさん含んでいます。男性の「愛」がどこから湧き上がるのかという真実も語られていますし。
公開の暁には是非両作品とも御覧になってくださいませ。
どちらの作品とも、恋をしてはじめの頃は笑顔が多かったものが時の経過とともに泣き顔が多くなる傾向にあったように思います。
これって、現実でも同じなんじゃないのかな。
9/26公開予定の「妻が結婚した」、及び10/10公開予定の「甘いウソ」、どちらも女性向けのファンタジックでコミカルな恋愛映画です。
韓国映画といえば、今年は「チェイサー」や「グッド・バッド・ウィアード」みたいな骨太な男性向きの作品にばかり脚光があたっているようですがなんのなんの、王道ロマンチックコメディも健在ではありませんか!
特に「甘いウソ」の方は往年の日本の少女マンガを思い出させるような「記憶喪失のフリ」ネタでテンポよく最後まで進み飽きさせません! 伏線も全部回収してるし思いがけないどんでん返しもあるし、それにこういう作品にはつきものの「主人公の親友」がカワイイんですよ! 可愛さでいったら主人公以上かも。
実はこの「甘いウソ」、全部日本人キャストに置き換えて脳内変換しながら楽しむことができるんです♪
主人公の売れない放送作家、ジホ(パク・チニ)はドジだけど思い込んだら命がけの強さと思いがけない行動の激しさが見ていて楽しい中越典子嬢。
ジホの高校時代の憧れの人で10年ぶりに再会したミヌ(イ・ギウ)は、いい会社でいい仕事についている頼りがいのある大人の男ということで細川茂樹さん。
ジホの幼なじみで、あまり人にはおおっぴらにしたくない仕事をしていて何だか頼りがいもなさそうに見えるドンシク(チョ・ハンソン)には大泉洋さん。
この図式、ロマンチックコメディの王道ですね。
ドジな女の子(心は)と、彼女が憧れる王子様と、彼女を慕う幼なじみ。
最近のTVドラマでいえば「メイちゃんの執事」。
「メイちゃんの執事」がおもしろかったのは、ヒロインを囲む男性二人に水嶋ヒロと佐藤健という当代きっての若手人気美男俳優を配したから。魅力がイーヴンな二人だったので、マンガ原作を知らずにドラマだけ見ていた私にはメイちゃんがどちらを選ぶのか分からず毎週展開にドキドキしていましたもの(ってゆーか、私自身がどっちもよくてどっちがいいのか決められなかった)。
このドキドキ、さらにいえばハラハラ、これってサスペンスです。
恋愛映画のサスペンスってまさにここにあって、要は「主人公が複数の異性の中から誰を選ぶか」にかかっているんですよね。もちろんその「複数の異性」が魅力的であることが絶対条件。誰をとってもどうでもいい輩だったら、主人公がどれを選ぼうと同じ事ですから。
「甘いウソ」はこの点で見事に成功をおさめているのですよ。
日本の俳優に例えて細川茂樹と大泉洋――このお二人だと、案外女性としてはどっちをとるのか決めかねるところがあります。
これがね、しつこく日本の例でいいますと、細川茂樹と松山ケンイチとか須賀貴匡と大泉洋であれば、俳優の人気とかクラスとかでヒロインがどちらを選ぶのか自ずと分かっちゃうんですよ。キャスティングで展開が分かった瞬間にサスペンスが失われるのはミステリーもロマコメも同じことで、映画を見たところで何のハラハラドキドキも感じられない。あーもーさっさとなるよーになれやー、てな感じ。
ところが細川茂樹と大泉洋だと――わかんないです、これは、いや、単に私の好みなだけかもしれませんが。顔とか仕事とか誠実さとか好条件を備えているのは細川さんの方だけど、でもでも大泉さんにも何とも言えない捨てがたい魅力があって……とヒロインに成り代わって悩みに悩みますね。
そういう意味で「甘いウソ」はめちゃくちゃサスペンスフルでした。私は韓国の俳優さんには詳しくないのでイ・ギウさんとチョン・ハンソンさんのどちらが有名かも分からないので、ヒロインが誰を選ぶのか最後までず~っとハラハラドキドキしながら見守ってましたよ。
ヒロインのジホを演じるパク・チニさんは優秀なコメディエンヌで、彼女の表情やしぐさでさんざん笑わせて貰いました。彼女セリフの歯切れがいいのでドラマ全体がべたついた感じにならず、コメディを見るのに必要なある程度突っ放した雰囲気に上手にもっていってくれるんですよね。演技的には「有頂天ホテル」をやった時の松たか子の感じでしょうか。
この「甘いウソ」ロマンチックコメディのようでいて実は家族愛も深く描かれていて、いい味を出してるのがヒロインの弟。幼なじみのドンシクにとっても弟分で、ドンシクに輪をかけて将来心配な感じなんですが、なんか憎めなくって可愛いんですよね~。映画を見ている内にどんどん愛しさが湧いてくるのです。
本当に脚本が上手いというのか、キャラクターが全員それぞれダメな部分も含めて魅力的で愛すべき人物に描かれているので、見ている間中楽しくて見終わってからはハッピー気分が持続します。
惜しむらくは字幕に少々ミスがあって、文頭に来るべき数字が抜けているため「何日」か「何時間」なのか分からない部分がありました。これが初日までに直っていれば言うことナシなのですが。
次に、公開はこちらの方が先に公開の「妻が結婚した」。
この画像が象徴する如く、かなり濃厚なベッドシーンが売りといえば売りの作品。
ただし内容は至って真面目で、笑えるシーンも多々あるものの考えさせられる事の方が多いです。これは日本では絶対できないタイプの作品かな? キム・ギドク監督の「ブレス」のように男女や夫婦の関係について真剣に考察している映画なのだと思います。
この作品が上手なのは、人間関係をサッカーの試合にたとえて語るところですね。比喩として分かりやすいです、見る人がサッカーに詳しければという条件付きですが。
どの程度まで書いていいのかちょっと判断に苦しむところですが、「妻が結婚した」のヒロイン、もちろん「妻」ですね、彼女が映画の中で実行してることって日本の男性で単身赴任してる人なら割と普通にやってることなんですよね。よく話に聞くじゃないですか「現地妻」って。
ただまあ、日本の普通の男性ならば正妻には隠密裡にコトを運ぶところをこの映画の「妻」は「夫」に好きな人ができたから彼とも結婚したいと正直に打ち明けるところが違うんです。
言われた夫はどうするのか。
実はこの作品の主人公は「妻」ではなく「夫」の方。
冒頭からず~っと「夫」である男性の視点で描かれています。
劇中の彼のモノローグの中から韓国の男性と日本の男性の違いというのがふわ~っと浮かび上がってくるんですね。
同時に男性にとっての「妻」という存在が実はどういうものであるのか、男性が「妻」に求めているのは本当は何なのかということも浮き彫りになってきます。
女性としては「妻」に感情移入するというより「夫」の身勝手さに「だから男ってのは!」とツッコミを入れながら見る方が楽しいかも。
この映画も最後までどうなるのか展開が全く読めません。ハラハラドキドキというよりドキドキソワソワのシーンも多いですが、目を背けず直視すべき内容もたくさん含んでいます。男性の「愛」がどこから湧き上がるのかという真実も語られていますし。
公開の暁には是非両作品とも御覧になってくださいませ。
どちらの作品とも、恋をしてはじめの頃は笑顔が多かったものが時の経過とともに泣き顔が多くなる傾向にあったように思います。
これって、現実でも同じなんじゃないのかな。