タイトル、間違いではありません。
これはコーヒーを前にしたデート時の会話で
「○○ちゃん、いくつ?」
と聞かれて
「16♪」
と答えたら、コーヒーに角砂糖16個入れられたという古典的ギャグの話ではないのです。
これは弟がまだ中学生になったばかりの頃、母と私が彼にコーヒーを入れてくれるよう頼んだ時の返事です。それまでコーヒーをいれるのは私の役目だったのですが、弟も中学に上がったんだからコーヒーぐらいいれられるだろうという判断のもと、その日初めて頼んでみたんですよね。
何となく一人前扱いされたようなよい気分になったのか、弟、勇んでキッチンに行っていろいろ支度をしたと思われる感覚をおいてリビングに居る私達に声をかけて尋ねてきたのがこのセリフ。
「コーヒーってスプーンで何杯いれるの?」
「う~ん、カップが大きいから山盛りで一杯ぐらい入れて~」
「私も~」
この返事をした時点で、母と私は当然の如く弟にはインスタントコーヒーをいれるのを頼んだつもりでいました。家にはレギュラーコーヒーもあって普段から飲んではいましたが、お湯を沸かした経験さえロクにない弟にいきなりレギュラーがいれられるはずないと思ってましたから。
だから会話の内容としては、コーヒーカップに直接スプーンでインスタントコーヒーの粉(顆粒)をどれだけ入れるのかという質問に「山盛り一杯」という解答を与えたつもりだったのです。
キッチンからはスプーンがカップにあたったような物音やお湯が沸く音が聞こえてきて、その後カップに静かにお湯を注いでからスプーンでかき混ぜているようなカチカチいう音も聞こえてきます。
そのスプーンをカチカチかき回している音が何故か妙に長く続き、やがて弟が困惑したような顔でコーヒーを運んで来ました。
「ありがとう」
といってカップをのぞきこむと……粉が表面にまだ浮かんでいて、カップのヘリには黒いツブツブが濡れてへばりついているではありませんか! 薄くコーヒーの香りはするものの、それはインスタントコーヒーの強い香りではありません。私がコーヒーカップに見たものは、カップの底に幾分沈んだコーヒーの粉と沈みきれずに浮いているコーヒーの粉と、そしてお湯。
そうです、弟のやつ、レギュラーコーヒーの粉をカップに山盛り一杯いれて、その上からお湯を注いでくれたのでした!
――そもそもキッチンで料理の手伝いをした事のない子にはレギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの違いが分からなかったわけで……。運ばれてくるコーヒーを見かけるだけでいれているところをちゃんと見たことがなければ仕方ないのかもしれないけれど。
これがレギュラーコーヒーの代わりにインスタントコーヒーをドリッパーにセットしたフィルターの上にどさどさいれたんだとしたら、お湯をかけても溶けるだけだからポットにたまったインスタントコーヒーを飲むこともできたんでしょうが、お湯をかけただけのレギュラーコーヒーというのはもうどうしようもない状態になっているのでそのまま流しに捨てましたね。
コーヒーの濡れた粉まみれになったカップを洗って、その場で弟に一から、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの違いの説明から、コーヒーのいれかたを教えたものです。
レギュラーコーヒーを美味しくいれるためには粉全体にお湯を浸らせてからの「蒸らし」が必要なため、弟がやったようにいきなり粉全体にお湯をドバドバかけてしまったらもうダメなんですよね。そこにあるのは単にコーヒーの粉とお湯が混じっただけのもので、それをペーパーフィルターで濾してみたところで芳醇な香りと味わいに満ちた美味しいコーヒーには絶対ならない。弟にはいい勉強になったことでしょう。
ところでコーヒーの美味しさはこのペーパーフィルターによってもかなり左右されるものなのです。
もちろんコーヒーの粉が本来有している美味しさの差も大きいですが、しかし同じコーヒーでもフィルターによって味が全然違ってきます。
最近コーヒーがどうも美味しく飲めない、いれてもいれても一口飲んだだけでそれ以上飲めなくなって残してしまい、ふと気づいて電子レンジで温め直してもやはり一口飲んだだけで再び放置――という事が続いてまして、私は自分の味覚が変わったのかアルコールの飲み過ぎかそれとも病気なのかと随分心配していたのですが、どうやら身内も同じ症状らしいのですね。
理由を考えるに
「この頃、コーヒー、不味いよね」
「うん、まずい。まずくて飲めない」
という結論に。
でも使っているコーヒーの豆自体は変わってないのです。
変わったのはペーパーフィルター。
出先で立ち寄った店でフィルターが切れかけているのを思い出して何気なく買ったものなので、いつも使っているメーカーとは違う製品。
このフィルターになってからというもの、コーヒーが一口以上飲めなくなったということに思い当たり、試しにと思っていつものメーカーのを買ってきて交換したらあら不思議、元の美味しいコーヒーに戻りましたとさ。
というわけで何気なく買ったフィルターはまだ80枚以上残ってるけどお役ご免。いや、だって、そのフィルターでいれたコーヒーは結局半分は捨ててたようなものだから、これ以上とても使えないって。
弟にそのことを教えてあげてもいいんだけど、どうせあいつは今でも自分でコーヒーはいれないからな。最初の時に失敗したのが今でもトラウマになってるみたいで……。
コーヒーは美味しくないとね、人間、大事なものを失うかもしれません。
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これはコーヒーを前にしたデート時の会話で
「○○ちゃん、いくつ?」
と聞かれて
「16♪」
と答えたら、コーヒーに角砂糖16個入れられたという古典的ギャグの話ではないのです。
これは弟がまだ中学生になったばかりの頃、母と私が彼にコーヒーを入れてくれるよう頼んだ時の返事です。それまでコーヒーをいれるのは私の役目だったのですが、弟も中学に上がったんだからコーヒーぐらいいれられるだろうという判断のもと、その日初めて頼んでみたんですよね。
何となく一人前扱いされたようなよい気分になったのか、弟、勇んでキッチンに行っていろいろ支度をしたと思われる感覚をおいてリビングに居る私達に声をかけて尋ねてきたのがこのセリフ。
「コーヒーってスプーンで何杯いれるの?」
「う~ん、カップが大きいから山盛りで一杯ぐらい入れて~」
「私も~」
この返事をした時点で、母と私は当然の如く弟にはインスタントコーヒーをいれるのを頼んだつもりでいました。家にはレギュラーコーヒーもあって普段から飲んではいましたが、お湯を沸かした経験さえロクにない弟にいきなりレギュラーがいれられるはずないと思ってましたから。
だから会話の内容としては、コーヒーカップに直接スプーンでインスタントコーヒーの粉(顆粒)をどれだけ入れるのかという質問に「山盛り一杯」という解答を与えたつもりだったのです。
キッチンからはスプーンがカップにあたったような物音やお湯が沸く音が聞こえてきて、その後カップに静かにお湯を注いでからスプーンでかき混ぜているようなカチカチいう音も聞こえてきます。
そのスプーンをカチカチかき回している音が何故か妙に長く続き、やがて弟が困惑したような顔でコーヒーを運んで来ました。
「ありがとう」
といってカップをのぞきこむと……粉が表面にまだ浮かんでいて、カップのヘリには黒いツブツブが濡れてへばりついているではありませんか! 薄くコーヒーの香りはするものの、それはインスタントコーヒーの強い香りではありません。私がコーヒーカップに見たものは、カップの底に幾分沈んだコーヒーの粉と沈みきれずに浮いているコーヒーの粉と、そしてお湯。
そうです、弟のやつ、レギュラーコーヒーの粉をカップに山盛り一杯いれて、その上からお湯を注いでくれたのでした!
――そもそもキッチンで料理の手伝いをした事のない子にはレギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの違いが分からなかったわけで……。運ばれてくるコーヒーを見かけるだけでいれているところをちゃんと見たことがなければ仕方ないのかもしれないけれど。
これがレギュラーコーヒーの代わりにインスタントコーヒーをドリッパーにセットしたフィルターの上にどさどさいれたんだとしたら、お湯をかけても溶けるだけだからポットにたまったインスタントコーヒーを飲むこともできたんでしょうが、お湯をかけただけのレギュラーコーヒーというのはもうどうしようもない状態になっているのでそのまま流しに捨てましたね。
コーヒーの濡れた粉まみれになったカップを洗って、その場で弟に一から、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの違いの説明から、コーヒーのいれかたを教えたものです。
レギュラーコーヒーを美味しくいれるためには粉全体にお湯を浸らせてからの「蒸らし」が必要なため、弟がやったようにいきなり粉全体にお湯をドバドバかけてしまったらもうダメなんですよね。そこにあるのは単にコーヒーの粉とお湯が混じっただけのもので、それをペーパーフィルターで濾してみたところで芳醇な香りと味わいに満ちた美味しいコーヒーには絶対ならない。弟にはいい勉強になったことでしょう。
ところでコーヒーの美味しさはこのペーパーフィルターによってもかなり左右されるものなのです。
もちろんコーヒーの粉が本来有している美味しさの差も大きいですが、しかし同じコーヒーでもフィルターによって味が全然違ってきます。
最近コーヒーがどうも美味しく飲めない、いれてもいれても一口飲んだだけでそれ以上飲めなくなって残してしまい、ふと気づいて電子レンジで温め直してもやはり一口飲んだだけで再び放置――という事が続いてまして、私は自分の味覚が変わったのかアルコールの飲み過ぎかそれとも病気なのかと随分心配していたのですが、どうやら身内も同じ症状らしいのですね。
理由を考えるに
「この頃、コーヒー、不味いよね」
「うん、まずい。まずくて飲めない」
という結論に。
でも使っているコーヒーの豆自体は変わってないのです。
変わったのはペーパーフィルター。
出先で立ち寄った店でフィルターが切れかけているのを思い出して何気なく買ったものなので、いつも使っているメーカーとは違う製品。
このフィルターになってからというもの、コーヒーが一口以上飲めなくなったということに思い当たり、試しにと思っていつものメーカーのを買ってきて交換したらあら不思議、元の美味しいコーヒーに戻りましたとさ。
というわけで何気なく買ったフィルターはまだ80枚以上残ってるけどお役ご免。いや、だって、そのフィルターでいれたコーヒーは結局半分は捨ててたようなものだから、これ以上とても使えないって。
弟にそのことを教えてあげてもいいんだけど、どうせあいつは今でも自分でコーヒーはいれないからな。最初の時に失敗したのが今でもトラウマになってるみたいで……。
コーヒーは美味しくないとね、人間、大事なものを失うかもしれません。
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