「牛の鈴音」(公式サイト
)
以前の記事 で予告編 を紹介したこの作品を試写会で見てきました。
恐らく韓国の人もそうだったのでしょうが、日本人の私から見ても映画の中にあふれる緑の美しさには心を打たれました。
それはかつて日本のどこででも見られたような光景だったに違いない、と韓国の風景を見ているのに何故かそう思えてきてしまうのです。
郷愁ではありません。私は牛が働く田畑を知らないで育ちましたから。韓国でさえ、牛はとっくに時代遅れになってしまい、ドキュメンタリーを撮影するための場所を探すのには随分時間がかかったそうです。
実際、この映画に出てくるおじいさんの畑以外では、農薬は当たり前のように散布され牛ではなく機械による農作業が当たり前になっています。だからこそ作品中でおばあさん(おじいさんの連れ合い)は
「こんな事やってるのは家だけだ」
としきりに嘆くのですが。
しかし頑固なおじいさんが昔ながらの農法を守り続けていたおかげで、「牛の鈴音」のカメラがとらえた風景は本当に自然が生き生きとしていて美しい。そしてその美しさは目だけではなく、耳でも味わえるのです。
この映画の音楽は自然の音。
鳥のさえずりや虫の羽音、牛の歩く音や風の音、大気の中に充満しているそれらの音がスクリーンを通して観客の耳まで飛び込んでくるのです。
おばあさんがおじいさんに愚痴を言うその言葉さえも音楽的に響き、それを耳にしながら黙りこくるおじいさんの息づかいが絶妙な合いの手となって聞こえます。
この作品は、恐らく韓国の人々にとって、日本における「となりのトトロ」なのです。
いつでもどこにでもあると思っていたのに、いつのまにかすっかり失われてしまった風景。
「トトロ」はそれをアニメーションで表現しましたが、「牛の鈴音」は奇跡的に現在まで残っていたその風景を、失われる前に撮影するのにかろうじて間に合ったのでしょう。
それは私達が実際にその目で見ていなくても、いにしえより伝えられてきた文化の中で理想として描かれてきた心のふるさと、原風景そのものなのです。
韓国と日本はこんなにも近いんだ……。
いろんな意味でそんなことを思います。
「ゼロの焦点」では戦後の日本らしい風景を探すために韓国までロケハンに行き、実際に韓国で撮影された背景もあったそうですが、「牛の鈴音」を見たことでそれが見事に腑に落ちました。
可愛らしいサツキとメイちゃんの代わりに、可愛らしいおじいさんとおばあさん、トトロの代わりに牛がいる「牛の鈴音」。
自分の中の原風景への里帰り、この作品を見ることで果たしてみませんか?
「牛の鈴音」は12月19日(土)公開です。
以前の記事 で予告編 を紹介したこの作品を試写会で見てきました。
恐らく韓国の人もそうだったのでしょうが、日本人の私から見ても映画の中にあふれる緑の美しさには心を打たれました。
それはかつて日本のどこででも見られたような光景だったに違いない、と韓国の風景を見ているのに何故かそう思えてきてしまうのです。
郷愁ではありません。私は牛が働く田畑を知らないで育ちましたから。韓国でさえ、牛はとっくに時代遅れになってしまい、ドキュメンタリーを撮影するための場所を探すのには随分時間がかかったそうです。
実際、この映画に出てくるおじいさんの畑以外では、農薬は当たり前のように散布され牛ではなく機械による農作業が当たり前になっています。だからこそ作品中でおばあさん(おじいさんの連れ合い)は
「こんな事やってるのは家だけだ」
としきりに嘆くのですが。
しかし頑固なおじいさんが昔ながらの農法を守り続けていたおかげで、「牛の鈴音」のカメラがとらえた風景は本当に自然が生き生きとしていて美しい。そしてその美しさは目だけではなく、耳でも味わえるのです。
この映画の音楽は自然の音。
鳥のさえずりや虫の羽音、牛の歩く音や風の音、大気の中に充満しているそれらの音がスクリーンを通して観客の耳まで飛び込んでくるのです。
おばあさんがおじいさんに愚痴を言うその言葉さえも音楽的に響き、それを耳にしながら黙りこくるおじいさんの息づかいが絶妙な合いの手となって聞こえます。
この作品は、恐らく韓国の人々にとって、日本における「となりのトトロ」なのです。
いつでもどこにでもあると思っていたのに、いつのまにかすっかり失われてしまった風景。
「トトロ」はそれをアニメーションで表現しましたが、「牛の鈴音」は奇跡的に現在まで残っていたその風景を、失われる前に撮影するのにかろうじて間に合ったのでしょう。
それは私達が実際にその目で見ていなくても、いにしえより伝えられてきた文化の中で理想として描かれてきた心のふるさと、原風景そのものなのです。
韓国と日本はこんなにも近いんだ……。
いろんな意味でそんなことを思います。
「ゼロの焦点」では戦後の日本らしい風景を探すために韓国までロケハンに行き、実際に韓国で撮影された背景もあったそうですが、「牛の鈴音」を見たことでそれが見事に腑に落ちました。
可愛らしいサツキとメイちゃんの代わりに、可愛らしいおじいさんとおばあさん、トトロの代わりに牛がいる「牛の鈴音」。
自分の中の原風景への里帰り、この作品を見ることで果たしてみませんか?
「牛の鈴音」は12月19日(土)公開です。