幕末の志士、坂本龍馬の人生を三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎の視点から描いたNHK大河ドラマ「龍馬伝」が10年1月3日にスタートする。龍馬を演 じるのは、歌手、俳優として活躍する福山雅治さん(40)。不惑にしてNHKドラマ初出演で、「水浸しになったり、泥まみれになったり若手芸人さんのよ う」と語る。大河ドラマに懸ける思いや龍馬について語った。【栗原拓郎】
「大河ドラマ」で「坂本龍馬」という話をもらったときは「なんでこの話が僕のところに来たんだろう」と違和感を覚えたという福山さん。「坂本龍馬 という方は、(自分よりも)もう少しごつごつした、骨太な、豪快なというイメージがあって、僕自身はそういうイメージとは違うんじゃないかなと思ってい た」と依頼された当時の心境を振り返る。鈴木圭チーフプロデューサーに口説かれ、出演を快諾したという。役作りのために髪を伸ばし、ジムでのウエートト レーニングも怠らなかった。10月のクランクイン後は、撮影の合間に殺陣のけいこに励んでいるという。
ドラマのキャッチフレーズは「誰も見たことのない『福山雅治』がここにいる。」だ。福山さんは「感情をバーンと表に出すシーンがいくつかありまし て、そういうのは今まであまりなかった。僕自身も見たことがない表情や、びっくりするシーンもたくさんあります。よだれを垂らしてしゃべったりしてますか らね」と笑顔で話し、「水浸しになったり、泥まみれになったり、若手芸人さんのような状況でやらせてもらってます」と楽しそうに振り返った。
「結構強烈だったのは、緑色の水の池に落ちるシーン。『これに落ちるのか……』と思いました。泥まみれになりながら土のうを担いで運ぶシーンもあ りまして、(出演する)牛がしているふんと尿が混ざった泥水をずっと浴びせられる状態で、口の中が“ザリザリ”になりながらやったり……。そんなシーンが 多々ありますね」と秘話を明かす。
龍馬については「剛の人、ブルドーザーのように(何事も)押し進めていく人というイメージがありましたが、どうもそうではなくて、柔の人、すべて を受け入れられる、スポンジのように吸収して最後にいいものをポトッと絞り出す、みたいなところがある人だったんじゃないかという感じがしています」と語 る。龍馬の人気の理由については「いろんな要素を持っていて、いろんな人が感情移入できる、何かを重ね合わせられるエピソードを持っているからかな。誰も が何かしらを投影できる方だからなのかなと思っています」と分析した。
土佐弁には苦労しているようで「正直難しい」と告白。10代の龍馬も演じるが、「さすがに10代には見えないなと(笑い)。まあ香川(照之)さん も見えないんで、いいかなと思ってやってます。年齢のことは気にはなっていたんですが、若さや年齢を描くわけではないですから。そこはもう割り切って演じ ています」と苦笑する。「見ていて気持ちのいい人を演じられればなと思っています。ドラマっていうのは、どれだけ見ていて気持ちのいいもの、感動できるも のを提供できるかが使命だと思っていますから、そういう人(物)をチーム一丸となって作り上げていきたい」と意気込んだ。
「龍馬伝」は、幕末の英雄・坂本龍馬の33年の生涯を、三菱財閥の創業者となる岩崎弥太郎の視点から描く。脚本はドラマ「HERO」や「ガリレ オ」、映画「陰陽師」、「20世紀少年」などを手がける福田靖さん。岩崎弥太郎役で香川さん、龍馬に思いを寄せる平井加尾役で広末涼子さんが出演。土佐藩 の武市半平太役に大森南朋さん、坂本家の三女・乙女役に寺島しのぶさんを起用した。総合テレビで10年1月3日から毎週日曜日午後8時に放送予定。