MovieWalkerより(以下一部抜粋)


アメリカは景気後退の真っただ中というのに、ブロードウェイの舞台はなぜか大盛況! ここのところ、スター主演の舞台が増えているが、セレブたちが舞台に立つのはなぜだろうか?




Who killed Cock Robin?



現在上演中のヒュー・ジャックマンとダニエル・クレイグのふたり舞台「A Steady Rain」はチケット売り上げの新記録を樹立したほか、ジュード・ロウ主演の「ハムレット」も絶好調。他にはシエナ・ミラーが「After Miss Julie」で舞台に立っているが、どれも好評を博している。


まずここで、舞台の魅力について過去をさかのぼって考えてみたい。例えば故ポール・ニューマンやアル・パチーノなど往年の大スターは、舞台出身者が 多かった。彼らの多くは映画スターとして人気を博してから、再び原点としての舞台に戻るケースが多く、ジャックマンやクレイグ、ジュードなどもまさにその パターン。観客の反応を“ナマ”で体験できる快感が忘れられないこと、そして舞台は演技力を厳しく評価される場所でもあるだけに、もうけ主義の映画界から 離れて、役者としてのスキルを磨いたり確認するのに最適な場所らしい。


そういった意味でも、彼らにとって舞台は最高のステータス。しかし、拘束時間が長い上に映画に比べてギャラが少ない舞台に立つためには、他の映画を 犠牲にするだけの金銭的かつ精神的な余裕が必要で、実際には、多忙を極める映画撮影のスケジュールがネックとなって、機会を逃す場合も多いという。


では、なぜ今ブロードウェイなのだろう? ここで映画界の内幕をのぞいてみると、今年2月に終結した米脚本家組合のストライキで脚本の製作が遅れた ことや、昨年のリーマン・ショックで資金繰りが難しくなったことで、多くの大作映画の撮影スケジュールが遅延した。その結果、タイトなスケジュールに穴が 開いた俳優も多く、今はまさに絶好のタイミング! そこに目をつけたのが、ブロードウェイというわけだ。


長引く不況で、ロングラン作品までもが相次いで公演終了を余儀なくされる事態に追い込まれているブロードウェイにとって、高いギャラはネックにはなるが、確実に稼ぐためにはスター・パワーが必須。


最近では、ジュリア・ロバーツが「スリー・デイズ・オブ・レイン」で、ダニエル・ラドクリフが「エクウス」、ケイティ・ホームズが「All My Sons」、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが「A Little Night Music」で同舞台を踏んでいるが、どの作品も残念ながら作品の力ではなく、スターを見るために世界各国から集まってきた観客で大きな売り上げを得たの が現状だ。


Xメン、ハリー・ポッター、ジェームズ・ボンドを間近で拝めるとあれば、ファンにとって100ドル以上のチケット代でも、お安いもの。そこに目をつ けた関係者が、かねてから舞台を希望していた俳優を探し出し、場合によってはその俳優たちの映画製作のスケジュール調整にまで乗り出しているそうだ。


今後は、スカーレット・ヨハンソンの「A View from the Bridge」、そしてデンゼル・ワシントンの「フェンシズ」が控えており、しばらくブロードウェイは安泰? ファンとしては、今度もスター主演の舞台が増えることを期待したい。