産経ニュース
より(以下一部抜粋)
映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」
>(12月公開予定)
常に新たな挑戦を続ける俳優、木村拓哉(37)が、人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画化「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の主人公、古代進を演じる。最新映像技術の発達でやっと映像化が可能となった今年最大の話題作に、木村は「“出場選手”としてすごく責任を感じています」と語る。(伊藤徳裕)
「幼少時にワクワクさせられた作品なので、自分がそこに存在するのはうれしさだけではない。ちょっとドキドキしました」と木村は素直に打ち明ける。
大きなあこがれ
演じる古代進は、実年齢と同じ37歳。かつて軍のエースパイロットとして活躍し、退役していたが、放射能汚染で滅亡まであと1年となった地球を救うため、ヤマトの戦闘指揮にあたる戦闘班班長として再び戦場へ飛び込む。ただのヒーローではなく、孤独を抱え、愛を知る人間味あふれる男として描かれている。
古代について「弱さと強さといった二面性があるキャラクター。とても大きなあこがれです」と熱く語る木村の最初の“ヤマト体験”は、5歳のときに東京・渋谷の映画館で見た劇場版「宇宙戦艦ヤマト」と「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」だった。
「映画館に並んで見ました。幼稚園の時に近所で絵を教えてくれていたおじちゃんに『今日は好きな物を描きなさい』と言われて描いたのがヤマト。画用紙の左に船首を向け、船体から煙がガーッて流れている絵でしたね」と懐かしむ。
今回、誰でも知っているキャラクターを演じるということを実感したのは、机の上に広げられた古代の衣装のデザイン画を初めて目にしたときだった。
「パッと見た瞬間に、向こう側から役が近づいてくる感じがした。撮影に入る前の打ち合わせの時もラックに仮縫いの古代のジャケットがかかっていて、『あれ、おれのかな』と気になっていました。実際に袖を通したときはすごく責任を感じましたね。衣装という布きれの中に、どれだけ人間性という綿を詰め込んで立体化できるかという作業だと思いました」
アニメや特殊効果などの制作会社「白組」による驚異の映像も見どころとなりそうだが、最新技術を目の当たりにして刺激を受けたという。「CGの工程を見せてもらって、そのすごさが新たに実感できた。コンピューターの力は借りるけれど、それを操っているのは人間だし、その人のワクワク感がそのまま画面で形になるんだなと」
戦争って悲しい
最新CG技術を駆使した壮絶な戦闘シーンもあるが、「こんなにも戦争って嫌な気分になるんだなあと、悔しくて悲しくてたまらなくなった。艦長役の山崎努さんの『この中で実際に戦争を経験したのはおれだけだな』という言葉にもドキッとしました」と語る。
「今回、現場で感じたことを教訓にして、ほかの仕事も全力を持ってきちんとやり遂げたい」。これが「ヤマトYEAR」となる今年の木村の抱負だ。
「山崎組」が再結集
西暦2194年。正体不明の敵・ガミラスが地球への侵攻を開始し、世界各地に投下された無数の遊星爆弾によって人類の大半は死滅してしまう。5年後、地球は放射能に汚染され、生き残った人々は地下で生活していた。軍を退き、資源回収のために地表を探索していた古代進(木村拓哉)だが、14万8000光年のかなたにあるイスカンダル星に放射能除去装置が存在することが判明。古代は沖田艦長(山崎努)、戦闘班パイロットの森雪(黒木メイサ)らとともに宇宙戦艦ヤマトに乗り込み、イスカンダル星へ向けて旅立つ。
ほかに柳葉敏郎、緒形直人、西田敏行、高島礼子らが出演。監督は日本のVFX(視覚効果)の第一人者で、「ALWAYS 三丁目の夕日」「BALLAD 名もなき恋のうた」の山崎貴。その妻で「K-20 怪人二十面相・伝」を監督した佐藤嗣麻子が脚本を手がけた。また音楽を「ALWAYS」の佐藤直紀が担当するなど、「山崎組」が再び結集した。
***
この「ヤマト」のTVCMを見た時、思わず
「おおおお! キムタク、かっこい~!!!」
と本気で叫んでしまいました。
いえね、すでに往年の海外SF・ファンタジーファンである私にとってはそれらのジャンル映画に出てくれた俳優さんへの愛着が人一倍強い、というよりそういった特殊なジャンルに出ない俳優さんはあんまり真剣に見る機会がないのですよ。
だからキムタクが私の視野に入ってきたのって実は「ハウルの動く城」でハウルの声を担当してからなんですよね、声の出演なのに視野ってのも変ですけど。
それで去年の「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」があって彼の演技力をこの目で確かめることもできたのですが、これは映画の内容が内容だったもんで残念ながらのめりこむまではいかなかったのですね。
その「アイ・カム~」の時からひきずっていた煮え切らない思いというかモヤモヤ感が今回の「ヤマト」のCMで一気に払拭されたと申しましょうか、これこれこういうのが見たかったのよ~!!! という感動が一気に突き上げ爆発してしまったわけで。
実はこの「ヤマト」、監督が山崎貴さんということでちょっと期待しているのです。
というのは「BALLAD 名もなき恋のうた」を見た時、思いもよらず(失礼)感動したので。こういうスタイルの映画になるとは全く予測していなかったので。そこに繰り広げられていたのは「クレヨンしんちゃん」の世界観を究極の家族愛として残しつつ、日本の戦国時代に籠城戦があったらこんなだったのではないかという想像力に満ちあふれた山崎監督の世界でした。それは規模は小さいとはいえ、「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」や「トロイ」や「キングダム・オブ・ヘブン」で描かれた、火器がまた少なかった時代のイマジネーションあふれる戦闘シミュレーションなのですよ。
しかしそれが完全なる過去の再現ではなく、現代の道具が幾つかそこに加わることでどのように戦闘の推移が変化するかというのを見せてくれるのが映画としておもしろいわけです。似たようなストーリーには「戦国自衛隊」がありますが、こちらは戦国時代に自衛官という名のプロの戦闘員さんが加わることで戦局から果ては歴史から変わるようなダイナミックさがありますが、「BALLAD 名もなき恋のうた」では歴史の趨勢とは関わりのないところで、それでも精一杯生きていた人達の心情を描いているという点で全然違った作品になっています。でもそれでいてべたべたした情感のみに流されず、しっかりと戦闘シーンを描いていて大変おもしろかったのですよ。
山崎監督って、自分の描きたいものはしっかり持っている方なんだと思います。
「もしもこの時代がこうだったら、こんなものがあったら、世界はどう変わっていただろう」
という思考実験というか、シミュレーションで一つの世界を作り上げるのがきっとお好きなのでしょう。その上で原作があれば原作のテイストを最大限に生かす。映画「クレヨンしんちゃん」のシリーズでは、しんちゃんの危機にはいつもみさえとひろしが血相変えて駆けつけるけれど、「BALLAD 名もなき恋のうた」でもそのまんまでしたもんね♪
意外とね、骨格がしっかり決まっている作品の方が作品内でのシミュレーションは作りやすいものなのです。ファンフィクションが量産されているのはキャラや設定が決まっているからこそ。それを上手にやればパロディと言われますが、プロの作るリメイクであれば大手を振って新作扱いです。「スター・トレック」のようにね。それでも何でも、おもしろければいいのです。おもしろければ新しいファンを獲得する。新しい、若いファンが増えればシリーズの寿命も延びる。「ライダー」も「ガンダム」も常に新しい事に果敢にチャレンジしてきた、その姿勢が結局は今に到る人気を継続させてきた秘訣でしょう。同じ事の繰り返しではそのうち飽きられますから。
ずっとアニメ作品だった「ヤマト」が実写化されるのは、それだけで新しい試みと言えましょう。それが成功するかどうかは映画の中で山崎監督がどんな新しいものを見せてくれるのかにかかっていると思います。みんなが知っているストーリーの中にどうやって自分自身のテーマを盛り込むのか、そこが監督の腕の見せ所になるはずです。今から期待して――ほぼ一年――ゆっくり待つといたしましょう♪
映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」
>(12月公開予定)
常に新たな挑戦を続ける俳優、木村拓哉(37)が、人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画化「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の主人公、古代進を演じる。最新映像技術の発達でやっと映像化が可能となった今年最大の話題作に、木村は「“出場選手”としてすごく責任を感じています」と語る。(伊藤徳裕)
「幼少時にワクワクさせられた作品なので、自分がそこに存在するのはうれしさだけではない。ちょっとドキドキしました」と木村は素直に打ち明ける。
大きなあこがれ
演じる古代進は、実年齢と同じ37歳。かつて軍のエースパイロットとして活躍し、退役していたが、放射能汚染で滅亡まであと1年となった地球を救うため、ヤマトの戦闘指揮にあたる戦闘班班長として再び戦場へ飛び込む。ただのヒーローではなく、孤独を抱え、愛を知る人間味あふれる男として描かれている。
古代について「弱さと強さといった二面性があるキャラクター。とても大きなあこがれです」と熱く語る木村の最初の“ヤマト体験”は、5歳のときに東京・渋谷の映画館で見た劇場版「宇宙戦艦ヤマト」と「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」だった。
「映画館に並んで見ました。幼稚園の時に近所で絵を教えてくれていたおじちゃんに『今日は好きな物を描きなさい』と言われて描いたのがヤマト。画用紙の左に船首を向け、船体から煙がガーッて流れている絵でしたね」と懐かしむ。
今回、誰でも知っているキャラクターを演じるということを実感したのは、机の上に広げられた古代の衣装のデザイン画を初めて目にしたときだった。
「パッと見た瞬間に、向こう側から役が近づいてくる感じがした。撮影に入る前の打ち合わせの時もラックに仮縫いの古代のジャケットがかかっていて、『あれ、おれのかな』と気になっていました。実際に袖を通したときはすごく責任を感じましたね。衣装という布きれの中に、どれだけ人間性という綿を詰め込んで立体化できるかという作業だと思いました」
アニメや特殊効果などの制作会社「白組」による驚異の映像も見どころとなりそうだが、最新技術を目の当たりにして刺激を受けたという。「CGの工程を見せてもらって、そのすごさが新たに実感できた。コンピューターの力は借りるけれど、それを操っているのは人間だし、その人のワクワク感がそのまま画面で形になるんだなと」
戦争って悲しい
最新CG技術を駆使した壮絶な戦闘シーンもあるが、「こんなにも戦争って嫌な気分になるんだなあと、悔しくて悲しくてたまらなくなった。艦長役の山崎努さんの『この中で実際に戦争を経験したのはおれだけだな』という言葉にもドキッとしました」と語る。
「今回、現場で感じたことを教訓にして、ほかの仕事も全力を持ってきちんとやり遂げたい」。これが「ヤマトYEAR」となる今年の木村の抱負だ。
「山崎組」が再結集
西暦2194年。正体不明の敵・ガミラスが地球への侵攻を開始し、世界各地に投下された無数の遊星爆弾によって人類の大半は死滅してしまう。5年後、地球は放射能に汚染され、生き残った人々は地下で生活していた。軍を退き、資源回収のために地表を探索していた古代進(木村拓哉)だが、14万8000光年のかなたにあるイスカンダル星に放射能除去装置が存在することが判明。古代は沖田艦長(山崎努)、戦闘班パイロットの森雪(黒木メイサ)らとともに宇宙戦艦ヤマトに乗り込み、イスカンダル星へ向けて旅立つ。
ほかに柳葉敏郎、緒形直人、西田敏行、高島礼子らが出演。監督は日本のVFX(視覚効果)の第一人者で、「ALWAYS 三丁目の夕日」「BALLAD 名もなき恋のうた」の山崎貴。その妻で「K-20 怪人二十面相・伝」を監督した佐藤嗣麻子が脚本を手がけた。また音楽を「ALWAYS」の佐藤直紀が担当するなど、「山崎組」が再び結集した。
***
この「ヤマト」のTVCMを見た時、思わず
「おおおお! キムタク、かっこい~!!!」
と本気で叫んでしまいました。
いえね、すでに往年の海外SF・ファンタジーファンである私にとってはそれらのジャンル映画に出てくれた俳優さんへの愛着が人一倍強い、というよりそういった特殊なジャンルに出ない俳優さんはあんまり真剣に見る機会がないのですよ。
だからキムタクが私の視野に入ってきたのって実は「ハウルの動く城」でハウルの声を担当してからなんですよね、声の出演なのに視野ってのも変ですけど。
それで去年の「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」があって彼の演技力をこの目で確かめることもできたのですが、これは映画の内容が内容だったもんで残念ながらのめりこむまではいかなかったのですね。
その「アイ・カム~」の時からひきずっていた煮え切らない思いというかモヤモヤ感が今回の「ヤマト」のCMで一気に払拭されたと申しましょうか、これこれこういうのが見たかったのよ~!!! という感動が一気に突き上げ爆発してしまったわけで。
実はこの「ヤマト」、監督が山崎貴さんということでちょっと期待しているのです。
というのは「BALLAD 名もなき恋のうた」を見た時、思いもよらず(失礼)感動したので。こういうスタイルの映画になるとは全く予測していなかったので。そこに繰り広げられていたのは「クレヨンしんちゃん」の世界観を究極の家族愛として残しつつ、日本の戦国時代に籠城戦があったらこんなだったのではないかという想像力に満ちあふれた山崎監督の世界でした。それは規模は小さいとはいえ、「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」や「トロイ」や「キングダム・オブ・ヘブン」で描かれた、火器がまた少なかった時代のイマジネーションあふれる戦闘シミュレーションなのですよ。
しかしそれが完全なる過去の再現ではなく、現代の道具が幾つかそこに加わることでどのように戦闘の推移が変化するかというのを見せてくれるのが映画としておもしろいわけです。似たようなストーリーには「戦国自衛隊」がありますが、こちらは戦国時代に自衛官という名のプロの戦闘員さんが加わることで戦局から果ては歴史から変わるようなダイナミックさがありますが、「BALLAD 名もなき恋のうた」では歴史の趨勢とは関わりのないところで、それでも精一杯生きていた人達の心情を描いているという点で全然違った作品になっています。でもそれでいてべたべたした情感のみに流されず、しっかりと戦闘シーンを描いていて大変おもしろかったのですよ。
山崎監督って、自分の描きたいものはしっかり持っている方なんだと思います。
「もしもこの時代がこうだったら、こんなものがあったら、世界はどう変わっていただろう」
という思考実験というか、シミュレーションで一つの世界を作り上げるのがきっとお好きなのでしょう。その上で原作があれば原作のテイストを最大限に生かす。映画「クレヨンしんちゃん」のシリーズでは、しんちゃんの危機にはいつもみさえとひろしが血相変えて駆けつけるけれど、「BALLAD 名もなき恋のうた」でもそのまんまでしたもんね♪
意外とね、骨格がしっかり決まっている作品の方が作品内でのシミュレーションは作りやすいものなのです。ファンフィクションが量産されているのはキャラや設定が決まっているからこそ。それを上手にやればパロディと言われますが、プロの作るリメイクであれば大手を振って新作扱いです。「スター・トレック」のようにね。それでも何でも、おもしろければいいのです。おもしろければ新しいファンを獲得する。新しい、若いファンが増えればシリーズの寿命も延びる。「ライダー」も「ガンダム」も常に新しい事に果敢にチャレンジしてきた、その姿勢が結局は今に到る人気を継続させてきた秘訣でしょう。同じ事の繰り返しではそのうち飽きられますから。
ずっとアニメ作品だった「ヤマト」が実写化されるのは、それだけで新しい試みと言えましょう。それが成功するかどうかは映画の中で山崎監督がどんな新しいものを見せてくれるのかにかかっていると思います。みんなが知っているストーリーの中にどうやって自分自身のテーマを盛り込むのか、そこが監督の腕の見せ所になるはずです。今から期待して――ほぼ一年――ゆっくり待つといたしましょう♪