1月14日16時57分配信 夕刊フジ より(以下一部抜粋)
>1972年、当時の一部のチビっ子たちをトリコにしながら、「映像は現存しない」(特撮関係者)とされていた幻のヒーローの雄姿が、仙台市の一般家庭から偶然にも“発見”された。映像は地元テレビ局がDVDに収録し、昨年末に発売された。
復活した幻のヒーローは「突撃!ヒューマン!!」。72年10月7日から日本テレビ系で土曜午後7時半のゴールデンタイムに放送された。実はこの時間 帯、NET(現テレビ朝日)では「仮面ライダー」が放送されており、多くの子供たちは仮面ライダーを見ていた。その点からも“幻”の作品と言える。
収録は関東地方の公会堂などで行われ、チビっ子を会場に集めて劇が進行。「8時だョ!全員集合」と似たつくりで、特撮物としては極めて珍しい設定だった。
夏夕介(59)演じる体育教師の学校周辺に怪獣が襲来し、暴れ回る。見かねた会場のチビっ子たちが、事前に配布された円盤を回して「ヒューマーン!」と 声援を送ると夏が変身し、怪獣をやっつけるという展開。だが、当時としては珍しいVTR収録がアダとなった。「テープが高価で、放送終了後に別の番組を上 書きしていたため、マスターテープが存在しない」(業界関係者)というのだ。実際、現在まで復刻版は出ていない。
キャラクター制作は「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の美術監督だった故・成田亨氏が担当。ヒロイン役は、後にキャンディーズで大人気となる田中好子(53)で、特撮ファンの間では“幻の作品”として伝説となっていた。
その「ヒューマン」が激しく動くシーンが昨年12月23日に発売されたDVD「懐かしのせんだい・みやぎ映像集 昭和の情景」(仙台放送)に収録され た。シーンは仙台市内の大型スーパー屋上と郊外にあったレジャー施設で行われたショーをアマチュアカメラマンが8ミリフィルムで撮影したもの。
同DVDの企画プロデューサー、伏谷宏二氏(42)は「一般の方が持ち込んだ昔のフィルムに偶然、ヒューマンのステージが映っているのを見つけて驚い た。ヒューマンの放映時、仙台はNETの系列局がまだなく、子供たちはみんな仮面ライダーではなく、ヒューマンを見ていましたからね」と語る。
「ヒューマン」の放送は全13回、わずか3カ月で打ち切られた。視聴率が仮面ライダーに及ばなかったのが最大の原因といわれている。ただ、伏谷氏は「仙 台では認知度が高く、放送終了後にショーが企画された。怪獣やヒューマンの衣装、中に入っているスーツアクターは放送と同じだった可能性が高い」という。 今回のDVDは事実上の復刻版というわけだ。
『封印作品の謎』(太田出版)の著者で特撮番組に詳しい安藤健二氏(33)は「生まれて初めてヒューマンの映像を見た。私も映像の行方を追っていたが絶望的だと思っていた。今回のDVDは日本の特撮番組の歴史を考えるうえで貴重な資料」と話している。