>映画『Dr.パルナサスの鏡』のプロモーションで来日していたテリー・ギリアム監督が、小栗旬がパーソナリティーを 務めるラジオ番組「小栗旬のオールナイトニッポン」に生出演した際、小栗と同作が遺作となった故ヒース・レジャーがあまりにも似ていることから、思わず涙 ぐんでいたという。
ギリアム監督と小栗という、異色の組み合わせが実現したのは、小栗がヒースの大ファンであり、ギリアム監督作品のファンでもあったといういきさつ があった。同番組に外国からのゲストが登場するのは初めてとあって、当日はスタジオ内には緊張感が漂っていたが、小栗自身が監督業に乗り出していたことも あって、小栗は「冒頭のシーンはどうやって撮ったの?」「ヒースとは『ブラザーズ・グリム』がきっかけで親交を深めたの?」など、ギリアム監督を質問攻め にした。そんな小栗に、「わたしの秘密に迫るというのですね?」とにやりと笑ったギリアム監督。ヒースも監督業に興味があったため、本作を撮影中はヒース が自分の側で少しでも監督業を学べるような環境を作っていたことなど、上機嫌で撮影秘話を語った。
ギリアム監督は小栗を気に入ったようで、リスナーから「小栗さんが主役の映画を作るなら?」と聞かれ、「ロマンチックな殺人鬼なんかどう? 人を 殺すと夜も眠れなくなるほど苦しむのに、それでも殺人を繰り返してしまうような」など、鬼才と呼ばれる監督らしい一風変わった役柄を思いついたようだ。思 いも寄らないキャラクター設定に、小栗が「ノー! アイム・ナイス・ガイ!(僕はいい人ですよ!)」と英語で突っ込みを入れると、すかさず監督は「それが 面白いんだよ。ナイス・ガイが悪人を演じるのが」と不敵な笑いを浮かべた。
「本作は観客を驚かせる作品、観客が考えながら参加できる作品になっています。参加料(チケット代)を払って楽しんでもらった上で、自分自身の映 画体験をしてほしいです」と作品をアピールして、無事にラジオ出演を終えたギリアム監督。最後に小栗との対談の感想を、「小栗さんは、背丈やしぐさ、服の 着こなしなども、ヒースを彷彿(ほうふつ)とさせる人だった。こんな偶然があるんだね」と感慨深げに涙ぐんだ。これからを担う若手実力派俳優だったヒース は、残念ながらこの世にいないが、日本のヒースとしてギリアム監督からお墨付きをもらった小栗は、今後も日本だけでなく世界に羽ばたく映画人として活躍し ていくことだろう。
映画『Dr.パルナサスの鏡』は1月23日よりTOHOシネマズ 有楽座ほかにて全国公開